白鳥の飛来地の老舗蔵

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冬場には白鳥が大挙飛来することで有名な瓢湖がある、阿賀野市(旧水原町)に蔵はあります。元は「越の日本桜酒造」でしたが、2009年に「越後桜酒造株式会社」に社名を変更しました。同酒造はさいたま市に本拠を置く世界鷹小山家グループの酒蔵となり、リーズナブルな吟醸酒路線で売り上げを伸ばしています。

創業は明治23年(1890年)。主力銘柄は元々は「越乃日本桜」でした。酒名は江戸後期の国学者・本居宣長の歌「敷島のやまと心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」に由来し、新潟特有の淡麗辛口酒を醸してきました。旧蔵の老朽化、生産量増加により、2009年には機械化を進め、大吟醸酒を1800kl生産可能な蔵に全面改装。同時に、白鳥の飛来地に由来して「白鳥蔵」と名付けた観光用の見学蔵を建築し、蔵見学もできるようになりました。

ワイングラスでおいしい日本酒アワードの最高金賞受賞

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同蔵のフラッグシップともいえる「越後桜 大吟醸」は2015年の「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」のメイン部門(2600円以下の値段)で最高金賞を受賞しています。

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」は、地酒蔵や酒類卸売会社などが中心となり、日本の伝統的な酒器では感じられない香りを感じさてくれるワイングラスの力を認識し、新たな日本酒の魅力を伝えていこうというコンセプトで2011年より開催されているアワードです。さらに、若年層への啓蒙という「年齢の壁」、和食以外にも日本酒の相性は良いことを広めたい「業態の壁」、世界に広める「国境の壁」という3つの壁を越えていくために新しい提案としての試みとしています。

バニラのような香りが印象的

この大吟醸は山田錦を中心に酒造好適米を50%まで精米しています。上立ち香は、バニラ香ともバナナ香ともいえるフルーティーな香りが鼻腔をくすぐります。確かにワイングラスなら華やかな香りが印象的になるでしょう。口に含むと、醸造アルコール由来の苦みを感じながらもフルーティーな旨みと、控えめな山田錦のふくらみを感じさせます。ぬる燗にすると丸みを感じさせ、意外といけます。淡白な白身の刺身などに合いそうです。好みは当然あるとして、大吟醸酒としてはどこにでもある平均的なものと言えます。しかし、山田錦50%の大吟醸酒が2500円以下というハイコストパフォーマンスに大きな価値があると思います。

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