こんにちは!台北市在住の謝です。
「どラブ日本酒」な視点で台湾における酒文化についてご紹介いたします☆
「熱炒」(台湾式居酒屋)の看板がキラめく半路上で、おじさん達が酒を酌み交わしながら油こい料理をつついている、黄昏の繁華街。
こういうのを見るとお尻がムズムズ、居てもたっても居られなくなるのは呑兵衛の証拠。何を飲んでいるのか横目で見ていると大半はまず台湾ビール。
そんな台湾ビール、実は日本ととても深い関わりが有る。
台湾ビール
1920年、日本人実業家が台湾で初のラガービール「高砂麦酒(たかさごビール)」を製造販売。これが戦後に中華民国政府の専売品となって今に至っている。暑い地方のビールらしく味は薄め。台湾のあぶらっけの多い食事と合わせるとピタリと舌におさまる。
高粱酒(カオリャンチュウ)
アルコール度数も50度以上と高く、鼻につんとくるコーリャンの香りは慣れるとハマる(芋臭いほどうまいという芋焼酎好きにはおすすめかも)。
この高粱酒、近年は投機対象となり古酒が当時の100倍以上の値段で取引されているらしい。
紹興酒
日本人にとって中国酒といえば「紹興酒」。台湾でも紹興酒が作られてはいるが好んで飲む人は少ない。
もし台湾のレストランにこれが置いてあるとすれば、日本人観光客向け、もしくは蒋介石(紹興市出身)と共に内戦を逃れて台湾に来た方々向けかもしれない。例えば知人のお爺ちゃん(上海出身)は甘い干し梅を入れて紹興酒を晩酌にするのが昔からの習慣という。
小米酒
粟(あわ)を原料にしたお酒。主に台湾原住民(台湾先住民/現在14族が認められている)の手で作られている。
韓国のマッコリに似た濁り酒で、かつては発酵に口噛みの方法が取られていた(口噛み:日本でも大和の時代には巫女などの口噛み酒が作られていた、蒸した粟を口で噛み瓶に吐いて貯め自然発酵させる)。
飲んでいると万葉の昔に遊んでいるようで、何となく気が大きくなってくる。
日本酒
ここまで一般的に飲まれている台湾のお酒について書いてきた。最後に台湾産日本酒「玉泉」「初霧」をご紹介しよう。
「玉泉」で使用されている「蓬莱米」。
台湾種と日本種の交雑により日本統治下の台湾で開発された品種。現在でも台湾でおもに食べられているお米である。
高関税で高酒税の台湾では(関税率40%!)輸入酒はまだまだ高価。久保田千寿≒3,400円、八海山純米吟醸≒5,400円、京都の玉乃光純米大吟醸≒9,500円(すべて720ml瓶)と言った感じで、普段づかいで楽しむには程遠い(泣)
そんな在台日本酒愛好家にとっての救世主が、日本統治時代の清酒技術が生かされたお酒「玉泉」。粘り気と甘みの少ない蓬莱米の性質によるのか、すっきり感や旨味・芳香に物足りなさは残る。が、大手メーカーのパック酒より断然美味しい。しかも安い(純米酒だと600MLで200元≒680円)!!!
国内の造酒シェアを殆ど仕切っている専売局のTTLが作っている「玉泉」に対し、最近は民間も頑張っている。台中の農協で作られた「初霧」は、「益全香米」という米を用い、今年ドイツで行われた国際コンクールで銀賞を受賞。
「わたしは、忘れられた日本人なんですよ。」
一昨年亡くなった夫の親戚(90歳)に初めてお会いした時の言葉は、台湾に嫁いで来た私にとって最初のカルチャーショックだった。
来年で戦後70年。
ということは台湾で生まれた70歳以上の世代の多くが当時は日本人として産まれ、76歳以上の方は日本語で日本教育を受けたことになる。WTO加盟以前は、日本酒の酒税が240%だった台湾で、それでも日本酒の文化が廃れることがなかったのは日本時代を知る年配の方々に飲み親しまれて来たことが大きいだろう。
ここ数年で日本の地酒を提供するお蕎麦屋さんなど、人気店は増えた。それでも日本産の地酒を普通に楽しむにはまだまだ敷居が高いのが現状である。
安価で美味しい日本酒が飲めることを願って止まない在台日本酒好きにとっては、更に日本酒が台湾市場に受けいれらてほしい。これからも台湾の日本酒事情を注視していきたい。
以上です!
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