飲み過ぎや過度な二日酔いを防ぐために、「お酒を飲む前に牛乳を飲んで胃をコーティングすると、アルコールの吸収が遅くなる」「ウコンを摂取すれば、アルコールの分解が早くなる」「休肝日を設ければ、健康への問題はない」など、お酒が大好きな先人たちによって語り継がれてきた知恵はたくさんあります。

しかし、本当に効果があるのかわからないのも事実。そこで今回は『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社刊)を監修した、日本酒好きの医師・浅部伸一先生に真相を伺いました。

浅部伸一先生(自治医科大学付属さいたま医療センター)

飲みすぎないことが大前提

お酒を飲むにあたって、二日酔いは避けたいもの。前日の飲み会がどんなに楽しくても、翌日の頭痛や吐き気が辛いと苦しいですよね。今回は、二日酔いにならないための対策を教えてもらいました。

「二日酔いの対策は、その9割が事前にできること。つまり、飲み過ぎないことです」と言い切る浅部先生。どのくらい飲んだときに二日酔いになってしまったのかを覚えておき、みずからのキャパシティを知ることが大事です。

二日酔いになってしまう飲み方は明らかに身体に悪いこと。酔いがまわるとさらに飲み過ぎてしまうため、お酒を飲む前に何かを食べておくのも効果があるのだそう。

浅部先生のおすすめは「和らぎ水を飲むこと」。お酒を飲んでいる途中で、水やウーロン茶など、アルコール以外の水分を積極的に摂りましょう。アルコールを摂取すると、肝臓の分解酵素の働きで水分が消費されます。脱水状態になると、二日酔いになりやすくなるのです。

徳利からお猪口に注いでいる写真

「和らぎ水の量は、日本酒と同じくらいが目安。ただ、理想をいえば、少々多いくらいが良い」とのこと。後から水を飲むのも良いですが、交互に飲むことでお酒の総量が抑えられるのだそう。

「もっとも悪いパターンは、酔いがまわってから、さらにアルコールの強いお酒を飲んでしまうことです。酔っていると味覚が鈍くなってしまい、何を飲んでも満足してしまいます。飲み会の後半はノンアルコールの飲み物を選ぶのが、私のおすすめです」

それでも二日酔いになってしまったら、どのように対処すればいいのでしょうか。事後の対策を教えてもらいました。

「朝の時点で脱水状態になっているため、まずは水分をしっかりと摂りましょう。水やお茶でもいいですし、糖分の摂りすぎに気を付ければスポーツドリンクもおすすめです。それでも具合が悪ければ、病院で点滴を受けるという選択もあります」

二日酔いで胃が荒れたり、頭痛になったりしてしまうのは一種の病気。身体のなかに炎症が残っている状態のため、胃薬や鎮痛剤などを使って症状を和らげることも必要とのことでした。

ウコンの効果はいかに?

二日酔い対策としてよく飲まれるのがウコンの成分の入ったドリンク。こちらは効果があるのでしょうか。

「ウコンの効用については、はっきりしていません。専門医としては、そんな効かないのではないかと思っています」と、浅部先生。

アルコールの分解が早くなることは期待できないそうですが、炎症を抑える効果はあるため、二日酔いの症状を和らげる目的としては良いかもしれません。お酒を飲んだ後、気分の悪さを和らげるのを期待して飲むぶんには効果があるのだそう。

「アルコール分解を助ける食べ物は科学的にもあまりわかっていませんが、強いて挙げるなら、アルコール分解に必要なアミノ酸とビタミンB類。それでも、過信するの禁物です。そんな都合の良いものはありませんから」とのことです。

◎参考文献

  • 『酒好き医師が教える最高の飲み方』(著者:葉石かおり、監修:浅部伸一/日経BP社)
  • 最新医学のエビデンスをもとに、お酒の正しい飲み方を指南した一冊。お酒の楽しみ方はもちろん、健康や美容との関係など、お酒を飲む人が抱く素朴な疑問に回答を示し、多くの読者から高い評価を得ている。

(取材協力/葉石かおり)
(文/乃木章)

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます