酒の選び方は人それぞれ。米の品種、精米歩合、使用する酵母などで酒の香味を予測し、これぞという1本を選び出す。あるいは雑誌やサイトなどで知った酒蔵のポリシーが気に入ったのをきっかけに買ってみるなんてこともあるかも知れません。

このように、品質や製法で選ぶ人がいる一方で、親しい人が住んでいる街の酒だからとか、旅行を機会に好きになったところだからという理由で、その土地の地酒を買い求めるという人がいます。酒は味の良し悪しだけでなく、記憶のイメージも美味しさのうちということですね。

今回はそんな酒選びにふさわしいユニークな1本を紹介しましょう。

北海道・大雪山の麓で育った酒

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四季折々に美しい丘陵風景が訪れる人々を魅了する美瑛町。北海道を代表する観光地のひとつとして知られています。冬季のあいだ、高砂酒造の「大雪(たいせつ)」はこの丘でじっくりと熟成します。雄大な北海道の冬景色をイメージしながら味わってみてはいかがでしょうか。

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酒米も北海道産の「彗星」。名実ともに北海道の酒です

蔵人が「冬眠」と呼ぶ氷点下2℃の雪中貯蔵とは?

高砂酒造の「大雪」の熟成手順はこうです。まず美瑛の丘に貯蔵用タンクを設置。搾りたての新酒を入れ、タンクを丸ごとたっぷりの雪で覆います。雪の中で酒は0℃から-2℃の温度に保たれ、その状態のまま約100日間保管されます。晴れたり冷え込んだりしても、タンクの中は、ほぼ一定の温度を保持するのが雪中貯蔵のメリットです。

酒が凍ってしまうのでは?という疑問が浮かびますが、アルコール度数15℃の場合、日本酒の氷点は-7℃ぐらいですから凍結しません。なぜ、わざわざ冷たくするの?という疑問には明快な答があります。酒は低温という環境下ではゆっくりと熟成が進み、味にまろみが増すという効果があるんですね。

この様子を蔵人たちは「冬眠熟成」と呼びます。実に言い得て妙であります。冷蔵庫を使ってでも可能でしょうが、雪で冷やすところがいかにも北海道らしくて面白い。今シーズンは昨年12月に雪中貯蔵を開始。そして4月に雪の中からタンクを掘り出しました。

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雪解けのころに、タンクの掘り出します

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杜氏の森本さんがタンクを開け試飲。今年も出来は上々です。

こうして新たな旨さを吹きこまれた酒は、やわらかな口当たりと芳醇な味わいを身にまとい、すっきりとした後味が特徴。冷やすと口当たりはいっそう爽やか、そして雪が解けるようにふんわりと豊かな味わいに。この夏に楽しみたい1本となりそうです。

◎商品紹介
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高砂酒造「大雪 本醸造雪中貯蔵酒(左)
・原料米/北海道産酒米「彗星」
・精米歩合/60%
・日本酒度/+3
・アルコール度数/15~16度
・720ml 1,000円(税別) ※数量限定(9500本)

高砂酒造「雪のゆりかご 純米雪中貯蔵酒(右)
・原料米/北海道産「吟風」
・精米歩合/60%
・日本酒度/+4
・アルコール度数/15~16度
・酸度/1.5
・720ml 1,463円(税別)

(文/KOTA)

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