山口県が世界に誇る芸術的建造物「錦帯橋」に由来

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山口県は中国地方でも有数の酒どころ。県内には24の蔵がありますが、中でも岩国市は、世界にその名が広まった「獺祭」の旭酒造や「雁木」の八百新酒造など5つの蔵が良酒を醸し、萩市と並ぶ県屈指の銘酒の町といえるでしょう。

1871年(明治4年)創業の「五橋」を醸す酒井酒造もまた山口を代表する酒蔵です。銘柄の由来は、錦川にかかる五連の反り橋「錦帯橋」にあります。「錦帯橋」は日本三名橋のひとつで、岩国の観光名所として有名です。そんな世界的名橋に負けないような良酒を醸すことを目指しています。

超軟水で仕込む、地元に根差したソフトな銘酒

五橋の酒造りへのこだわりは「米、水、人」です。1996年(平成8年)から山田錦の契約栽培を始め、その栽培地に自家製米所を移設しています。自家栽培は行っていませんが、「酒造りは米作り」をモットーに、県内の酒米栽培地には蔵元と製造担当者が必ず足を運び視察します。また「名水あるところに銘酒あり」といわれますが、五橋もその例に漏れません。五橋の仕込み水は硬度1.5という超軟水。山口県最大の清流「錦川」の伏流水です。1947年(昭和22年)、硬水仕込みの蔵が主流の時代に、軟水仕込の同蔵が全国新酒鑑評会の第1位を獲得し、五橋の名を全国に知らしめました。軟水によるソフトで香り良い酒質が特徴です。さらに、蔵人も杜氏を初め全員が山口県出身。まさに「地酒」にこだわっています。

県オリジナルの酒米「西都の雫」

本銘柄に冠されている「西都の雫」は山口県オリジナルの酒造好適米。県産の幻の酒米「穀良都(こくりょうみやこ)」を母方に、「西海222号(山田錦が親)」を父方として掛け合わせて2004年(平成16年)に品種登録出願され誕生した酒米です。2006年(平成18年)に県内13蔵が同酒米で仕込んだ清酒を販売し、すっかり山口県を代表する酒米のひとつとして定着しました。綺麗でふくらみのある味わいと、おだやかな香りが特徴といわれます。

ソフトながら太い味わいのフルボディ酒

五橋ぐいのみ

この「五橋 西都の雫」は県産米を55%まで磨いています。口に含むと、しぼりたて生酒だからか、心地よい麹香と若干の硬さを感じます。その後に太めの酸と甘味が口いっぱいに支配してきます。西日本の生酒に多い、フルボディ酒です。ですが、軟水仕込みが要因なのか暴れるような感じはなく非常にソフトな口当たり。後口の余韻は非常に長いタイプです。火入れにすると落ち着きが出て、旨甘味が増すと予想します。単体で呑むか、濃いめの煮付けなどに合わせると良いでしょう。

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