今、さまざまなメディアで注目されている「中野 青二才」。中野 青二才でまずびっくりするのがその客層の幅広さ。若い女性から仕事帰りのサラリーマンまでさまざまな方々が日本酒を楽しんでいるのです。
今回は中野 青二才のオーナー小椋道太さんに青二才開店までの秘話、そして今の青二才について、お話をうかがってきました。

 

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青二才を開店した経緯

ーー「青二才(あおにさい)」って私もよく通っているお店であるということもあって、とても印象に残るお店名ですが、そもそも「青二才」を開店した経緯ってどんなものだったのですか?

「ちょっと長くなりますが。、、、」

ーーどうぞどうぞ。ぜひ聞かせてください。

◎飲食店を営んでいた両親を見て決めた将来の夢

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元々は地元の岐阜で実家が飲食店を営んでいました。
父がお店を始め、父と母の家族で経営していたお店だったのですが、ある日、父が交通事故で他界してしまいました。
その時に、お店をたたむという選択肢もありましたが、それまで「手伝い」程度でお店に関わっていた母が子供を育てるためにそのお店を継いで切り盛りしてくれたんです。その時の母親の姿を見ていて、「自分も実家の店を継ごう!」と思いました。

高校卒業をしてすぐに継ぐか、調理の専門学校への進学を考えていましたが、「大学は出たほうが良い」という母の言葉を受け、都内の大学へ進学しました。このとき、すでに飲食店を経営するということは決めていたので、大学では経営を学び、それ以外の時間は飲食店でのアルバイトを行い修行をしていました。

その経験の中で衝撃的だったことは、都内には、サービス、調理、経営、それぞれの分野のプロが店にいるということです。
僕の地元では、飲食店はオーナーが全てを行うので、大変な驚きでした。同時に、自分も東京でそのいづれかを極めてから地元に戻りたいなと思うようになりました。

 

◎ゼロからのスタートを経験

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大学4年生になり、就職活動もしていなかったのですが、ちょうどアルバイトをしていた飲食店の料理長と店長が独立して新規店舗を始めるので、卒業したらうちで働かないか?と誘ってくれました。将来地元に帰って飲食店を継ごうと思っていた自分にとってはこれ以上ないタイミングだったので、卒業後はそのお店に就職しました。開店に繋がるまでの、スタートライン前を経験出来たことは、今でも大きな財産になっています。

でも、こそからは9時出社・終電帰り・週休1日が続き、学ぶことこそ多くありましたが、「今の生活のままで、東京で飲食店を成功させることは出来るのか」と疑問に思うようになりました。

 

◎友人の助言で3年も続いた「井の村」が始まる

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そんな時に転機が訪れました。

ある日、友人と吉祥寺の井の頭公園に行ったんです。園内には、ダンスを踊ったり、大道芸をやったり、アクセサリーを売ったり、自分達のやりたいことをやってる人が沢山いるんですね。
その人達がとても輝いて見えたんです。モヤモヤしてる自分に比べて、なんてこの人達はかっこいいのだろう!と。それを見ていた友人が「じゃあここで飲食関係の何かをやってみたら?」と提案をしてくれました。モヤモヤの解答はこれだ!と思い、すぐにやることに決めました。
当時は日曜日だけ休みだったのですが、日曜日に簡易的な居酒屋風の飲み会をスタートさせました。
それが、その後3年間続くことになる、「井の村」というプロジェクトです。

井の村は、簡単に言うと、「酒を片手に、音楽を楽しみながら色んな人と出会える飲み会」です。
年齢も国籍も性別も、様々な垣根を超えて同じ時間を共有できます。
そんな井の村ですが、1週目・2週目と会を重ねていると、同じお客様が「今日もやっているのか」と顔を出してくれるんです。自分が始めたことにリピーターがついて、それを楽しみにしてくれるということは、本当に嬉しい発見でした。

最初はレジャーシート一枚だったのが、どんどん広がっていきました。

パフォーマーさんを始め、絵を描く人、マッサージするなどさまざまな人を誘い、同じシートにたくさんの人が集まるようになりました。
「井の村」という村にしよう!と、本当の村かのように100人くらいの人たちが酒を飲みに集まっているんです。とても楽しい経験でした。

 

◎でも自分のやりたいことは「井の村」で終わらない

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「井の村」だけも楽しかったのですが、そんなときお客さんから「どうしてやっているの?」ときかれました。

「楽しいからだよ、あとは自分でやりたいことがあったから」といったら「ずっとブルーシートでやってくの?」ときかれ、井の村の先にあった「自分のやりたいこと」に気づいたんです。

そのとき、ちょうど三鷹に店を出す人がいて、そこが日曜定休だったので、その日曜を使わせてもらうことになりました。
3年間の井の村から、日曜だけの飲食店になったのです。

20席弱の店に、40人以上の人がひしめきあっていて、なんでこんなに人が集まっているのだろう?と考えたときに「楽しい方に集まりたい」「お酒を飲むことって楽しい」「一緒に飲む友だちがいる」だろうなぁと。
「人と酒を中心に、どんどん輪が大きくなっていくこと」これが、すごい素敵だなって思ったんです。

そしたら、また「次はどうするの?」と聞かれたんです。
「・・・どうしよう、そうだよね、このままだとまた成長がなくなってしまう。」

毎週食材やお酒を揃えて、、週7日(本業に加えて日曜日も飲食店を営業)働いても限界があるだろうなと。
そこでようやく「店を開こう」と決意したんですね。

 

◎最初は「阿佐ヶ谷 青二才」、そして「中野 青二才」へ

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最初に開店したのは「阿佐ヶ谷 青二才」です。阿佐ヶ谷駅からはちょっと離れていたのですが、「今までこなかった人が、その店のためにくる」という状態を目指してつくりました。

売上もすぐにはうまく行きませんでしたが、なんとか5~6年続けることができたときに、次はどうしよう?と考えるようになりました。

その中で、中野の物件に出会いました。そして、「この物件で何をやろう?」と考えたときに、阿佐ヶ谷がどんなお酒もあるお店としてやっていたが、
各アイテム(お酒)ごとに掘り下げていくことに魅力を感じる部分があると思っていました。

そして、「日本酒」というアイテムは他のお酒に比べて、掘り下げたときの魅力が抜群だな、と。出会える魅力、人、速度感が違う。日本酒好きな人とは、蔵元も酒屋も、消費者も応援してくれる。売上総量が下がっていることもあってか、日本酒を一緒に盛り上げよう!というパワーもあったんです、日本酒には。
そして、自分のその一員としてやっていきたい!と思うようになりました。

自分が感じた感動を伝えると、素直に受け入れてくれる。特に若い世代は先入観なくのんでくれるので、やりがいも感じていて。
じゃあ、次の店舗は日本酒にしよう!となったんです。

 

ーー紆余曲折あった中で、日本酒にたどり着いたのですね。

 

なんで初心者向けの日本酒屋なのか?

ーーそんなドラマの中で生まれた「中野 青二才」。なんで、初心者向けの日本酒屋さんなんですか?

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自分たちが日本酒に対して何もアプローチがなかったときに、どうやって好きになっていったかな?と考えました。
そして「自分よりちょっと詳しい人に教えてもらう」という経験であったのではないかなと思ったんです。

だから、お店も日本酒自体はもっと楽しい!と思ってもらうためには、「偉そうにせず、お客様目線でいることが大切だ」と気付かされたんです。

かつての自分たちがそうであったように、飲まない人にその魅力を知ってもらうスタイルが良いと思いました。
裾野を広げていきたいという想いもあります。好きになってもらうためには、敷居が低くて、気軽に楽しめるお店でいるべきだと思っています。
営業スタイルとして、「気がきく飲み友達」ぐらいでいたいんです。上から目線ではなく、友達から教えてもらう、というような感覚です。

 

ーー青二才はまさに「飲み友達」という言葉がふさわしいですね。私も青二才に飲みに来るとスタッフさんということを忘れて一緒にお酒を楽しんでいる雰囲気になれます。

 

提供する料理も、若者に受け入れやすく

ーー青二才の特徴の1つに「料理」が上げられると思います。日本酒=和食という考えが主流である中で、あえて海外のバルのようなおしゃれな洋風料理を提供するのにはなにか理由があるのですか?
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そうですね。
ハードルを低くしたい、という想いに通ずるものがあって、「日本酒=和食じゃなきゃだめ!」ということではなく、もちろん和食もありなんだけど、それだけで捉えず、日本酒の魅力を伝えるための料理構成にしています。
料理とお酒の相性を実感してもらいたいという想いはあるけど、それぞれ単体で楽しんでも良いと思っています。

料理によっては、味の濃いお酒が合うものもあるけど、そういったお酒はビギナーの方には難しいので、、

お店全体を見たときに、ビギナーの方が多いのであれば、まずは店、そして日本酒を好きになってもらう必要があるので、「こうあるべき!」とは言わないようにしています。

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もちろん、日本酒初心者にいきなり熟成酒のようなお酒はなかなか難しいので会話の中で別のお酒をおすすめするようなことはありますが、基本的には飲んでもらうお酒やそれに合わせるお料理は自由でありたいと思っています。初めての人、これからの人にほど、いろんなものを飲んで欲しいですね。

 

ここだけは譲れないこだわり

ーーお話を聞いていても自由でフラットなイメージのある道太さん、そして中野 青二才ですが、「ここだけは譲れないこだわり」っていうのはありますか?

前の話にもつながるけど「お酒は楽しく飲んでもらう」ということですね。
せっかくだから、来てくれた人と一緒に話したいな、って思うんです。それは、お酒のことだけじゃなくて、色々なことです。

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ーーお酒の話から広がる話って無限大ですよね。お店の人がそう思ってくれていると私たちもどんどん話したくなってしまいます(笑)

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お酒の選定はどうやって行っているのか

ーー青二才ではメニューは、お酒に慣れていない人から、いわゆる酒好きでも好むようなお酒のバランスがとっても良いなと感じているのですが、お酒の選定はどのように行っているんですか?

日本酒の選定は信頼できる「酒屋さん」に協力いただいて、その代わり、酒蔵から直接の取引はしないようにしています。
常にお店の冷蔵庫には50~60本の日本酒があり、酒蔵さんと直で取引するとなると年間で数百の蔵との付き合いになってしまうんですよね。それら全部の酒蔵と個別に付き合うのは難しいと思っています。私たちは酒蔵さんとのコミュニケーションも大事かとも思うんですが、それ以上に、来てくださったお客さんとの付き合いに力を注ぎたいんです。先ほどお話しした、東京の飲食店に分野別のプロがいるように。

酒蔵とのやりとりはそのプロである酒屋にまかせて、私たちは接客のプロとしてお客さんにお酒を売るというスタイルなんです。

でも、あとは単純に、酒蔵と直にやりとりするより、間に酒屋が加わった方が、関わる人が多くて、楽しいですよね。(笑)

ーー酒蔵から直接お酒を仕入れないっていうのは、とっても意外。でも、道太さんのお話を聞いているととっても納得できる理由です。あと、「関わる人が多くて、楽しい」っていう一言に道太さんの人柄が現れているように思いますね。(笑)

 

どういった人に利用してもらいたいか

ーー道太さんの性格だと、どんな人でも当然ウェルカムだとは思うのですが、もっとこういった人にお店を利用してもらいたいなどありますか?

日本酒の魅力はなんとなくは知っているけど、これからもっともっと知っていきたいと思っている方ですね。
今は、一般的な日本酒のお店に比べると、女性利用や、若い世代も多いです。一方で、サラリーマンのひとり飲みや、仕事帰りのサラリーマンのグループなどもいる、、、。そういった属性で明確に切り分けているわけではないんです。

ーーその点は、SAKETIMESの読者と近いように思います。日本酒の裾のを広げて行きたいですね。

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今回お話をうかがった中野 青二才オーナー道太さんのお話には終始「人と人のつながり」を大事にしている姿勢が感じられました。
わたしも中野 青二才にはよく行きますが、そこでよく見るのが別々で入店したお客様同士が仲良くなっている姿です。
それは、道太さんのように「人と人のつながり」を大事にするオーナーだからこそ、お店がハブとなって人の輪が広がっているのでしょう。

SAKETIMESとは業態は違いますが、日本酒を伝えていこうという方向は同じだなと感じました。

ぜひ、こんな素敵な「中野 青二才」行ってみてはいかがでしょうか?

 

中野 青二才

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住所東京都中野区中野3-35-7
松井ビル 1F
TEL03-5340-1231
最寄り駅中野駅 南口より徒歩2分
営業時間17:00~翌1:00
(L.O.24:00)

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