「アヒージョ」は、ニンニクで香りをつけたオリーブオイルを使って具材を煮込んで作るシンプルな料理のこと。「タパス」と呼ばれる、スペイン南部の伝統的な小皿料理のひとつです。

使う食材は肉や魚介類、野菜など、お好み次第。調理も手軽なことから、飲食店や家庭の新たなおつまみとして注目を集めています。

また、近年のアウトドアブームを受けて、屋外でアヒージョを楽しむ方が増えているようです。という筆者もそのひとり。先日、キャンプに出かけた際に、日本酒のおつまみとしてアヒージョを作ってみました。

オリーブオイルで煮るだけの簡単おつまみ

「砂肝のアヒージョ」の材料

【材料】2人分

  • 砂肝:200~250g
  • ブラウンマッシュルーム:100g(1/2~1/4の大きさに切る)
  • ニンニク:1~2片(薄切りにする)
  • 赤とうがらし(鷹の爪):1~2本
  • オリーブオイル:適量
  • 食塩:適量

【砂肝の下処理】

砂肝の下処理

砂肝には、「銀皮」と呼ばれる固くて白い皮がついているので、最初にこれを取り除きます。

1.砂肝は、このような形で売られています。中央の青白い部分が銀皮です。

2.包丁で2つに切り分け、銀皮を指ではぎます。

3.指で取り除けないようであれば、銀皮を下に向け、まな板に沿って包丁を引くと切りやすいです。

4.銀皮を取り除いた砂肝に深めの切り込みを入れて、火の通りを良くします。

【アヒージョの作り方】

「砂肝のアヒージョ」の作り方

1.下処理をした砂肝に、塩(小さじ1/3程度)をまぶし、15~20分ほど置きます。

2.時間が経つと砂肝から水分が出てくるので、これをキッチンペーパーできれいに拭き取ります。

3.すべての材料(砂肝、ブラウンマッシュルーム、ニンニク、赤唐辛子)を小型のフライパンに入れ、塩(まずは少なめに、小さじ1/3程度)を加えて、オリーブオイルを注ぎます。オイルの量は、具材の高さ2/3ほどが浸かれば十分です。

4.準備が整ったら点火して、中火でゆっくりと温度を上げます。油ハネにご注意を。

5.材料に火が通ったら完成です。味見をして、塩加減を調整してださい。

ニンニクの効いたオイルの風味に「旦」の旨味が重なり合う

「砂肝のアヒージョ」の完成

アヒージョが完成しました。ふつふつと煮立っているのをつまむのもよいですが、煮詰まってしまうので一旦火からおろします。

砂肝は、もともと淡白な味わいですが、ニンニクの効いたオリーブオイルのおかげで旨味が引き立ち、サクサクとした食感と相まっておつまみにぴったりです。

得も言われぬ香味を放っているブラウンマッシュルームも美味。この2つの食材の組み合わせで、アヒージョが美味しく仕上がりました。

「砂肝のアヒージョ」と日本酒を味わう様子

スペインのバル(軽食を提供する酒場のこと)であれば、これにワインを合わせますが、もちろん日本酒だって合います。

用意するなら、ニンニクの香味に負けない、しっかりとしたテクスチャーのあるお酒。さらに、砂肝の風味を引き立てるクセのない旨味を持っているものが良さそうです。

「旦 夏純米吟醸」(笹一酒造/山梨)

「旦 夏純米吟醸」(笹一酒造/山梨)

クーラーボックスに入れてキャンプ場に持参したのは、「旦(だん)」の夏酒です。

ほんのり鼻をくすぐるフルーツ香は、メロンやキュウリといったウリ科の香り。口当たりはスムーズで、ほのかな甘味が口の中に広がります。

その中から、おだやかながら、しっかりとした旨味が滲み出てきて、ピチピチと繊細な酸と重なり、ゆっくりと涼しさを運んできます。そんなストーリーを演出する、ふくよかなお酒です。

「旦 夏純米吟醸」(笹一酒造/山梨)

アヒージョとともに味わうも、お酒の旨味は表情を変えず、口の中に残るオイルをリセット。でも、砂肝の味わいの余韻はフォローしてくれます。

「砂肝のアヒージョ」と日本酒を味わう様子

具材の風味が滲み出たオリーブオイルをバゲットですくって味わう。これぞ、アヒージョの美味しさの醍醐味。これがまた、次の杯を誘います。

外気に触れて、温度が少し上がったお酒はより旨味を増してこれに応えるという、何とも良縁な間柄なのでした。

(取材・文:KOTA/編集:SAKETIMES)

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