兵庫県西宮市にある「日本盛株式会社」にて「西宮日本酒学校2016」が開講されました。

「灘の生一本」で知られる、兵庫県神戸市から西宮市にまたがる全国有数の日本酒生産地、灘五郷。西宮市の今津郷・西宮郷という地域には、現在12の酒蔵があります。ここでは、日本酒造りに適した良質の水「宮水」が湧出しています。

「​西宮日本酒学校」は、地場産業である酒造業の振興を目指して、2013年に開校されました。「日本盛」「白鷹」「大関」「白鹿」を代表銘柄とする各蔵がキャンパスになっています。講義は2時間で、全4回。年に一度、30名限定で受講生を募集していますが、いつも4~5倍の競争率があり、かなり狭き門とのことでした。

第1回講義のキャンパスは日本盛!

今回のキャンパスは「日本盛」を醸す日本盛株式会社。1889年に創業され、2000年までは西宮酒造という名前でした。

酒蔵が見えてくると、「ニホンサカリはよいお酒~♪」のフレーズを口ずさみたくなる方もいるかもしれません。この歌は、1961年から放送されていたテレビCMで使用されていました。作詞を手がけたのは、のぶひろし。実はその正体は、のちに作家として有名になった五木寛之だったそう。

講義会場となるのは、日本盛の「酒蔵通り煉瓦館」です。

2000年にオープンした施設で、1階はお酒や酒器など販売するショップやレストラン、ガラス工房などがあり、2階は宴会やパーティ用のホールや個室、展示スペースとなっています。

館内に入ると、日本盛に混じって、なぜか「獺祭」も並んでいることに気が付きます。

聞いた話によると、獺祭を醸す山口県岩国市・旭酒造の桜井博志会長は日本盛の出身だそう。酒蔵通り煉瓦館の支配人と同期だった縁もあり、販売特約店のひとつになったそうです。

いざ、蔵見学へ!

今回の講義テーマは「日本酒を体験しよう!蔵見学と日本酒飲み比べ」
​​簡単な開講挨拶や説明の後、さっそく蔵見学へ。

こちらは原料蔵。農家からいただいた酒米は、いったんこの蔵で管理されるそうです。​

原料蔵の東にそびえるのは、「日本盛」の文字がまぶしい本蔵。
1964年に建設されました。現在、日本盛の醸造はこの蔵で行われています。​

本蔵にはパイプ管がたくさんありました。写真中央、日本盛の「本」から伸びているパイプ管は、原料蔵から繋がっていて、エアシューターで酒米が送られています。耳をすますと、酒米の流れる音がサラサラと聞こえてきます。

​いよいよ本蔵の内部へ。ですが、残念ながら撮影できるのはここまで。本蔵内部での撮影は禁止になっていました。

本蔵では、4階で洗米・蒸米・製麹を行っています。巨大な横型連続蒸米放冷機が2つ並んでいました。たった1時間で、それぞれ3500㎏, 2000㎏の蒸米ができるそうです。製麹は自動製麹室で行われていました。
​仕込みは3階で行っています。一部、円筒形のタンクがいくつかありますが、30基弱もある横長の箱型をしたタンクが並んでいました。1基の容量はなんと約4万リットル。発酵中の醪の様子も見学させていただくことができました。

飲み比べや、お土産までついたお得なプログラム

蔵見学の後はホールに戻って座学と思いきや、いきなり飲み比べ。
銘柄の紹介やお酒の説明などは一切なく、2種類のお酒を飲んでみてどちらの酒が気に入ったかを投票します。

ちなみに今回の参加者は男女がほぼ半々、西宮市在住の人が多いですが、大阪・京都など兵庫県外から来ている方もいるそうです。一般消費者がほとんどだと思われますが、20代から70代まで、幅広い年齢層の方々が参加されていました。

投票後、結果発表。
Aは「日本盛 超特撰 大吟醸」(兵庫県産山田錦100% 精米歩合38% アルコール分15~16度)
Bは「獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分」(山田錦100% 精米歩合39% アルコール分16度)
​参加者の投票数はAが17票、Bが14票で、わずかにAが多い結果でした。

講義は、酒蔵通り煉瓦館の吉岡支配人が担当。

山田錦の誕生についてのやや堅い話から、美味しく燗をつけるためには湯煎が一番であるという飲み方のコツまで、幅広い内容でした。参加者の方々も熱心にメモを取っているようでした。

​講座終了後、なんとお土産まで!

館内のショップで味わう!蔵直送の「日本盛 生原酒」

​館内のショップにも立ち寄ってみました。

日本盛はもちろん、獺祭もほぼ全商品が置かれていました。他にも、米ぬか由来の化粧品や錫製の酒器なども販売しています。

ショップの一角にある「きき酒コーナー」です。

​本蔵で製造された生原酒が量り売りされています。

ラインアップは、

  • 「しぼりたて原酒」583円~
  • 「純米原酒」712円~
  • 「吟醸原酒」808円~
  • 「大吟醸原酒」972円~

以上4種類。上記はすべて 300ml の価格ですが、量り売りの容量は 300ml, 500ml, 720ml, 900ml から選べます。もちろん無料での試飲も可能!

有料試飲では、なんと獺祭の最高峰「獺祭 磨きその先へ」(販売価格 720ml・32,400円)を 20ml・1,000円 で味わうこともできるとのこと!

第2回は「白鷹」で「灘酒よもやま話」!

第2回は1月28日に「白鷹」の白鷹株式会社にて「灘酒よもやま話」というテーマで開催されるようです。

ちなみに、第3回は「大関」の大関株式会社にて「大関きき酒道場」、第4回は「白鹿」の辰馬本家酒造株式会社にて「日本酒のあるちょっと贅沢な暮らしセミナー」が開催予定となっています。

(文/天田知之)