自社精米にこだわる酒蔵

高千代酒造のある新潟県南魚沼市は、コシヒカリの代表的な産地です。また、群馬県との県境近くにある巻機山の麓に位置し、県内でも有数の豪雪地帯として知られています。巻機山の雪解け水が清冽な地下水となり、米作りや酒造りに適した土地です。

takachiyo 38 Extraeditionの写真

同蔵は、米に強くこだわっています。"幻の酒米"とも呼ばれる、新潟県産の酒米「一本〆(いっぽんじめ)」を使った酒造りに取り組み続けてきました。

自社の田んぼで種もみを生産し、契約農家に栽培を依頼しているのだそう。また、精米の工程を外部に委託するとどうしても目指す酒質にならないため、自社精米を導入しました。同蔵の精米は「扁平精米」が特徴。一般的な精米は米を丸く削っていきますが、扁平精米は米の楕円形を保ったまま削っていきます。米の中心部・心白(しんぱく)のまわりにある脂質やタンパク質など、酒の雑味となる成分をを効率よく取り除いていくことができるのです。

全国で人気を博す「Takachiyo

高千代酒造の主要銘柄を紹介しましょう。まずは、地元消費が中心の辛口タイプ「髙千代」。続いて、全国で人気が高まっている特約店限定の銘柄「たかちよ」です。

「たかちよ」は新潟清酒らしい淡麗さを残しながら、果実感を意識した銘柄。コンセプトそのものを感じてもらうため、製造方法や原料米などは一切公表していません。

そして今回紹介するのが「Takachiyo」。「Takachiyo」のラインアップはすべて、酵母は「きょうかい1801号」を使用し、米はすべて扁平精米によって59%まで磨かれています。さらに、外国人のお客さんにもわかりやすい、英語中心のラベルになっています。

贅沢で極上な味わいの番外編

今回ピックアップしたのは「Takachiyo」の番外編「38 Extra Edition」。シリーズ最高峰ともいえる、山田錦を38%まで磨いた純米大吟醸酒です。使用している「きょうかい1801号」は発酵力が強く、酸味の少ない華やかな香りを出してくれる酵母で、全国新酒鑑評会の出品酒に使われるなど、高い人気があります。

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上立ち香は麹の穏やかな香りと、マスクメロンやパインのような華やかな果実香。口に含むと、濃醇な米の旨味と蜂蜜のような甘味、そしてその奥にフルーティーな酸味を感じます。旨味が凝縮された味わいですが、適度な締まりがあり、透明感が抜群です。

山田錦を贅沢に磨いただけあって、上品でエレガントな味わい。そのなかに、新潟清酒らしい淡麗さも感じられました。余韻は長く、スーッと消えていくような印象です。

アルコール度数は15度で、生原酒にしては少し低め。落ち着いた大人の味わいです。ハレの日やパーティーのシーンで、チーズなどの食事と合わせるのが良いでしょう。ワイングラスや切子などの酒器で、キンキンに冷やすか、常温で飲むことをおすすめします。

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