主な材料は玉ねぎ。"素材を生かした料理"というよりも、"素材そのものを味わう"ことが今回の趣向です。
ただ焼いただけというシンプルさゆえに、酒との相性を探ることにおもしろさを見出すことのできる、楽しみがいのある晩酌になるでしょう。
シンプルに玉ねぎを焼く
玉ねぎの持ち味は、健康にも良いとされる辛味と、煮込み料理などに使うことでグッと味わいを深くしてくれる甘味。
今回はその甘味を堪能すべく、じっくりと焼いてみましょう。玉ねぎは加熱することで辛味が抑えられる性質があります。
【材料】
- 玉ねぎ......好きな量
- ニンニク......玉ねぎ中1個に対して、1片(スライスしておく)
- 鷹の爪......種を取って、輪切りにしたものを少々
- オリーブオイル......適量
- ※ 調味料は不要
- ※ 爪楊枝を用意しておきましょう
【作り方】
イ. 玉ねぎを、筋に沿って半分に切る
ロ. 筋に対して垂直に包丁を入れ、12~15ミリほどの厚さに切る
ハ. 玉ねぎがバラバラにならないように爪楊枝を刺して固定する
ホ. フライパンにオリーブオイル・ニンニク・鷹の爪を入れて点火する(中火)
へ. ホのオイルをまんべんなく延ばし、ニンニクの香りが立ってきたら玉ねぎを入れて両面を焼く
※ ニンニクは一旦取り出して、盛り付けるときにあらためて添えてもOK
焼きたての熱々をいただきましょう。しっかりと火が通っているので、食感はやわらかいです。ホクホクとした甘味が口の中にジュワッと広がり、玉ねぎの美味しさをあらためて実感します。
また、香味のなかに、ほのかな酸味があることにも気付かされました。野菜も酒も、さまざまな味や香りによって美味しさが構成されているんですね。
今回、玉ねぎの自然な甘味を味わうために調味料は使っていません、物足りなく感じる場合は少量の食塩とともに食べてみてください。よりいっそう甘く感じられますよ。
野菜に響き合う「雨後の月」
素材本来のナチュラルな旨味が味わえる料理には、やわらかい口当たりのクリアで軽快な酒はいかがでしょうか。
玉ねぎの美味しさを引き立て、かつ、みずからの旨味を発揮できるものが良縁でしょう。今回は、相原酒造(広島県)の「雨後の月 涼風 純米吟醸」といっしょに楽しみます。
香りからイメージされるのは、やや甘酸っぱい果実。爽やかな印象です。軽い口当たりですが、ゆっくりと味わうことで、まろやかな旨味がゆっくりと舌に浸透していきます。
軽快ですが、確かな味わいのある酒。すいすいと飲み進んでしまいそうです。夏野菜の揚げびたしや旬のサラダなどに合わせるのも良いかもしれません。料理との可能性を感じさせる一本です。
玉ねぎとの相性も期待通り。お互いの旨味が口の中で響き合い、酒のキレの良さも手伝って、スッと溶けていきます。「雨後の月」の飲み口はまろやかに変化しつつ、その旨味をじんわりと伝えてくれます。爽快ながら、飲むほどに味わい深い酒です。
今回は、手軽に楽しめる肴を紹介しました。香ばしさと深い甘味が酒に寄り添う、そんな一品です。シンプルな焼き玉ねぎと軽快な酒の組み合わせ、楽しんでみてはいかがでしょうか。
(文:KOTA/編集:SAKETIMES)