時代と共に、日本酒の飲み方も変わっていきます。一昔前は、日本酒といえば家でも一升瓶が定番でしたが、次第に瓶のサイズは小さくなり、さらに手軽な缶入りも発売されるようになりました。家族の人数が減り、お酒の選択肢が増えた現代では、一度に消費する日本酒の量も少なくなっているようです。

そんな多様化する飲用スタイルに対応した商品が、菊水酒造の「スマートパウチ」。パウチに注ぎ口が付いており、自分の好きな分だけ飲んで、あとは鮮度を保ったまま保存しておくことができます。

とはいえ、まだまだ「日本酒といえば酒瓶」が一般的な中、菊水酒造はなぜこのような新しい容器開発に挑んだのでしょう。その理由に迫ります。

日本酒の新しいカタチ「スマートパウチ」とは?

スマートパウチは、菊水酒造が日本酒メーカーとしてはじめて導入した、優れた性能をもつ新しい日本酒の容器。特に、従来から日本酒に親しんできて、品質にこだわりを持つ地酒ファンのために商品化されました。

その特長は「べんり」「かんたん」「おいしさ長持ち」 の3つ。
まず「べんり」。パウチの上部には指を入れる穴が空いており、持ち運びにとても便利なんです。瓶よりもずっと軽いので、ご年配の方や女性の方もお買い物での持ち運びが楽になります。

それから「かんたん」。開け閉めするキャップ式ではなく、本体に直接注ぎ口が付いているので、ワンタッチで簡単に注ぐことができます。また、注ぎ口は容器の下部にあるので、重い容器を持ち上げる必要もありません。飲み終えた後、ごみがコンパクトにまとまるのもうれしいところ。

そして「おいしさ長持ち」。特殊なパッケージは日本酒の大敵である光をしっかり遮断。注ぐ時にも、容器内には空気が一切入らないようになっているので、開封後に酸化することもありません。瓶や紙パックは、一度開封してしまえばどうしても劣化していくもの。しかしスマートパウチでは、火入れをしない繊細な生原酒でさえ、いつまでもおいしさを保つことができるといいます。

 

何とも良いところばかりのスマートパウチ。この商品が開発される裏側には、実に"菊水酒造らしい"消費者目線の考えがありました。

低迷する一升瓶の売上……時代に合った容器が必要だ!

「一升瓶の売上は年々下がっていくばかり。どうにかしなくてはならないと思っていました」

そう話してくれたのは、菊水酒造 研究開発部・統括マネージャーの宮尾俊輔さんです。時代の変化とともに、主力ともいえる一升瓶の売上が下がっていくことに危機感を持っていました。

「ひと昔前までは、酒屋さんがお酒を届けてくれて、瓶の回収もしてくれました。そのお酒を囲んで、大家族でわいわい食事をするのがどこの家でも当たり前の光景でした。しかし、その頃と今とでは環境はがらっと変わっています。自分でお店へ買いに行き、持ち帰るのに一升瓶は重すぎるかもしれません。家族の人数も減っていますから、一升瓶を飲み切る日数も以前とは異なるでしょう。代わりとなる何かを見つける必要性を感じていました」

日本酒の飲用スタイルが多様化する現在では、「(ふなぐち菊水一番しぼりの)200ml缶でも飲みきれない」という声がある一方で、日本酒ファンの間では依然として大容量のお酒へのニーズもありました。ということは、単に容器を小さくしていけば良いというものでもないのです。現在のお客様のニーズに沿う新しい容器を―。菊水酒造の挑戦が始まりました。

固定観念を捨て"一升瓶のデメリット"を洗い出す

新しい容器の開発は、一升瓶のデメリットを洗い出すところから始まりました。それをお客様の声と照らし合わせたところ、新容器のポイントは「軽い」「捨てやすい」「品質が維持できる」の3点だと導きます。この条件を満たす容器を探すべく、あらゆるサンプルを取り寄せ、検討が始まりました。

このとき検証したのは酒類専用の容器ばかりではありません。例えば牛乳の紙パックや、洗濯用洗剤の詰め替えパックも選択肢にあがったといいます。しかし、日本国内のどの容器も、菊水酒造が掲げた3つの条件すべてを満たすものではありませんでした。

日本にないのならば……と、ついには海外にまで手を伸ばします。そこで見つかったのが、ヨーロッパでワイン用に使われていたスマートパウチだったのです。3つのポイントをすべて十分に満たす、まさに理想の容器でした。

しかし、問題は調達方法です。当時スマートパウチは日本には一切流通しておらず、手に入れる方法がまったくわかりませんでした。あきらめても仕方のない、むしろ断念するしかない状況。ですが、いくら探してもスマートパウチ以上の容器は見つかりません。

「なんとかスマートパウチを日本で取り扱う方法はないのか」

妥協して商品開発をするという選択肢はありませんでした。プロジェクトメンバーは全国を駆け回り、あらゆるツテをたどり、スマートパウチを手に入れる術を模索し続けました。

そしてプロジェクトが始まって1年余り。ついにスマートパウチを取り扱ってくれる代理店が見つかりました。ようやく日本にスマートパウチが届けられることになったのです。独自の充填方法も確立し、商品化の目処が立ちました。菊水酒造の妥協しない姿勢が身を結び、理想的な容器での日本酒の提供を実現させた瞬間でした。

発売以降、予想を超える反響が!

プロジェクト開始から2年、念願だったスマートパウチの発売が叶いました。最初の商品は「菊水 白」。「軽い」「捨てやすい」「品質が維持できる」という特長には、大きな反響があったといいます。

「これまでに一升瓶を飲んでいたような、日本酒に慣れ親しんだお客様を中心に、大変ご好評をいただきました。さらに、予想以上に"新しいお客様"からの反響も大きかったですね。『日本酒は好きだけれど、あまりたくさんは飲めない』という方にも喜んでいただけたのです」と宮尾さん。

「お花見など、外にも持って行きやすいと好評です。一升瓶は重いし捨てづらいですが、スマートパウチなら、軽いし簡単に捨てられますから、これまでよりも外で飲むハードルが下がったのではないでしょうか。今までお酒の出番がなかったシーンでも楽しんでいただけるとうれしいですね」

さらに「菊水 白」に続き、「菊水の辛口」「ふなぐち菊水一番しぼり」もスマートパウチで展開。ふなぐち菊水一番しぼりの最大の魅力である「酒蔵のしぼりたて」のおいしさをそのままキープしながら好きな量だけ飲めるようになり、ファンに喜ばれたといいます。

スマートパウチは発売以降、売上を順調に伸ばしています。現時点では3商品の展開ですが、今後はもっと増やすことも検討しています。

「たとえ大吟醸を入れたとしても、品質を保つには申し分のない容器です。商品との相性を考えながら商品展開をしていきたいですね。また、パッケージをより洗練させて、もっと食卓映えするようにすることも考えています」と宮尾さんは今後の展望を語ってくださいました。

たとえ不可能だといわれても、決してあきらめないのが"菊水流"

必要だと思ったら、絶対にあきらめない。「これでいいや」と妥協することもない。創業当時から変わらない菊水酒造の姿勢です。国内で流通していなかったスマートパウチを「何が何でも手に入れる」と動き続けた姿からは、今もその考えが変わっていないことがよくわかります。

「酒造りというモノづくりだけでなく、コトづくりにも全力で挑む」、菊水酒造の企業理念の一節です。既存の一升瓶という容器にとらわれず、「顧客は今何を望んでいるのか」と自問し、スマートパウチを通じてより素晴らしい日本酒体験を生み出そうとするのは、まさにこの「コトづくり」を体現しているものでしょう。

長い歴史を持ちながらも、既存の選択肢にとらわれず、新しいものを取り入れること、変わっていくことを恐れないのは、菊水酒造の大きな特長のように思えます。強い想いが込められているスマートパウチが、日本酒の未来を変えていくのかもしれません。スマートパウチ未体験だというあなたは、ぜひ一度お試しを。

(取材・文/藪内久美子)


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