慌ただしく忙しい平日も、のんびりと過ごせた休日も、普段の晩酌を楽しみにしている人は多いのではないでしょうか。料理をするのは手間だけれど、スーパーやコンビニで買うおつまみだけでは物足りない日もある。そんな時には、簡単な調理で食べられる冷凍グルメがおすすめです。
老舗百貨店の大丸・松坂屋が提供する冷凍グルメの定期便サービス「ラクリッチ」は、2024年10月から、いつもの晩酌をより楽しみたい人のために、気軽に試すことができる一度だけのお届けBOX「バイヤー夜蔵の晩酌シリーズ」の販売をスタートしました。
百貨店のバイヤーが厳選した料理と、相性がぴったりの日本酒があれば、家飲みの時間がさらに豊かに楽しくなるはず。今回は「バイヤー夜蔵の晩酌シリーズ」からいくつかのメニューを、日本酒の専門家によるペアリングとともに紹介します。
百貨店のバイヤーが厳選した冷凍グルメ
「ラクリッチ」は、大丸・松坂屋を代表する食通のバイヤーが、豊富な知識・経験と目利き力を活かして独自にセレクトした冷凍グルメの定期便サービスです。毎月1回、バイヤーが厳選したおまかせのメニューが届き、電子レンジや湯せんの調理だけで、まさに“ラクでリッチ”なおいしさを体験することができます。
今回、「ラクリッチ」のメニューと日本酒のペアリングを提案してくれるのは、日本酒講師の並里直哉(なみさと・なおや)さん。独立行政法人 酒類総合研究所が認定する「清酒専門評価者」のひとりで、現在はワインスクールでの日本酒講座、酒販店や飲食店での日本酒研修を中心に活動し、“イケメン日本酒講師”としてメディア出演も多数。酒類総合卸会社に勤めていた経験もあり、日本酒だけでなく幅広いお酒の知識をもっています。
並里さんに体験してもらったのは、「ラクリッチ」を気軽に試してみたいという人や、いつもの晩酌をより楽しみたい人におすすめの「バイヤー夜蔵の晩酌シリーズ」。定期便ではない一度だけのお届けBOXで、「日本酒で愉しむ和惣菜BOX」、「白ワインで愉しむ洋食BOX」、「ビールで愉しむ中華BOX」の3種類があります。
今回は、各BOXから合計4品のメニューと日本酒とのペアリングを考えてもらいました。
「私自身はあまり料理をしないので、『ラクリッチ』のように、温めるだけで本格的なお惣菜が食べられるのはうれしいです」と話す並里さん。それぞれのペアリングの解説と、日本酒を選ぶ時のポイントも教えてもらいました。
ペアリング①:ほほがほころぶ きんき煮付×やさしい生酛の日本酒
1品目は「日本酒で愉しむ和惣菜BOX」から、宮城県塩竈市の水産加工会社・海心の「ほほがほころぶ きんき煮付」。上品な味わいの脂と、箸で簡単にほどけるほどの柔らかい身が特徴です。和食の王道ともいえる煮魚は、どんな日本酒と相性が良いのでしょうか。
「味が凝縮された煮魚には、同じく凝縮感のある熟成酒を合わせるのがセオリーです。ただ、このメニューは、ふっくらとした身の食感が特徴でやさしい印象があったので、その点を活かして日本酒を選びたいと思いました。
おすすめは、生酛造りの日本酒です。生酛ならではのまろやかな味が、きんきのやさしい脂と調和します。具体的には、惣誉酒造(栃木県)の『惣誉 生酛仕込 特別純米』が思い浮かびました。燗にしてもいいですが、まずは常温でじっくりと味わってみてほしいですね」
・ペアリングする日本酒を選ぶ時のポイント
「生酛造りの日本酒というと、力強い味わいのものもありますが、ポイントはやさしい味わいの生酛を選ぶこと。酸味が強すぎないほうが合うと思います。酒屋さんで購入する時は『やさしい味の生酛はありますか』と伝えてみてください」
ペアリング②:ラフテー×力強くキレの良い日本酒
続いて、同じく「日本酒で愉しむ和惣菜BOX」から、沖縄と関東で4店舗を展開する沖縄ダイニング 琉歌の「ラフテー」をピックアップしました。皮付きの豚バラ肉のぷるっとした食感に、味噌ベースのマイルドな出汁が相性抜群。箸で切れるほどのとろけるような柔らかさが特徴です。
「パワフルな味わいときれいな脂を楽しめる逸品ですね。『きんき煮付』と同じく熟成酒も合うと思いますが、脂のなめらかな舌ざわりや口どけを強調するには、温めておいしい日本酒がおすすめです。燗酒を飲むと口の中が温まるので、脂の口どけを楽しむための準備が整いますよ。
さらに、豚肉の旨味に負けないしっかりとした旨味があり、脂をさっぱりと流してくれるような酸味も感じられる日本酒がいいと思います。例えば、車多酒造(石川県)の『天狗舞 山廃仕込 純米酒』はいかがでしょうか」
・ペアリングする日本酒を選ぶ時のポイント
「ラフテーのような凝縮された風味の料理には、熟成による複雑な香り、さらにしっかりとした旨味と酸味がある日本酒はとても相性が良いです。酒屋さんでは『力強い味わいで、酸味があって、熟成感のある日本酒がほしい』とお願いすれば、ぴったりのものを選んでくれると思います」
ペアリング③:いかと長ネギのバジルマリネ×旨味のある爽やかな日本酒
次にペアリングを試したのは、「白ワインで愉しむ洋食BOX」から、洋風のお惣菜を取り揃える専門店・ふらんす屋の「いかと長ネギのバジルマリネ」。柔らかくボイルしたイカに、バジルの奥深い香りが際立つ一品です。
白ワインを合わせるなら「バジルの香りとイカの旨味に合わせて、爽やかなソーヴィニヨンブランを主体に、セミヨンで厚みを加えたボルドー・ブランなどがおすすめ」と並里さん。日本酒との相性はいかがでしょうか。
「料理名を見た時に『バジルの風味を大事にしたい』と思いました。実際に食べてみると、イカの素材本来の旨味が強く、しっかりとした存在感があります。このメニューには、バジルの香りによく合う清涼感があり、それでいて日本酒らしいふくよかな旨味のあるものが合いますね。
油長酒造(奈良県)の『風の森 秋津穂 807』を選んでみたのですが、フレッシュで爽やかな香りや柑橘系のニュアンスを感じる味わいがバジルとよく合い、かつ旨味もあるので良い相性でした。清涼感やキレの良さを際立たせるために、冷やして飲むのがおすすめです」
・ペアリングする日本酒を選ぶ時のポイント
「酒屋さんでリクエストするなら、『爽やかでありながら、スッキリ感よりも旨味の印象が強い日本酒』でしょうか。少し難しいリクエストかもしれませんが、日本酒のプロフェッショナルならきっと適切なものを選んでくれると思います」
ペアリング④:陳麻婆豆腐×刺激を和らげるどぶろく or 旨味と酸味が楽しめる日本酒
最後は「ビールで愉しむ中華BOX」から、四川料理の名店・赤坂四川飯店の陳建一さんが監修した「陳麻婆豆腐(5年熟成豆板醤使用)」。特製の豆板醤や甜麺醤の旨味、さらに花椒油とラー油の香り高い辛みで、旨辛の味わいに仕上げた逸品です。
ビールにも詳しい並里さんは「ビールを合わせるなら、キレのあるラガータイプが合いますね。特に『ホッピーラガー』『インディア・ペール・ラガー(IPL)』などのホップを強調したスタイルだと、料理のスパイスにホップの爽やかな香りがプラスされてより楽しめると思います」とのこと。
麻婆豆腐×日本酒という難しそうな組み合わせですが、どのような楽しみ方があるのでしょうか。
「ホットなスパイスがきいた本格的な味わいが印象的で、ペアリングは2つのパターンを考えました。
1つ目は、“スパイスを和らげる”というパターン。どぶろくやにごり酒と合わせると、米由来の甘味とふくよかな旨味、そしてなめらかな舌ざわりが、麻婆豆腐のスパイシーな味に丸みをもたせてくれます。辛いものが苦手だけれど旨辛を楽しみたいという方は、どぶろくやにごり酒とのペアリングがおすすめです」
「逆に、辛さを楽しみたいという方には2つ目のパターン。ある程度の熟成をかけた力強い日本酒が、麻婆豆腐の油脂や旨味に合うと思います。私は、木戸泉酒造(千葉県)の『純米アフス』を合わせてみました。パワフルな味わいで麻婆豆腐の油脂や旨味を受け止めた後に、キュッとした酸味とスパイスの刺激を同時に楽しむことができます」
・ペアリングする日本酒を選ぶ時のポイント
「どぶろくは甘味のあるものがいいと思いますが、2つ目のパターンを試してみるなら、酒屋さんで『熟成感があってふくよかで、酸味が楽しめる日本酒』と伝えれば、合うものが出てくると思います。
また、麻婆豆腐の油脂との相性を考えると、スパークリング日本酒もいいですね。シュワシュワ感がスパイスの刺激と同調しながら、油脂をさっぱりと洗い流してくれます」
家飲みならではの試行錯誤を楽しんで
どんな点を意識してペアリングをすれば、自宅での晩酌をより楽しめるのでしょうか。並里さんに聞きました。
「料理に対してお酒が負けてしまったり、逆にお酒の主張が強すぎたりしないように、香りと味わいの濃淡が偏らないように気を付けるといいですね。また、柑橘系の香りがするお酒なら、料理に柑橘類の皮を添えるなど、共通する要素をリンクさせると、相性の良いペアリングを見つけやすくなると思います。
すっきりとしたキレを楽しみたい時はワイン、ほっこりとした旨味を楽しみたい時は日本酒など、同じ料理でもどのように楽しみたいかによって合わせるお酒は変わってくるので、その日の気分で合わせるお酒を変えるのも楽しいです。気軽に試行錯誤できるのは、家飲みのおもしろさですよね」
並里さん自身も、さまざまな料理とお酒の組み合わせを考える時間を日ごろから楽しんでいるとのこと。今回は、一度だけのお届けBOXを試してもらいましたが、通常の定期お届けコースに、事前に内容がわからないシークレットのメニューが含まれている点にも興味をもったといいます。
「お酒と料理を合わせる時の偶然性がすごく楽しくて。自分で選ぶといつもの組み合わせに偏りがちなので、たまたま送られてきた料理と、その時に家にあったお酒の偶然のペアリングを試すことができるのは、おもしろい体験だと思います。しかも、バイヤーさんが厳選したメニューなので、安心感がありますよね」
いつもの晩酌をグレードアップしてくれる「ラクリッチ」の「バイヤー夜蔵の晩酌シリーズ」。家飲みならではの自由な楽しみ方で、お気に入りの日本酒ペアリングを見つけてみてください。
(取材・文:芳賀直美/編集:SAKETIMES)
◎「ラクリッチ」の概要
- サービス名:ラクリッチ
- サービス内容:大丸・松坂屋のバイヤーが厳選した冷凍グルメの定期便
- 定期お届けコース:
・すごリッチBOX:12,000円(7〜11品/月)
・しっかリッチBOX:9,000円(7〜10品/月)
・ちょいリッチBOX:6,500円(6〜8品/月)
※すべて税込・送料込 - 一度だけのお届けBOX(バイヤー夜蔵の晩酌シリーズ):
・日本酒で愉しむ和惣菜BOX:7,000円(9品)
(ほほがほころぶ きんき煮付/聖護院蕪のかぶら蒸し/茄子煮びたし/金華銀鮭西京漬/ほたて貝焼きみそ/ごぼうスティック揚げ/ラフテー/京料亭のひろうす/いかと里芋のうま煮)
・白ワインで愉しむ洋食BOX:7,000円(6品)
(ダブルチーズマルゲリータ/知床サーモンとほうれん草のキッシュ1/2カット/いかと長ネギのバジルマリネ/海老のアヒージョ/サーモンのグリル マスタード風味/厳選洋食さくらい監修 カニクリーミーコロッケ)
・ビールで愉しむ中華BOX:7,000円(8品)
(蒸し鶏の冷菜胡麻ソース/牛スネ肉のカレー煮込み/乾焼蝦仁/翡翠蒸し餃子/もち米焼売/長崎焼小籠包/XO醤入上海風炒め焼きそば/陳麻婆豆腐(5年熟成豆板醤使用))
※すべて税込・送料込 - 特設ページ:ラクリッチ「バイヤー夜蔵の晩酌シリーズ」
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