各路線からのアクセスが良好で、学生やサラリーマンなど、多くの年齢層でにぎわいをみせる新宿エリア。
昨年11月、そんな新宿に"日本酒×本"をコンセプトにした新しい日本酒バー「know by moto」が誕生しました。
今回の記事は、グルメサイト「ヒトサラ」との特別企画。日本酒とグルメ、それぞれの視点から「know by moto」の魅力に迫っていきます。
TSUTAYAとのコラボから生まれた新しいコンセプト
「know by moto」があるのは、新宿駅から徒歩1分という好立地。TSUTAYAとのコラボレーションから誕生した、"日本酒×本"がコンセプトの新しい酒場です。
さっそく中に入ってみましょう。
店内に入った瞬間、最初に見えてくるのは、壁一面に広がった本棚です。すべて、日本酒に関連した本なのだそう。『dancyu』などの雑誌から、『うまい酒の科学』といった専門書まで、幅広いジャンルの書籍がそろっており、「日本酒の本って、こんなにたくさんあるんだ......!」と、思わず驚いてしまいました。
ちなみに、店内に置いてある本はすべて購入可能。日本酒の本を探すときには、大きな書店に行くよりも、ここを訪れたほうが、探しものが見つかりやすいかもしれませんね。
店内は薄暗く、まるで書斎のような落ち着いた雰囲気です。店内にゆらめく火の灯りが、おしゃれな雰囲気を演出しています。
奥に進むと、カウンターのなかに、日本酒の入った大きな冷蔵庫があります。ここでは、常時80種類以上の日本酒をそろえているのだとか。「新政」や「而今」などの有名銘柄をはじめ、「川鶴」や「木戸泉」など、日本酒ファンをうならせるラインアップです。
「冷蔵庫が大きいので、幅広い種類を置くようにしています。同じ銘柄でも、原料米の品種や精米歩合が違う飲み比べを楽しんでいただくこともできますよ。たとえば、滋賀県の『萩の露』は、山田錦の父母にあたる『短稈渡船』『山田穂』をそれぞれ使ったお酒を飲み比べていただくことができます」
そう話してくれたのは、料理長の天野直生さん。系列店である、新宿三丁目の「日本酒スタンド酛」で店長を務めた経験もあるそうです。
そんな天野さんに、おすすめの日本酒と料理を聞いてみました。
"日本酒×おつまみ×本"の新しい組み合わせ
まず紹介していただいたのは「而今 純米吟醸」とポテトサラダの組み合わせ。
多くの日本酒ファンを虜にしている銘酒「而今」を造る木屋正酒造の杜氏・大西唯克さん、実は無類のポテトサラダ好きなのだそう。「know by moto」のポテトサラダも大好きだということで、今回のペアリングを提案していただきました。
「蔵元や杜氏の方々と実際に会ってお話しさせていただく機会も多いので、そこで知ったことをお客さんに伝えていくのが、私たち飲食店の使命のひとつですよね」と、語る天野さん。
ポテトサラダはとてもなめらかな口当たりですが、中に入っているベーコンがさらに食感を楽しませてくれます。バランスの良い「而今」は、じゃがいもとベーコンの旨味をしっかりと受け止めてくれるので、杯も箸もどんどん進んでしまいそうです。
次に紹介していただいたのは、名物・フルーツサンドです。
合わせる日本酒には、今や大人気銘柄のひとつとなった、秋田県・新政酒造の「ラピス」を選んでいただきました。
フルーツサンド×日本酒という馴染みのない組み合わせですが、マスカルポーネチーズがたっぷりと使われているため、食事というよりはむしろ酒肴として力を発揮してくれる味わいです。ミックスベリーの酸味と「ラピス」の甘酸っぱく飲みやすい酒質が絶妙にマッチしています。
今回は特別に、このペアリングに、さらに本を合わせていただきました。
天野さんが選んだのは『日本酒マニアックブック』。本の中で、新政酒造の若き蔵元・佐藤祐輔さんが登場しています。本をパラパラとめくりながら、気になった銘柄をその場で飲むことができるというのは、きっと貴重な体験でしょう。
ちなみに、このフルーツサンドは、片手で本を読みながらもう片手で食事ができるようにという思いから誕生した一品。お客さんの目線に立って生まれたんですね。
「本を手に取るように、日本酒を手に取ってほしい」
店内の装飾やメニューの工夫など、ひとつひとつの要素がとてもていねいにつくられている「know by moto」。オープンがAM11:00ということもあって、喫茶店のように利用する人や、昼飲みを楽しむ人も多いのだとか。また、外国人旅行客の来店も少なくありません。
新宿という立地のなかで、天野さんはどんな店を目指しているのでしょうか。
「日本酒ブームといわれるなかで、今まで馴染みがなかった人たちにも日本酒を飲んでもらおうと、たくさんの専門店が誕生しましたが、そのぶん、かえって専門性が高くなってしまったように思っています。『know by moto』をオープンするにあたって、あらためて、"ビギナーにとって良い環境"ってなんだろうと考えました。
『これおもしろそう』『表紙がステキ』という理由で、思わず本を手に取ってしまうように、日本酒も気軽に飲んでほしいですね。まずは店名にも入っている"know"、つまり、"知る"ことから始めることが大事だと思っています」
"ファンになる"、"体験する"の前に、まずは"知る"ことから。日本酒をさらに深めたい人も、これから飲んでみたいと思っている人も、食べる・飲むという経験だけでなく、"知る"という体験で日本酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。
「know by moto」おすすめの"日本酒×おつまみ×本"の組み合わせをもっと知りたい方は、グルメサイト「ヒトサラ」が配信する、こちらの記事をご覧ください!
◎店舗情報
- 店名:「know by moto」
- 住所:東京都新宿区新宿3-26-14 B1F
- 電話番号:03-3225-7788
- 営業時間:11:00~23:00 (L.O. 22:00)
- 定休日:なし
(取材・文/小池潤)