内藤醸造にて清酒『木曽三川』の製造と販売をしております、SAKETIMESライターのしゅんです。
突然ですが、みなさんはお酒の安売りについて、どんな印象を持っていますか?
今回はお酒の安売り規制について内容と背景について考察していきたいと思います。
政府がお酒の安売りを規制する法案を国会へ提出
この春、自民党がお酒の安売りを規制する酒税法改正案を今国会に提出する方針であることが明らかになりました。
この方針に対しての街の声は、
『お酒の消費は年々落ちているから消費を喚起しなければいけないのに、それを冷却してしまっていいのか』
『市場価格に政府が介入するのはいかがなものか』
といった否定的な意見もありますが、
『町の酒屋は次々に廃業している。今こそ地元のお店を守るべき』
などという安売り規制に賛成する意見もでているようです。
しかしながら安売り規制に対して消費者は圧倒的に否定的な意見が多く、
ニュースの意識調査 『お酒の過剰な安売り厳罰化、どう思う?』 (出典:Yahooニュース)によれば、安売り規制に対して反対する人が、回答者全体の80%を超える圧倒的な数字となっていることからも否定的な意見が目立つようです。
では、実際に、国がお酒の安売りについて、どのように規制や処罰をしていくかについて言及したいと思います。
お酒の安売りへの政府の対応策と規制対象
酒税法の改正案では、仕入れ原価や製造コストを下回るような安値販売を禁止する取引基準を設けるとしています。またその取引基準を遵守せず、注意勧告を無視した場合は、関連免許などを取り消すなどの処罰も考えているとのことです。
おそらくこの規制の対象となってくるのは、大量仕入れ・大量販売によりお酒を低価格で販売しているスーパーや量販店だと思われます。
そういったお店でお酒を購入している消費者さんにとって、今回の規制案は直接お財布へと響くことが考えられます。
ただでさえ、お酒の出荷数量については年々減少しています。お酒の安売りが規制されることで更にお酒を買い控えする現象が起きないとも限りません。
しかし、そういった不安材料があってもお酒の安売りを規制する理由。それはいったい何なのでしょうか。
政府がお酒の安売りを規制する理由とは?
それでは次に、なぜお酒の安売りを規制するのかについて考えていきたいと思います。
一番の理由としてあげられるのは、量販店などが現在行っているような、お酒の仕入れ原価を下回るような過度な値下げ販売から町の酒屋さんを守るためです。
酒類の販売は以前、人口当たりの酒類免許枠を規制する「人口基準」や販売店間に一定の距離を置く「距離基準」などが設けられおり、町の酒屋さんは国によるそういった規制により守られていました。
しかし、2001年、2003年にそういった規制がだんだんと撤廃されていき、2006年にお酒の販売が完全に自由化されると町の酒屋さんへの環境はがらりと変わることになります。
スーパーや量販店が行うお酒の大量仕入れ・大量販売に対して、どうしても町の酒屋さんが対抗するには不利な状況にならざるを得なくなりました。
またそういった安売りを行うスーパーや量販店の中には、お客さんを集客するための広告として仕入れ原価を下回る価格でお酒を販売するケースも出てくるようになりました。
お酒について損失覚悟で販売をしても、お酒以外の商品の購入機会に繋げることで、店全体としての収益をあげることが狙いです。
町の酒屋さんからすると、自分のお店のメイン商品が量販店やスーパーにとってはお客さんを集めるための広告として扱われ激安で販売されています。これではもう、町の酒屋さんには手の打ちようがありませんね。
実際にここ20年においてお酒が販売できる店の構成比は、20年前には街の酒屋が全体の8割近くを占めていていたのに対して、最近は、3割まで低下しています。
こうした理由により今回、国は法をもってお酒の過剰な安売りを規制したとされています。
以上がお酒の安売り規制についての内容とそれに至るまでの背景になります。
これらを踏まえて、みなさんはお酒の安売りに対してどんな印象を抱くでしょうか。
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