伝統ある日本酒と日本文化の魅力を発信する親善大使(アンバサダー)の役割を担っているのが、「ミス日本酒」です。
「2020ミス日本酒」の選考は2019年9月から始まり、10~12月に各地方大会を開催。2020年1月18日(土)に各地で選ばれたファイナリストが発表され、2020年3月25日(水)の最終選考会で「2020ミス日本酒」が決定します。
この記事では、2019年11月26日(火)に名古屋で開催された「2020ミス日本酒 愛知大会」の選考過程や舞台裏をレポートします。
活躍の場が広がる「ミス日本酒(Miss Sake)」
「ミス日本酒」は、伝統ある日本酒と日本文化の魅力を日本国内外に発信する美意識と知性を身につけたアンバサダー。外務省、農林⽔産省、⽇本酒造組合中央会等の後援のもと、一般社団法人ミス日本酒が主催しています。
歴代のミス日本酒たちは、国内外年間400件以上のイベントに参加し、日本酒や日本酒文化の普及に尽力しています。
具体的には、全国各地で行われる日本酒イベントへの参加、日本酒造りに欠かせない田植えや収穫、造り手である酒蔵訪問に加え、ニューヨーク、パリ、ロンドン等、世界各国で⽇本酒を切り⼝にした⽇本の⾷・⽂化に関する啓発や、⽇本への観光誘致活動を担っています。
「2020ミス日本酒」を決定する最終選考会に向け、各地の代表を決める選考会が、東京、京都・大阪、愛知をはじめとした、全国7都市で開催されました。また近年は、アジア諸国でも各国代表を選出する海外大会が行われています。
各地域の代表選考会の出場者は、ミス日本酒への想いを綴った「書類選考」、人柄や特技、日本酒と日本文化への想いを伝える「個別面接」、日本女性らしい美しさと度胸を確認する「カメラテスト」などを通して選ばれます。
ミス日本酒の応募要件は、身長制限がなく、水着審査もありません。これは様々な女性が持つ多様性を尊んでいるそうで、他のコンテストではあまり見られない条件です。また、2020年大会からは、応募可能な年齢が大幅に引き上がり、20歳から39歳までの未婚女性が応募できるようになりました。
今回は様々なキャリアを持つ女性たちから、たくさんの応募があったそうで、その数全国で2,000件超え。ミス日本酒の選考史上、最も多い応募数になりました。
「ミス日本酒」の選考条件とは?
「2020ミス日本酒」愛知大会 事務局長の山本香さんに、ファイナリスト選考についてお話を伺いました。
─ 今回、愛知大会にはどのくらいの応募があったのですか?
「200件を超える応募がありました。地元の方はもちろん、愛知出身で今は東京にお住まいの方など、地方愛に溢れる幅広い応募です。ミス日本酒には通常のミスコンと比較すると裾野が広いのは事実ですが、その分選考はシビアです」
─ 200件超え!具体的にはどのような点を重視し、選考されているのですか?
「『日本酒をたくさん飲める』とか、『外観が美しい』と言ったことだけでは、この審査は通りません。毎年選ばれるミス日本酒それぞれが素晴らしい方々ですが、共通するのは日本酒と日本文化への造詣が深く、学び続けることができる方。人柄は言葉や振る舞いに滲み出ます。心から日本酒や日本文化への想いがあり、それを周りからも認めていただけるような方、という印象です。
また昨今は、日本酒のインバウンド需要もありますし、輸出量も増えていますので、海外の方にも伝えることができるグローバルな感覚のある方、たとえば語学力やコミュニケーション能力なども求められます」
─ 普段からの考え方やこれまでの学びの積重ねを重視されているのですね
「そうですね。選考で選ばれた方々は、すぐに『ミス日本酒』としての活動、立ち居振る舞いが求められます。特に日本文化を体現する部分は経験の積み重ねや、人柄として滲み出る部分かもしれません。『なでしこプログラム(ファイナリスト向けの育成プログラム)』として、今年はファイナリスト心得、スピーチ練習、関谷醸造さまにお邪魔して酒造りについて学ぶなどを行いました。
この過程でそれぞれの人となりや考え方が垣間見え、どの方も『ミス日本酒』にふさわしい方ばかりです。今年は誰が選ばれてもおかしくないと思えるファイナリスト13人が揃ったと思います」
愛知の日本酒がならんだ華やかな選考会
「2020ミス日本酒」愛知大会の選考会会場となったのは、名古屋の老舗ホテル「ヒルトン名古屋」。総料理長が腕によりをかけた特別ディナーコースと、その一品一品に合わせた愛知の地酒とのペアリングを味わいながら、「2020ミス日本酒」愛知代表誕生の瞬間を待ちます。
愛知県酒造組合の全面協力により、酒蔵の垣根を越えて愛知県の各酒蔵のお酒が用意されました。
日本酒は、酒器や温度帯の違いによる楽しみ方ができるのも良いところ。
この日は株式会社センチュリー提供の熱燗で色が変化するお猪口や、リーデルジャパン提供の香りが立ちやすい純米酒専用グラスなどを使ってお酒を楽しめることができ、お猪口やグラスはお土産として持ち帰りができました。
ファイナリストの人柄が表れる自己PRタイム
選考の第1ステージは、1分間の自己PR。限られた短い時間の中で、日本酒や日本文化への想い、特技などを、150人を超える観客を前で披露します。
英語によるスピーチや空港の搭乗案内、フラダンスの振り付けを披露する方など、その表現は十人十色。13人のファイナリストそれぞれの人柄が垣間見えました。会場には笑顔があふれ、あたたかい雰囲気の中、ファイナリストのスピーチが進みます。
続いて第2ステージ。審査員とのQ&Aが行われます。ファイナリスト1人につき尋ねられる質問はたったの1問。4人の審査員のなかから、誰が、どのような質問をするのかは全くわかりません。ファイナリストのみなさんは、緊張の面持ちです。
審査員からの質問は、たとえばこのようなものでした。
「日本酒を世界に広げていく時、あなたならどんな活動や施策を考えますか?」
「なでしこプログラムを受ける前と後であなたはどう変わりましたか?」
「ワイン好きなイタリアの友人に日本酒をすすめるとして、あなたはどのように日本酒とワインの違いを説明しますか?」など。
いずれも、知識と意見、さらにその場で即時の応対力が求められる質問ばかりです。
最後の質問を受けたファイナリストは、
「ワインと日本酒の違いで大きなところは日本酒は温度による変化、味わいの違い等を楽しめる部分。どちらが良い悪いではなく、ワインと日本酒にはぶどうと酒米という違いはあれ、作り方や楽しみ方に似ているところもあるので、その両方を知ることでより深く楽しめる」
と、日本酒の良さに自らの見解を交えて流暢な英語で答えていました。
栄えある愛知代表のグランプリは誰の手に!?
選考が終わるまでファイナリストたちは一旦舞台裏へ。舞台裏をのぞくと、自らを出し切った達成感と結果発表を前に、高揚感でいっぱいのファイナリストたちが、お互いの健闘を褒め讃えながら今にも泣き出しそうな様子です。
いよいよ結果発表です。栄えあるグランプリは誰の手に渡るのでしょうか?
「2020ミス日本酒」愛知大会でグランプリに選ばれたのはエントリーNo.8の髙田百子(たかだももこ)さんでした。
お祝いの声が上がり、壇上のファイナリストたちも新しいグランプリの誕生を祝福します。
- グランプリ:髙田百子(たかだももこ)さん
- 準グランプリ:浅井奈々(あさいなな)さん、加藤奈央子(かとうなおこ)さん
- 審査員特別賞:遠山眞子(とおやままこ)さん
- オーディエンス賞:大野梨里花(おおのりりか)さん
「2020ミス日本酒」愛知代表となった髙田さんは、次のように抱負を語りました。
「まだ自分が愛知代表とは信じられない想いです。ものづくりで有名なこの愛知から、日本酒、そして日本文化の知識を深め、愛知代表として発信していけるよう精進していきたいです。さらなるご支援とご鞭撻の程、よろしくお願いいたします」
新しいミス日本酒2020愛知代表として、彼女の強い想いを感じます。ファイナリストの想いを背負い、グランプリとしての重責を謙虚に受け止める彼女へ会場から大きな拍手が送られました。
グランプリとなった髙田さんの人柄について、他のファイナリストに聞いてみたところ、
「みんなから愛される可愛らしい人柄にお茶や華道や着付けにも長けた日本女性らしさ、しっかりとした意見の持っていたりと、しなやかな強さを兼ね備えた女性です」
「語学にも堪能で、グローバル感を兼ね備えたまさにミス日本酒にふさわしい方です。愛知代表としてチャレンジを続ける彼女を、応援したいです!」
と髙田さんの人となりが溢れるコメントが集まりました。
愛知大会グランプリとなった髙田さんは、2020年1月18日(月)に東京・外国人特派員協会で行われる、全国のファイナリストを集めた「2020 Miss Sake ファイナリスト発表会」にて登壇。その後2か月におよぶ「なでしこプログラム」での育成を経て、3月25日(水)に京都・ウェスティン都ホテル京都で行われる「2020 Miss Sake 最終選考会」に出場します。
日本酒、そして日本文化を伝えるアンバサダーとして、「2020ミス日本酒」愛知代表の髙田百子さんが活躍されるのが今から楽しみですね。
(文/spool)