清酒の歴史の原点・鈴鹿の老舗蔵
モータースポーツの聖地・鈴鹿サーキットがある三重県鈴鹿市に1869年(明治2年)に創業した清水清三郎商店。もとは地元の漁船などを多数所有する網元だったようで、その資金を元に酒造業を初めたようです。
鈴鹿の酒の歴史は古く、倭姫(やまとひめ)が天照大神(あまてらすおおみかみ)の名を受け、鎮座場所を現在の伊勢神宮に定めるまでを描写した「倭姫命世記」には、味酒鈴鹿国(うまさきすずかのくに)と記されています。「うまさけ」とは鈴鹿にかかる枕詞として今に伝わっています。しかし、お酒にゆかりの深い鈴鹿ではありますが、数多くあった酒蔵も廃業がつづき現在は清水清三郎商店が鈴鹿唯一の蔵となっています。
ガンダムファンから「作」が浸透
元々の銘柄は鈴鹿川です。普通酒を中心に最盛期で6000石を生産していた時代もありましたが、日本酒業界の不振により、同蔵も一時は300石程度まで減産していました。そんな中で、蔵の生き残りをかけた新ブランドを2000年に開発。その基本は地元・伊勢平野で生産された特上の酒米のみを使用し、鈴鹿山脈の伏流水、そして鈴鹿出身の伊勢杜氏から生れたお酒です。呑む人や提供する人たち出会った皆で作り上げるという願いを込め「作(ざく)」と名付けられました。
この名前が、モビルスーツ「ザク」が登場する機動戦士ガンダムのファンに注目されました。漫画などにも掲載され、ファンを中心に徐々に全国の日本酒ファンにも広まっていきました。高い酒質も相まってロングセラーとなり、左党の舌を満足させています。現在は1年を通じて醸造できる、四季醸造の蔵になっています。
完熟フルーツのような香りが心地よし
同酒は2015年「第7回純米酒大賞」の最高金賞、同年「SAKE COMPETITION2015」で金賞、2016年5月16~18日に兵庫県神戸市で開催された「インターナショナル・ワインチャレンジ」で日本酒部門の純米酒の部で銀メダルを獲得するなど、その味わいに高い評価が与えられています。
同酒は作シリーズの中でもスタンダードな日常の晩酌酒で映えるお酒です。金沢酵母を使用し、60%まで精米しています。金沢酵母由来なのか、完熟したメロンやライチのような香りが印象的です。「瓜のような感じ」とも表現した方も。口に含むと米の旨みと酸味のバランスが取れた味わい。含み香もライチっぽさを感じます。切れ味も申し分なく、しっかりした旨みも感じながら引き締まった爽やかな味わいで呑み飽きしません。ぬる燗にすると酸味が消え、旨みがより膨らみます。和食から肉料理まで、さまざまなおつまみに対応してくれるでしょう。
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