日本を訪れる海外観光客を対象に、酒蔵や酒販店から日本酒などの商品を自宅に送ることができる海外配送サービス「Beaver Delivery」が、2023年10月にスタートしました。

コロナ禍の数年間、海外から日本への観光客は大幅に減少しました。しかし、さまざまな規制が緩和され、2023年からはインバウンドの需要が復調。そんな流れの中でリリースされた本サービスは、海外からの旅行客に日本酒をより多く購入してもらうための取り組みとして、注目されています。

今回の記事では、「Beaver Delivery」を運営している株式会社J&J Tax Freeの担当者と、本サービスを実際に導入している白鶴酒造資料館の担当者に、その魅力をお伺いしました。

海外配送の課題を解決する新しいサービス

「Beaver Delivery」は、海外観光客が酒蔵や酒販店で購入した日本酒などの商品を、自宅に直接配送することができるサービスです。

「Beaver Delivery」のロゴ

本サービスを運営しているのは、免税店を対象に免税手続きシステムを提供している株式会社J&J Tax Free。同社がコロナ禍の以前から実施していた調査によると、日本酒の売り手・買い手ともに、海外への直接配送に対する需要が高いことがわかっていました。

「日本酒の瓶は重いため、配送を希望するお客様が多いのですが、海外配送の手続きは煩雑なため、売り手がお断りしてしまうケースが多いようです」

そう話してくれたのは、本サービスの企画・開発に携わっている、株式会社J&J Tax Freeの塩見小古奈さん。

「岐阜県・京都府・兵庫県の3軒の酒蔵で約250人の訪日観光客にアンケートを取ったところ、購入する日本酒は、180mLや300mLなどの小容量がほとんど。海外からのお客様は、複数の都道府県をまわることが多く、例えば都内の酒販店で良い日本酒を見つけても、その後の持ち運びを考えて、四合瓶などの購入を躊躇してしまうのです。

実際、『自宅まで別送することができれば、もっと購入しますか』という質問には、約64%が『購入する』と回答しました」

しかし、酒蔵や酒販店にとって、海外への配送は抵抗があるもの。国や地域によって異なる関税や禁制品などのルールを理解しなければならないほか、複雑な言語対応も必要になるからです。

「酒蔵や酒販店の方々からは、海外配送の際に瓶が割れてしまわないかという不安の声もありました。これらの対応を一括して請け負うサービスがあれば、売り手と買い手の双方のニーズが満たされ、日本酒の売上をより高めることができるのではないかという背景で開発されたのが、この『Beaver Delivery』というサービスです」

複雑な手続きや梱包は不要!

「Beaver Delivery」を導入した店舗は、専用のQRコードを店内のレジ横などに設置します。配送を依頼されたら、購入者自身がスマートフォンでQRコードを読み取り、配送先の住所を入力します。

入力が完了したら、商品代金に配送料金などを合わせて会計。購入者のスマートフォンに手続き完了のメールが送信されます。

「Beaver Delivery」のQRコード

「店舗の対応は、通常の国内配送と同じ梱包で、弊社が提携している都内の配送センターに送っていただくだけです。配送センターのほうで国外配送の梱包をするため、店舗に負担はかかりません。

この時、配送センターに商品を送る費用は店舗に負担していただきますが、お客様のお会計に上乗せするかどうかは、各店の裁量で決めていただいています」

現在、配送が可能な国は、アルコールがEMSの禁制品に該当するアメリカやカナダなどを除いて、中国・台湾・香港・タイ・シンガポール・韓国・オーストラリア・イギリスの8カ国。いずれも配送テストを実施して、安全に届けられることを確認しています。

「Beaver Delivery」の利用方法

「生酒などの要冷蔵の商品や一升瓶の商品は、配送中の品質変化や破損のリスクがあるため、送ることができません。アルコール度数には制限がないため、日本酒だけでなく、焼酎やワイン、ウイスキーなども配送可能です。

本数は、中国は2本まで、韓国は1リットルまでという制限がありますが、その他の国は6本まで送ることができます。サービスを利用するお客様はより多くの本数を購入する傾向にあるので、購入単価の向上につながります」

最近は、酒類以外の商品も送れるようにアップデートされ、重量制限内であれば、酒器なども同梱できるようになりました。ただし、食品は国によってルールが異なるため、現在は受け付けていません。

「配送中に瓶が割れてしまったり、商品が届かなかったりというトラブルが起きた時は、同じ商品が用意できる場合は店舗に相談して再送、もしくは返金という対応をとっています。いずれにしても、すべての対応を弊社で行うため、店舗には一切の負担をおかけしません」

トラブルにも手厚い対応で安心

実際に「Beaver Delivery」を導入している酒蔵は、どのような魅力を感じているのでしょうか。兵庫県の白鶴酒造が運営する白鶴酒造資料館の館長 髙田昌和さんに話を聞きました。

白鶴酒造資料館の外観

「海外への配送は、特別な免許や手続きが必要だと思い込んでいたので、個々の酒蔵でも対応できると知った時は驚きましたね。もともと、お客様から『海外に配送できないのか』という問い合わせをいただくことがあったので、簡単にできるとわかって導入を決めました」

サービスの利用方法や国ごとの配送料金など、丁寧なマニュアルが用意されているため、店舗として対応に困ったことは一切ないとのこと。QRコードの案内もスムーズにできているそうです。

「海外配送の梱包は手間がかかるので、通常の梱包で都内の配送センターまで送ればいいというのは本当にありがたいですね。また、最近はお酒だけでなく、酒器も送れるようになりました。配送できる国も当初より増えましたし、どんどんアップデートされているので、これからの展開にも期待しています」

実は、過去に一度だけ、トラブルがあったという白鶴酒造。しかし、利用者とのやりとりや原因の調査、返金などのすべてをJ&J Tax Freeの担当者が対応してくれたため、「お客様に届けられなかったのは残念でしたが、煩雑な処理はすべてやってもらえたので助かりました」と髙田さんは話します。

「2023年の9月から11月にかけて、海外観光客が昨年の倍ほどに増え、ツアーとして団体でお越しになるお客様が増えました。配送料金を考えて躊躇される方もいますが、便利であれば、料金はあまり気にしないという方も少なくありません。特に、個人で見学に来るお客様には利用していただきやすいのではないかと感じています」

3/31までのお申し込みで、導入費用と使用料が初年度無料に!

日本政府観光局の発表によると、2023年12月の訪日観光客は、コロナ禍以前の2019年12月を超える約273万人。7カ月連続で200万人を超えました。中国からの訪問は2019年を下回っていますが、韓国からの訪問は約215%も伸びているなど、コロナ禍の以前よりも増加している国もあります。

「2024年4月からはシステムの導入費用と月額使用料が必要になりますが、3月31日までにお申し込みいただくと、初年度は無料でご利用いただけるキャンペーンを実施しています。旧正月や桜の季節にかけて、これからインバウンドの需要がますます増えると考えられるので、今のうちに準備をしていただければと思います」(塩見さん)

「日本酒をもっと買って帰りたい」という旅行者と「より多くの日本酒を届けたい」という酒蔵・酒販店の双方のニーズを叶える海外配送サービス「Beaver Delivery」。インバウンドの需要の本格的な復調に向けて、気軽に海外配送ができるサービスを、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。

(取材・文:Saki Kimura/編集:SAKETIMES)

◎サービス概要

  • サービス名:Beaver Delivery
  • サービス概要:訪日旅行者が購入した商品を、海外配送に必要な書類や伝票を作成することなく、訪日旅行者が指定する国外の自宅などへ簡単に配送することができるサービス
  • 配送可能国:中国・台湾・香港・タイ・シンガポール・韓国・オーストラリア・イギリスの8カ国
  • お申し込み:公式サイトのフォームからお申し込み
  • お問い合わせ:公式サイトのフォームからお問い合わせ

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