飲食店や酒販店で見たり聞いたりする日本酒の用語を知ることで、さらに日本酒を楽しむことができるようになります。

この記事では、日本酒の辛口・甘口を判断する目安となる指標の「日本酒度」について解説します。

「日本酒度」の違いは、糖分が多いか少ないか

日本酒ファンの多くが好きと公言する辛口の日本酒。しかし、その場合は、いわゆる一般的な辛口を指すのではなく、「甘くないドライな酒」を指しています。

ご存知の通り、日本酒の原料は米。米のデンプンを麹菌の働きでブドウ糖に分解し、続いて、酵母菌がブドウ糖をアルコールに変換して日本酒ができあがります。もともとの原料に糖分が多く含まれているわけですから、日本酒から完全に甘みが消えることはありません。

日本酒の辛口・甘口は、一般的に日本酒のなかにどれくらいの糖分が含まれているかで判別されます。その指標となるのが「日本酒度」です。

日本酒度は、糖分は重く、アルコールは軽いという比重の違いを利用し、日本酒に「日本酒度計」と呼ばれる特別な浮秤を浮かべて測定します。15℃の日本酒と4℃の水を比較して同じ重さになれば「日本酒度ゼロ(0)」。日本酒のほうが重い、つまり糖分を多く含んでいれば「日本酒度マイナス(-)」。日本酒のほうが軽い、つまり糖分が少なければ「日本酒度プラス(+)」となります。

辛口を飲みたいなら、糖分が少ない酒、つまり日本酒度のプラスの数値が大きい酒を選べばよいとなりますが、日本酒度の数値と実際に舌で感じる甘辛が必ずしも一致するわけではありません。

日本酒の味わいは、日本酒度以外にも、酸度やアミノ酸度の違いによっても感じ方が変わるからです。日本酒度はあくまでも指標のひとつとして参考にするのがよいでしょう。

「日本酒度」でお酒を選んでみよう

日本酒度はマイナス10からプラス10の範囲に収まるのが一般的ですが、なかにはその範囲を大きく超えた辛口や甘口の日本酒があります。

日本酒度プラス28「山法師 純米爆雷辛口原酒生酒」

山形県・株式会社六歌仙が造る「山法師 純米爆雷辛口原酒生酒」は、名前に「爆雷」とある通り、口中に広がるすっきりとした米の旨味のあとに、パンチのある辛味が広がるお酒です。

日本酒度マイナス60「富久錦 FU 純米酒」

兵庫県・富久錦株式会社が造る「富久錦 FU 純米酒」は、甘酸っぱい柑橘類のような風味の低アルコール酒。酸度も高く、白ワインのような飲み口が特徴です。

日本酒を選ぶときは、裏ラベルに書いてある日本酒度を確認して、その数値の大きさと実際の味わいを比べながら楽しんでみてください。

(文/SAKETIMES編集部)

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