清酒・八海山。
日本酒好きはもちろん、日本酒をあまり飲まない方でも一度は聞いたことがあるでしょう。まさに全国津々浦々、老若男女に愛される“王道の日本酒”といえます。
では、この「八海山」を醸す八海醸造が創業から"たったの3代”の酒蔵ということはご存知ですか?しかも、先代と現蔵元の2代で300石から3万石超に急成長したとんでもない企業だということ、知っていましたか?
たった数十年で100倍以上に拡大した八海醸造。その成長の裏側にはどんなドラマがあったのか?そして、これからどこに向かっていくのか? SAKETIMESでは、そんな八海醸造の“進化の系譜”に着目!歴史、アクション、そして哲学をディープに掘り下げることで、日本酒の未来への示唆と、今なお進化し続ける八海醸造の姿を探ってきます。
八海醸造ってどんな酒蔵?
「八海山」を主力銘柄としてする八海醸造株式会社は、新潟県南魚沼市の酒蔵。コシヒカリの産地として名高い地域で、日本有数の豪雪地帯でもあります。
桜が美しい春の「八海醸造 第二浩和蔵 」の風景。この一帯は、冬になると深い雪に覆われる
そんな魚沼に悠々とそびえる霊峰・八海山の名を冠した蔵の創業は大正11年(1923年)。創業100年に満たない、酒蔵としては比較的若い会社です。
かつての蔵の様子
酒蔵経営が本格化したのは先代・南雲和雄氏の時代から。そこから蔵は、疾風怒濤の成長を遂げていくこととなります。
地酒ブームに沸く新潟で、独自路線をとった「八海山」
転機の兆しは昭和55年ごろ現れました。「越乃寒梅」を筆頭にした”淡麗辛口”な新潟の地酒に注目が集まり、その一角として「八海山」の人気も高まっていったのです。
当時、新潟の地酒の一部は”高品質な商品を少量生産し、希少性を高める”という不足戦略をもってマーケットを拡大していました。少量生産によるプレミアム化ですね。当然、価格は高沸していきます。
ところが、八海醸造はこの戦略を取りませんでした。
当時営業として関東に足しげく通っていた現代表(三代目)・南雲二郎氏は「高品質なのは当たり前。その上で、関東のお客さんにも手頃な価格で商品提供しなくてはならない」と考えたのです。
”日本酒”という狭いマーケットではなく、自動車や家電のように”日用品のひとつ”として自社製品を捉え、「レギュラーのものほど高品質であるべき」という思想のもとに企業としての供給責任を追い始めました。
「日本酒は、日々の生活に寄り添うもの。そういう意味で僕らは生活必需品を提供していると思っている。水や電気、車と変わらない。そういった生活インフラとしての需要がある限り、高品質の商品を安定・継続的にお客様に提供することは企業として当たりまえのこと。生産量を限定してプレミア感を出すとか、欲しいというお客様がいるのにリスクをとらずに設備投資を怠るようなことは『八海山』ではやらない。メーカーである以上、供給責任があるからだ」と南雲さんは語ってくれました。
「八海山」の造りの様子
品質を保ちながら、高い供給量をキープし、価格を押さえる。これには当然リスクもありました。製造量を確保するために莫大な設備投資が必要だったのです。
それでも八海醸造は供給責任を果たし続けます。結果はご覧のとおり、「八海山」は地酒の枠を飛び出し、全国区の銘柄へと推し上がっていきました。
挑戦なくして成長なし!
今や定番酒とも言えるほどの知名度を誇る「八海山」ですが、そこに“あぐらをかく”ようなことはありません。まるでベンチャー企業のような精神で、今なお挑戦を続け、進化しているんです。
その象徴とのも言えるのが、日本酒にとどまらない多角的なブランド展開。
焼酎、ビール、甘酒など幅広い商品展開や、地元魚沼に息づく米・麹・
他の酒蔵と比較しても、これほど多彩な経営展開はなかなかないように思います。それほどまでに、企業の成長可能性を追求し続けているんです。
ただの定番酒の蔵ではない! 今なお進化する八海醸造に注目です
SAKETIMESの読者の中には、「八海山」を“どこでも飲める定番酒”と思われている方も少なくないでしょう。その実、「八海山」がこれまで目指してきたのは高品質商品の安定供給ですから、狙い通りのポジションになっているわけです。
しかし“定番”と呼ばれる商品の裏側には、思ってもみない成長のストーリーがあった。そして八海醸造はいま「どこでも飲める定番酒」の酒蔵の一歩先を描きはじめています。
型破りの成長をしてきた八海醸造の軌跡と、これからのアクションを追うことで、その魅力を深く知っていただきたい。酒蔵としてだけでなく、ひとつの企業として”成功するヒント”が、そこにはあるような気がするのです。
八海醸造を追うSAKETIMES特別連載がいよいよスタート!ご期待ください。
(取材・文/SAKETIMES編集部)
sponsored by 八海醸造株式会社
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