美味しい料理と日本酒。それらが合わさった相乗効果を、アットホームな雰囲気のなかで楽しめたら素敵ですよね。
今回は、こだわりの料理と日本酒の"食べ合わせ"で癒しの時間を提供する、名古屋のカジュアルな居酒屋「米家(まいほーむ)」を紹介します。
千種駅から徒歩4分!
名古屋駅から、JR中央線か地下鉄東山線でおよそ10分。千種(ちくさ)駅からほど近いところに、日本酒好きの店長が出迎えてくれてくれる店「米家」があります。
地元の人々だけでなく、県外からのお客さんも多いのだそう。カウンターは広く、女性のおひとりさまでも気軽に入れそうです。カップルや仕事の仲間など、さまざまな方々がいらっしゃっている印象です。ホームページからもアットホームな雰囲気が伝わってくるため、安心して来店されているのでしょう。
研究熱心な店長がつくる、こだわりの料理
「米家」の名物は、店長の米重武(よねしげ たけし)さんがこだわり抜いた食材や調味料を使った、美味しい料理の数々。和食をベースにしていますが、米重さんが新しい発見をするたびに、メニューがどんどん変わっていくそうです。
愛知県内で仕入れた魚や肉に加えて、岐阜県にある「まめな農園」の新鮮な野菜が料理に彩りを添えてくれます。
また、ここの料理に欠かせないのは、出汁と福岡県「ミツル醤油」の醤油。さらに、同じ福岡県「旭菊酒造」のお酒を調理にも使用しています。すべて、米重さんが試行錯誤を繰り返してたどり着いた、こだわりの一品ばかりです。
「米家」のお酒は、ほぼすべてが日本酒。米重さんが大の日本酒好きというシンプルな理由です。ビールやノンアルコールのドリンクもありますが、お客さんのほとんどが日本酒を注文するのだそう。
名古屋ではあまり見かけない「旭菊酒造」のラインアップをはじめ、お燗で力を発揮する銘柄が中心。すべて100mlで400円、1合で700円から。人数に合わせてちょうど良いサイズを選べるのがうれしいですね。
「ここに来て良かった」と思っていただけるのがうれしい
日本酒との相性がバッチリなメニューは、季節やその日の仕入れによって変わるそうです。今回は、米重さんおすすめの料理と日本酒の食べ合わせを提案していただきました。
まずはお通しから。鴨のロースト、ほうれん草のおひたし、カマスの棒寿司の3種類。これらに合わせて、愛知県「長珍酒造」の「長珍 阿波山田65」をぬる燗でいただきます。
鴨のローストはとてもやわらかく、しっかりとした味付けです。ぬる燗と合わせることで、後味がスッキリとした印象。カマスの棒寿司はほどよい酸味で、こちらも相性抜群。さらに、出汁の効いたおひたしで、お酒がすいすいと進みます。
続いては、お造りの盛り合わせ。"刺身に合わせる日本酒は冷やしたもの"というイメージが強いですが、こちらのおすすめはぬる燗との食べ合わせ。石川県「鳥屋酒造」の「池月」をいただきました。優しい米の風味が、白身魚の味わいと絶妙にマッチしています。
人気ナンバーワンのメニューは、とろろ昆布と出汁豆腐。旭菊酒造の「綾花」を、これまたぬる燗で合わせます。
豆腐の甘味と少しだけ振られた七味のアクセントがとても美味しいです。さっぱりとしつつも深い旨味のある出汁のおかげで、お酒がぐいぐい飲めてしまいます。幸せな瞬間です。
この他、おばんざいの盛り合わせなど、美味しい料理をお腹いっぱいになるまでいただきました。
お客さんの多くは、米重さんに日本酒を選んでもらうのだとか。「"よねちゃん"にお願いすると、絶対に外れないんだよね」と、常連のお墨付きです。
時には、お客さんからのリクエストが定番のメニューになることもあるのだそう。こちらの冷や汁も、そのひとつです。旭菊酒造の「旭菊 純米吟醸」を合わせていただきました。
「実は、本物の冷や汁を食べたことがなかったんです。レシピを見ながら、お酒に合わせることを考えてつくったオリジナルだったのですが、お客様が『美味しい!』と喜んで食べてくださったのを見て、期待に応えられて良かったと思いました。美味しいと言っていただくのももちろんうれしいですが、『きょう、ここに来て良かった』と思っていただけるのがいちばんうれしいですね」と話してくれた米重さん。癒しの時間を過ごしてもらうための気遣いにあふれた店長です。
その日の混雑状況にもよりますが、材料があれば、お客さんからのリクエストにも積極的に対応してくれるのだそう。個人店ならではのあたたかいサービスですね。
"マリアージュ"ではなく、"食べ合わせ"
飲食店の仕事に長年従事し、2013年に自分の店をもち始めた米重さん。日本酒への思いをうかがいました。
─ どうして、日本酒の店をやろうと思ったのですか。
「"日本酒の店"ではなく、"料理と日本酒の食べ合わせ"をやりたくて始めました。実は、10年くらい前まで、日本酒があまり飲めなかったんですよ。
当時勤めていた飲食店でお世話になっていた『ごとう屋』さんという酒販店から、神亀の熱燗を勧めてもらったんです。口をつけて、脂がのったのどぐろといっしょに食べたとき、日本酒に対する世界観が大きく変わりました。
魚の脂とそれに合わさるキレの良い日本酒。『これが"キレ"か!これが、"食べ合わせ"か!』とわかった途端、それから一気に日本酒にハマりました」
「単体でも美味しい料理と日本酒を、"食べ合わせ"によってさらに美味しくする。お互いの良さを引き出し合って、より美味しくなるのが理想ですね。濃い味の料理にパンチの効いた日本酒を合わせるのもアリですが、うちでは『料理に寄り添う』ことを大事にしています。
蔵元さんが造った美味しい食中酒を、もっとも美味しい"食べ合わせ"でお客様に味わってもらいたいですね。お互いを引き出す"食べ合わせ"を考えるのはとても楽しいです」
─ 今後の目標はありますか。
「もっともっと、"食べ合わせ"を広めていきたいですね。最近は、日本酒の世界でも、ワインのように『ペアリング』や『マリアージュ』なんて言葉が使われるようになってきましたが、僕にとっては"食べ合わせ"のほうがしっくりきます(笑)。それぞれの余韻に合わせるのではなく、口の中に食材が残ってる状態でいっしょに飲んで美味しいというイメージです。
また、日本酒で名古屋全体をもっと盛り上げていきたいです。そんな思いもあって『日本酒ゴーアラウンド』などのイベントでは、名古屋事務局を担当しています。
直近では、8月26日(日)に『食べて飲もまい〜うますぎるがや〜』というイベントを開催予定です。このイベントには名古屋だけでなく、北海道や福岡、大阪、神戸の飲食店も参加してくれます。こんなにすごいメンバーが集めるイベントはあまりないと思うのでおすすめです!」
─ 名古屋のために、日本各地から凄腕の飲食店が集結するんですね。
「そうなんです。飲食店が酒蔵とタッグを組んで、美味しい"食べ合わせ"を提供します。飲食店がおすすめする料理と日本酒の"食べ合わせ"を試した後に、その料理を少し残しておいて、違うお酒との相性を試してみるなんて楽しみ方ができるのは、このイベントならではだと思います。まさに『食べて飲もまい』ですね。
初開催の一昨年も盛り上がりましたが、今年はさらにパワーアップして、Zepp Nagoyaでの開催が決まっています。ライブ並みの熱い時間が過ごせますよ!」
"食べ合わせ"への強い思いをもつ米重さんによる癒しの時間が魅力的な「米家」。ぜひ一度、訪ねてみてはいかがでしょうか。
(文/spool)
◎店舗概要
- 店名:「米家(まいほーむ)」
- 住所:〒464-0075 愛知県名古屋市千種区内山3-1-15 三ツ矢ビル
- Tel:052-741-7565
- 営業時間:
[月・火・木・金] 18:00〜23:00
[土・日・祝] 17:00~23:00 - 定休日:水曜、第3火曜
◎イベント概要
- イベント名:「食べて飲もまい〜うますぎるがや〜」
- 日程:2018年8月26日(日)
- 会場:Zepp Nagoya (愛知県名古屋市中村区平池町4-60-7)
- チケット:参加飲食店、またはe+(イープラス)で販売中