毎晩のようにお酒を楽しんでいる人も多いと思いますが、日本酒は口当たりが良くてついつい飲み過ぎてしまいますね。最近では飲み口の柔らかい香り豊かな日本酒も増えていることから、日本酒好きを公言する女性も増えています。

そうなると気になるのが「日本酒はカロリーが高いから太りやすい」「たくさん飲み続けることで、お酒に強くなれる」「産前産後は飲酒を避けなければならない」といった、日常生活に関わる日本酒の噂です。

医学的な観点からみると実際どうなのか、『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社刊)を監修した日本酒好きの医師・浅部伸一先生に真偽を確かめてみました。

浅部伸一先生(自治医科大学付属さいたま医療センター)

太る原因はアルコールではなく食事!?

「お酒を飲んだら太るのか?」については、議論がわかれるところです。

太らない派の主張は、アルコールは人間の体に蓄えられない「エンプティカロリー」だから、アルコールだけではあまり太らないというもの。

一方で、お酒自体に含まれている糖質がカロリーになるというのが太る派の意見です。実際に、お酒の種類によってカロリーは異なるため、日本酒に比べて糖質が少ない焼酎やハイボールを好んで飲む人もいますが、「どのくらい効果があるのか、私もわかりません」と、浅部先生。

アルコール依存症でも痩せている人は多いため、アルコールだけを飲む分にはそれほど太ることはないのかもしれません。ただ、同じ食事量でも、飲酒をしている人のほうが太りやすいのは確実だと浅部先生は話します。

「肝臓がアルコールを分解している時は、脂肪の分解がストップします。肝臓は身体に良くないアルコールを優先して処理するので、その間は脂肪の処理能力が大きく落ちてしまうのです。だから、お酒そのものでは太らないかもしれないけれど、いっしょに食べた物で太る効果が高くなる。結果的に、お酒だけを飲む人に比べて太りやすくなると思います」

つまり、もっとも気を付けるべきは、いっしょに食べる料理なんですね。

どうして「締めのラーメン」が食べたくなるのか

おつまみをかなり食べたはずなのに、飲み終わったあとに空腹を覚えてしまい、締めの一品が欲しくなる。「締めでラーメン屋に行こう」は、お酒の席でよく聞くセリフです。

その理由を浅部先生にたずねると「お酒を飲んでいると血糖値が下がってしまうから」との答えでした。

お酒は脂肪になるものの、糖にはならないため血糖値を上げません。つまり、糖質を含んだおつまみを食べずに、お酒をメインで飲んでいると血糖値が低くなっていきます。

最初に料理を食べてからしばらく時間が経つと、一度上がった血糖値が急激に低下。血糖値が下がると、脳は「お腹が空いた」と勘違いします。そうなると、ラーメンをはじめ、ごはんやデザートなどの糖質を含んだものが無性に食べたくなります。しかし、実際は充分に食べているので、決してエネルギーが足りていないわけではありません。

「飲み会の後半は、おつまみもあまり食べなくなるし、血糖値も下がってきます。空腹感というのは胃の状態と血糖値から感じるものですが、その両方が重なると、かなり食べたはずなのにお腹が空いたとなってしまいます」

太らないようにするにはどうすればいいの?

夜が遅ければ遅いほど、お酒を飲むのは身体に良くありません。お酒だけでなく料理も同じで、その後に運動するなど、カロリーを使う機会が少ないからです。たとえば、飲み会でちょっと飲み過ぎたから、カロリー消費のために早足で帰ろうとか、ひと駅分だけ歩いて帰ろうとか、酔っている時はなおさらしないはずです。

「お酒を飲んで太りたくなければ、やっぱりおつまみを考えることが大事ですね」と、浅部先生。

最初は、食べ物を胃に貯めてアルコールの吸収を遅らせるために、チーズなど高カロリーなものを食べてもいいですが、後半は、煮物や野菜、刺身などの低カロリーなものを食べる工夫が必要です。

脂っこいものをたくさん食べて、締めにラーメンを食べた日には、必要なカロリーを大幅に超えて摂取していてもおかしくありません。飲み会後に空腹を我慢できない場合は、ご飯を少し食べるだけでも血糖値が上がって充分に満足できるため、お腹いっぱいになる必要はないのです。

◎参考文献

  • 『酒好き医師が教える最高の飲み方』(著者:葉石かおり、監修:浅部伸一/日経BP社)
  • 最新医学のエビデンスをもとに、お酒の正しい飲み方を指南した一冊。お酒の楽しみ方はもちろん、健康や美容との関係など、お酒を飲む人が抱く素朴な疑問に回答を示し、多くの読者から高い評価を得ている。

(取材協力/葉石かおり)
(文/乃木章)