みなさんは、どこで日本酒を飲むのが好きですか?居酒屋やバルなどのお店はもちろん、ここ最近はイベントやパーティーなど、日本酒を飲むシーンは広がりつつあります。
お店やイベント会場などでワイワイと飲む日本酒もおいしいですが、その日をねぎらって自宅でゆっくり晩酌をするのも日本酒らしい楽しみ方のひとつ。今年、SAKETIMESが実施したアンケートでも、男性は30代以降、女性は40代以降になると"家飲み"の割合がグッと増えるというデータが出ています。おいしい日本酒とそれに合う料理があれば、自宅でのくつろぎはより豊かになるはず。家族やパートナーとの会話もさらに弾むことでしょう。
新潟県加茂市の純米蔵「雪椿酒造」(以下、雪椿)を紹介してきた連載も6回目。今回は、雪椿のお酒に合う簡単レシピを発酵料理家に教えていただきました。身近な食材を使った手料理で演出する、"ちょっと特別な家飲み"をご紹介します。
スーパーで手に入る!高コスパの人気銘柄
雪椿でもっとも人気のあるお酒が「越乃雪椿 純米吟醸『花』」(以下「花」)です。手造りにこだわる蔵が低温発酵で仕上げたきめ細やかな旨味と、上品で華やかな香り。手頃な値段で手に入る、料理に寄り添うお酒なので、家に常備しておきたくなります。素朴で愛らしい雪椿が描かれたラベルも、パッと華やかな食卓を演出してくれますね。
今回、「花」を購入するために編集部が訪れたのは、雪椿のお酒を多く取り扱っているスーパーマーケット「いなげや」の調布仙川店。都内随一の品揃えや広々とした売り場、そして9:00~22:45という長めの営業時間で、主婦層だけでなく、仕事帰りのサラリーマンやOLにとっても利用しやすい店舗です。
なんとこちらの店舗では、約200種類もの日本酒を常に取り扱っているのだとか。雪椿のお酒は「花」をはじめ、これまで取材をしてきた「越乃雪椿 純米吟醸 雪椿酵母仕込」や「月の玉響」も販売しています。
「いなげや」で酒類仕入れの責任者を務める高橋浩一さんに、雪椿のお酒を扱っている理由をうかがいました。
「百貨店で扱うお酒がハレの日のものだとしたら、スーパーで扱うのは日常的なお酒がメイン。日常的に飲んでもらうお酒を取り扱うことが大前提です。ポイントは、手に取りやすい価格であるかどうか。とはいえ、安ければいいわけではありません。値段と品質を比較して、コストパフォーマンスの良いものを揃えるのが我々の仕事です」
「雪椿のお酒はコスパがとても良い。私も日本酒をよく飲みますが、雪椿のお酒を飲むと『この価格でこの味だったらお得だな』という気持ちになります」
地域性や購入者層など、店舗ごとの売上データを分析し、バランスを取りながら品ぞろえを決めているという高橋さん。"自分がおいしいと思うか"という感覚はあくまで補助。主観的なセレクトにならないよう気をつけているそうです。しかし、「雪椿だけは例外で......」と高橋さんは話します。
「『にいがた酒の陣2016』に参加して以来、雪椿のお酒に注目するようになりました。数人の関係者から『すごくおいしいから飲みに行ったほうがいいよ』という評判を聞いたんです。試飲させてもらって、素直においしいなと思いました。飯塚杜氏から話を聞くと、新潟では珍しい純米蔵で、手造りにこだわりがあって......。当時から雪椿のお酒を取り扱っていましたが、これをきっかけに品揃えを増やし、もっとたくさんのお客様に飲んでほしいなと思うようになりました」
日本酒を選ぶプロの目から見ても、雪椿のお酒は魅力的なようですね。
そんなコスパの良いお酒といっしょに、料理の食材も揃えられるのが「いなげや」の良いところ。「花」に合う料理のレシピに必要な具材や調味料を選んで、カゴに入れていきます。
カゴには今が旬の牡蠣のほか、リンゴやセロリ、パプリカなど......日本酒と合わせるにはイメージが湧きにくい、洋風の食材が揃いました。果たしてどんな料理ができるのでしょうか?レシピを考案してくれた先生のもとに向かいましょう。
発酵料理家による、簡単でおいしいマリネ&グラタンのレシピ
今回、レシピを考えてくれたのは発酵料理家の真野遥さん。真野さんは、大好きな日本酒を通して発酵文化の素晴らしさに目覚め、現在は料理に応用できる発酵微生物の研究をしています。全国の酒蔵や味噌蔵、醤油蔵を巡っており、これまでに訪問した酒蔵はなんと50以上。素材のおいしさを活かした、シンプルで彩り豊かな料理の提案を得意とし、さまざまなイベントや飲食店で、日本酒に合うレシピを提供しています。
「『花』はさらりとしているのに香りとコクがある、きれいな味のお酒です。食事といっしょに飲むのにぴったりですね。クセのないあっさりとした料理が合いそうです。今回は洋食のメニューを2品考えました。どちらも簡単に作れるので、ぜひ挑戦してみてください」と、真野さん。
"『花』によく合う"、"自宅で手軽に作れる"、"ちょっと特別な気分を演出できる"。この3つをポイントにした、家飲みにぴったりの料理。早速、作り方をレクチャーしていただきましょう!
1品目「ホタテとリンゴのあっさりマリネ」
<材料> (2人分)
- ホタテ貝柱(刺身用)......5~6個
- リンゴ......1/4個
- セロリ......1本
- パプリカ(黄)......1/2個
<調味料>
- オリーブオイル......大さじ1
- 純米酢......大さじ1
- はちみつ......小さじ1/2
- 塩......小さじ1/2
- 白胡椒......適量
<作り方>
- ボウルにすべての調味料を入れ、よく混ぜ合わせる。
- 食材を切る。ホタテは身をスライスするように3等分、リンゴは5mm幅のくし切りにし、さらに斜めに切る。パプリカは横半分に切ってから薄切りに。セロリは包丁で筋を取り、3〜4mmの斜め切りにする(根元の太い部分は縦半分に切ってから斜め切りにするとよい)。葉は適量をみじん切りにする。
- 調味料を混ぜ合わせたものに、カットした材料(セロリの葉は半分残しておく)を加え、さっと和える。ラップをかけて冷蔵庫で5分おき、味をなじませる。
- 器に盛り、セロリの葉を散らす。
料理のポイントを真野さんに聞いてみましょう。
「純米蔵のお酒と合わせるということで、米のコクがある純米酢を合わせました。はちみつを入れることで、酢の酸味がグッと和らぎ、マイルドな味になります」
火を使わずに、食材と調味料を合わせただけの簡単マリネがあっという間に完成しました。リンゴの赤、パプリカの黄色、セロリの緑。コントラストが美しい、見た目も華やかな一品です。
2品目「牡蠣の豆腐クリームグラタン」
<材料> (2人分)
- 牡蠣......150g
- 長芋......150g
- ブロッコリー......1/2株
- 絹ごし豆腐......200g
<調味料>
- 白味噌......大さじ2
- オリーブオイル......大さじ1
- 粉チーズ......大さじ1
- おろしにんにく......小さじ1/2
- 黒胡椒......適量
- 塩......小さじ1
- 片栗粉......小さじ1
- 日本酒......大さじ1
- オリーブオイル......大さじ1
- ピザ用チーズ......35g
- パン粉......適量
- パセリ(みじん切り)......適量
<作り方>
- 絹ごし豆腐はキッチンペーパーで包み、軽く水気を吸わせる。白味噌、オリーブオイル、粉チーズ、おろしにんにく、黒胡椒を加え、ブレンダー(ミキサーや泡立て器でもOK)で、なめらかになるまで攪拌する。
- 牡蠣はさっと水洗いし、塩を加えてやさしくもみ込み、汚れが出てきたら片栗粉を加え、さらにもみ込む。その後、水を何度か替えながら振り洗いし、ザルで水気を切ったら、日本酒を加えて5分ほどおく。
- ブロッコリーは小房に分ける。茎の部分は表面の固い皮を厚めに剥いて使用する。鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩小さじ1(分量外)を加え、2分間茹でたらザルにあげる。
- 長芋は皮を剥き、1cm幅の輪切りにする。
- フライパンにオリーブオイルを敷き、中火で長芋を焼く。片面にこんがり焼き色がついたらひっくり返し、牡蠣を加える。牡蠣がぷっくりとしてきたら身を返し、火が通ったら、撹拌した絹ごし豆腐を入れる。全体が温まったら火を止め、耐熱容器に盛る。
- ピザ用チーズとパン粉を散らしたら、オーブントースターでこんがり美味しそうな焼き色がつくまで焼く。仕上げにパセリを散らす。
「豆腐を使ったホワイトソースは、白味噌やオリーブオイルが豆腐の独特な風味を抑えてくれるので、混ぜるだけであっという間にやさしい味のソースが完成します。豆腐の水気を抜きすぎてしまうと水分が足りず、パサパサのソースになってしまうのでご注意ください」
「牡蠣の下処理をするときは、お酒に漬けることで身がふっくらするんです。フライパンの熱で日本酒が揮発すると、同時に牡蠣の臭みを飛ばすことができるんですよ。焼きすぎると身が縮んでしまうので注意しましょう」
家で作ろうとすると失敗しがちなホワイトソースも、豆腐を使うことで手軽になりました。時短になるだけでなく、カロリーがグッと抑えられるのもうれしいですね。チーズの香ばしさが食欲をそそります。
あっさりとした洋食と「花」のペアリングを自宅で楽しもう
完成した2品の料理を、食卓に並べましょう。食器やグラスだけでなく、花やランチョンマットを揃えることで、お店に来たような特別感を演出することができますね。和のイメージだった「花」のボトルも、洋風の食卓に違和感なくマッチしています。
「花」をグラスに注いで、乾杯!最初のひと口を味わってホッと息をついたら、ちょっと特別な晩酌の始まりです。
まずは、味がよくなじんだマリネから。やわらかいホタテとシャキシャキのリンゴと野菜。食感が楽しい一品です。純米酢にはちみつを合わせたことで、嫌な酸味のない、まろやかで上品な味に仕上がっています。
続いてグラタン。とろっとしたチーズに心を奪われながらも、豆腐を使っているとは思えない本格的なホワイトソースの味に驚きます。白味噌の穏やかな風味も感じられる和洋折衷の味わい。ふっくらとした牡蠣、ホクホク食感の長芋もたっぷりで、満足感の得られるボリュームです。
どちらの料理も、淡麗旨口の「花」と相性抜群。さっぱりとしたマリネには華やかな吟醸香が寄り添い、純米酒らしい風味はホワイトソースの味をさらにふくよかにしてくれます。
家でお酒と料理を楽しむコツについて、真野さんは次のように話してくれました。
「マリネは時間がなくてもすぐに作れますし日本酒との相性も良いので、軽いおつまみがほしいときにおすすめです。豆腐を使ったホワイトソースも、難しいコツがいらない簡単レシピ。今回はグラタンに使用しましたが、そのままパスタにかけて食べてもおいしいですよ」
「日本酒と食事のペアリングを考えるなら、『味の強弱』と『料理の色』に注目しましょう。味のしっかりしたお酒には、醤油などでしっかりと味付けされた色の濃い料理、すいすい飲めるお酒には、塩などであっさりと仕上げた色の明るい料理がよく合います。『花』は後者のタイプなので、あっさりとした料理といっしょに飲むのがおすすめです。ぜひ、ご自宅でもペアリングを楽しんでみてください」
簡単でおいしいのはもちろん、すべての材料がスーパーで手に入るのも、今回のレシピのうれしいところ。食材を買い揃えたら、この週末は自宅にいながらにして、ちょっと特別な気分を味わってみませんか?愛情が込められた手料理の横に並ぶ「越乃雪椿 純米吟醸『花』」が、いつもの食卓に"花"を添えてくれますよ。
(取材・文/芳賀直美)
sponsored by 雪椿酒造株式会社