全量長野県産の酒米使用の「地元酒」を醸す

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長野県の北端、奥信濃の飯山にある小さな蔵ですが、確かな造りで徐々に知名度が広まっています。県内有数の豪雪地帯で、仕込み水は野沢温泉村の水尾山から湧き出る清水を全量使用しています。小規模蔵ならではの地産地消に並々ならぬこだわりを持っています。

全量長野県産の酒造好適米を使用。現在は「ひとごこち」「しらかば錦」「金紋錦」の3種類を使用。さらに使用酒米の70%が蔵から5㎞圏内で栽培される酒造好適米となっています。杜氏、蔵人も蔵から車で15分ほどの近所に住む人々により、真面目で、けれんみのない「地元酒」を醸しています。

幻の酒米「金紋錦」を積極的に使用

このお酒に使用されている酒造好適米「金紋錦」について説明が必要かと思います。金紋錦は「たかね錦」と「山田錦」を交配し、昭和31年に開発されました。当時は県内の各酒蔵で同米でも醸されていましたが、栽培や精米も難しく扱いにくい米でした。

その後、美山錦やひとごこちなど、使いやすく高品質の酒米が誕生すると金紋錦の使用は先細りになり、一時期、使用する蔵は石川県の福光屋(黒帯、加賀鳶で有名)1蔵のみとなったそうです。また、長野でも飯山市に隣接する木島平村でしか生産されていない、まさに幻の米と言われる希少種でした。

地酒とは、地元の米、水を使った酒という思いのある蔵元は、粘り強い交渉の末、平成16年(2004年)から金紋錦を安定的に確保することができるようになり、純米大吟醸や純米酒に使用しています。

独特の酸が心地良い純米酒

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金紋錦の特徴は独特の深みとふくらみ、そして心地よい酸味が挙げられます。この特別純米酒は金紋錦を59%まで精米し、7号酵母を使用。純米酒らしいコクをシンプルに出しながら、独特の酸味がさっぱりとした後口を演出します。この酸味はほかの酒米にはない個性で、果実のような白ワインのような爽やかさと深みを感じます。冷やからぬる燗まで幅広い温度帯で楽しめるでしょう。

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