九州を代表する銘酒
今や、九州を代表する銘酒を醸す酒蔵として知られる「三井の寿」。杜氏制度をいち早く廃止し、専務の井上宰継さんが蔵元杜氏として酒造りを行なっています。
「酒造りは化学とセンスと情熱だ!」をモットーに、化学と伝統の両面から日本酒にアプローチ。「豊穣美田 山廃純米」のような、昔からの日本酒ファンを魅了する銘柄だけでなく、見た目や味わいがおしゃれなイタリアンラベルシリーズなど、幅広いラインアップで幅広いファンを獲得しています。
また、海外にも目を向け、イタリアや中国などへの輸出も行なっています。さらに、普通酒が全盛だった時代、一足先に純米酒造りへシフトし、鑑評会に出品用するもの以外は全量純米酒。昔から、先見の明があったのでしょう。
ワイン好きに向けた、ワイン酵母の日本酒
今回紹介する「三井の寿 ワイン酵母で造った純米吟醸酒」は、ワイン酵母を使って醸された一品。ふだん日本酒を飲まない人やワインを飲み慣れている人にも興味をもってもらおうというコンセプトです。
見た目も、ワインのようなデザインが印象的。そもそも、アルコール耐性の弱いワイン酵母は、日本酒造りには向いていないといわれていました。しかし、ワイン酵母も年々進化しているのです。今回のお酒は、アルコール耐性が高く、かつ国内で頒布されている「協会ワイン用4号酵母」で仕込まれています。
清酒用の酵母にはない個性的な酸味
香りは白ワインのような果実香。口に含むと、レモンやグレープフルーツを思わせる、日本酒ではあまり感じない柑橘系の酸味が強く感じられ、引き締まった印象があります。後口はズバッとキレていくため、キンキンに冷やして飲むと、爽やかな辛口純米酒のイメージです。
温度が上がってくると、奥に隠れていた白ワインらしいマスカット感や米の旨味が出て複雑な味になり、その深みに驚かされます。清酒用の酵母とは趣の異なる味わいで、発酵の奥深さをあらためて思い知らせてくれるお酒です。
料理にも幅広く適応し、食中酒にもってこいの一品。ペスカトーレや冷製パスタ、サーモンやタコのカルパッチョ、カプレーゼなどの洋食から、冷奴、貝類や白身の刺身、ポテトサラダ、塩味系のおつまみに合わせて楽しむことができるでしょう。