前編で紹介した第一部(昼の部)は、杜氏による蔵案内からきき酒大会まで、イベント盛りだくさんの内容でした。変わって毎年恒例の第二部(夜の部)では、仕出し弁当をつまみながら、心置きなく黒澤のお酒を楽しむという宴。地元の方がほとんどで、200名の予約はすぐに埋まってしまうとか。

黒澤酒造のお酒と地元名産のお料理に舌鼓

酒好きが集まっているとあって、用意した樽酒4トンと燗酒1トンがみるみる減っていきます。

今年のお弁当は、佐久市のお隣、臼田町にある料理屋「れもん」の仕出しでした。佐久市の名産をつかった黒澤酒造のお酒に合う肴から、お酒の弱い方でも満足出来るご飯ものという、よく考えらえたメニュー。どのテーブルでも美味しいという声が上がり、だれもが残すことなくきれいに召し上がっていました。

粕汁も用意され、身体も温まります。

みんなで一斉乾杯!信州カンパイFES2016に参加

本イベントは蔵人たちと地元の方々との触れ合いの場でしたが、10月1日は「信州カンパイFES2016」の開催日でもありました。19時に信州のお酒で一斉に乾杯をしようという、信州を盛り上げるための企画です。今年参加したのは、なんと276会場・5,537名。年々人数も増えており、それだけ信州の団結力が強いのかもしれません。

特設ステージ上ではバンドの演奏があり、音楽に酔いしれながら一斉乾杯の時間を待ちます。

いよいよ、その時間がやってきました。蔵元の黒澤孝夫さんのかけ声で全員が猪口を掲げます。それぞれの想いを胸に「かんぱーい!」と気持ちよい声が響きました。

 

地元に愛され続ける黒澤酒造

会の後半は、兄弟である蔵元・孝夫さんと杜氏・洋平さんが参加者にお酌をして回り、和やかな雰囲気に。全員が赤ら顔で楽しんでいるようでした。

今年初めての企画はどうだったかと孝夫さんに伺ってみると、「第一部では思っていたよりも県外からの方が多く、直にお客さまの声が聞けたのは収穫でした」と手応えを感じた様子。

さらに、例年通りの開催となった第二部についてお聞きしたところ、「いつもグダグダなんです」と苦笑い。しかし、地元の方々と和やかに過ごしているの見ているだけでも、黒澤酒造への愛があふれる会だったように感じました。

「常連の方が多く翌年は友人を誘ってくださるので、人数が増えてしまってお断りせざるを得ない場合も出てきました。心苦しいところです」

今後も続けていくのか伺うと「やり方を考え中です」とのことでした。蔵に設備投資をしていく予定で、それに伴い敷地が狭くなる可能性があり、イベント開催のためには試行錯誤する必要があるそうです。

これだけ楽しみにしている常連の顔を見ていると、よい形でいつまでも続いて欲しいと願わずにはいられません。黒澤酒造の蔵開きは、日本酒の日(10/1)と新酒の時期の年2回。兄弟で醸す日本酒、ぜひたくさんの方に実際に蔵を訪れ、味わっていただきたいと思います。

(文/まゆみ)