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「SHIBUYA SAKE FESTIVAL」を通して考える、これからの日本酒の楽しみ方

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「このあと、タイフェスにもいきます」
「親子で共通の趣味が持てるのっていいよね」

2014年から毎年開催される人気の日本酒イベント「SHIBUYA SAKE FESTIVAL」での一幕です。

今、日本酒の楽しみ方が大きく変わってきています。おそらく日本で一番若者の参加が多い日本酒イベントであろう「SHIBUYA SAKE FESTIVAL」。今回は、このイベント来場者の声を通して、若者が持つ日本酒へのイメージを浮き彫りにしていきたいと思います。

フェス要素を盛り込んだ日本酒イベント

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2016年5月14日(土)に開催された「SHIBUYA SAKE FESTIVAL」は、全国25の蔵元が100種類以上の日本酒を提供する、時間無制限飲み放題のイベントです。

このイベントのような”時間無制限飲み放題・フード持ち込みOK”のスタイルの飲食店は、本イベントを主催する(株)リカー・イノベーションが運営する「KURAND SAKE MARKET」をはじめ、最近都内を中心に増えていますね。

会場には、スパークリング日本酒、果実酒、にごり酒などもいただける日本酒ブースのほか、「あがいんちゃ東北」ブースでは、牡蠣や秋田牛など、東北ゆかりのローカルフードも提供。DJやサンバ、三味線演奏などの音楽もあり、複合的なフェス要素が盛りこまれているのが大きな特徴です。

開催場所は、渋谷駅からほど近い「みやしたこうえん」。日本酒を若い世代にアピールするにはうってつけの場所です。

レジャーシートとフード持ち込み自由の”フェススタイル”

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来場しているお客さんとその特徴を見てみましょう。

11時の開場前から、前売り券専用ブースにはたくさんの人が並んでいます。レジャーシートをわきに抱え、買いこんだ荷物を持った彼らの目的は、花見さながらの場所取り。いい場所で、楽しく飲むための準備は万端。

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バックパックや大きなビニール袋には、スナック菓子やおつまみが詰め込まれ、日本酒のお供とも言えるペットボトルの水もバッチリ完備しています。

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これまでの日本酒イベントの客層で、まず思い浮かぶのは、比較的年齢層の高いコアな日本酒ファンのおひとりさまたち。熱烈なファンが醸し出す独特の雰囲気を想像していましたが、それは良い意味で裏切られました。

今回のイベントで目についたのは、3人以上のグループ参加。20代~30代の若者、女性同士、会社の同僚や仲間、親子連れ、外国人グループ。多様な人々が会場内を行きかっています。

人気が集まるスパークリング日本酒と果実酒

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数あるお酒の中でも、特に人気があるよう感じたのはスパークリング日本酒と果実酒のブース。

人気の理由は、女性客や日本酒初心者の来場が多かったため、甘くて飲みやすいお酒が求められたことでしょう。また、当時は最高気温28.6℃という夏日さながらの天候だったため、のどを潤す爽やかなお酒が好まれたのかもしれません。

参加者の声を聞いてみました

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当日来場した若者の声を聞いてみましょう。

「友達が日本酒好きで、今日はついてきた。日本酒を普段から飲むわけではないけど、こう言うときは飲みますよ」(女子大生2人組)
「日本酒だけが特別好きってわけではないけど、お酒は好き。昼間から酒飲めるフェスだし、楽しい!」(男女グループ)

と、日本酒大ファンというわけではなくても、抵抗なくイベントに参加できるイメージが広がっているようです。

また、当日は渋谷周辺で大きなフェスがいくつも行われていたこともあり、「このあと、代々木公園でやってるタイフェスも回る予定です」(女性グループ)というように、”フェス巡り”のひとつとして楽しむ人も増えているようです。

中には「今から当日券で参加します。友達待ってたんですけど寝坊したみたいで。チケット売りきれてないですよね?」(女性)と、一人でも参加しようする女性や、「親子で来てます。趣味が親と同じで(笑)」(娘と母親)という人も。さまざまな人たちが思い思いのスタイルで日本酒を楽しんでいました。

若い人が楽しめる日本酒を取り巻く状況づくり

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ある調査では「日本酒を飲まない」と回答した人のうち「今後日本酒を飲んでみたい」と思う割合が20代女性で40.4%、という結果がありましたが、今回イベントに参加してみて、筆者自身、そのことを肌感覚で感じ取ることができました。F1層と呼ばれる若い女性たちの日本酒愛が高まることは、業界イメージを変え、日本酒を飲むことが一時的なブームをから新たな習慣として定着するための大きな力となることでしょう。

しかし、「美味しい日本酒にであえば、自然と好きになってくれるはず」というのは確かにその通りなのですが、それだけでは十分ではありません。日本酒を飲む人たち、特に若い世代のライフスタイル・価値観にあわせて、それに寄り添い、柔軟に変化していくことも、時には重要ではないでしょうか。

伝統とは「後世に伝えられる価値のある革新」のことで、古い慣習をそのまま引き継ぐことではありません。日本酒業界が日本酒を世の中にどのようにプロモーションしていくのか。日本酒を取り巻く状況について、これからも考えていきたいと思います。

(文/sake_shin)

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sake_shin

「お手本になる、日本酒生活」をテーマに、 ウェブサイト・ブログにて、伝わりやすい日本酒・グルメ情報を発信。 また日本酒を媒介に自身の感性を磨くイベント【ITADAKI sake&sense】など各種イベントを開催。 第3回・4回世界唎酒師コンクールセミファイナリスト。日本酒学講師・唎酒師。

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