2024年3月、北陸新幹線が敦賀駅まで延伸し、首都圏から福井県まで最短で3時間弱で移動することができるようになりました。今、旅行先のひとつとして、福井県が注目されています。
そこで、SAKETIMES編集部では、読者のみなさんに飲んでほしい福井県の日本酒をピックアップ。4週にわたって紹介します。
第1回は、福井市にある常山酒造(とこやましゅぞう)の代表商品「常山 純米辛口 超」です。
旨味とキレのある「淡麗旨口」を目指して
常山酒造は、北陸新幹線の停車駅であるJR福井駅から徒歩で約15分という好立地にあります。
江戸時代末期の1804年(文化元年)に創業し、現在の代表・常山晋平さんで9代目という歴史のある酒蔵で、福井県の豊かな風土から生まれた海の幸や山の幸に寄り添った酒造りに取り組んでいます。
使用する酒米は、すべて福井県産。五百万石、山田錦、美山錦、そして福井県が開発した「さかほまれ」を使用し、後口のキレが良く、それでいて米の旨味を充分に感じられる「淡麗旨口(たんれいうまくち)」の味わいを目指しています。
そんな常山酒造の代表銘柄である「常山(じょうざん)」から編集部がピックアップしたのは、「純米辛口 超」。かつての定番商品だった「純米超辛」を、発売20周年を機にリニューアルした一本です。
厳冬の凛とした空気のような澄んだ味
それでは、実際に飲んでみましょう。
グラスに注いでみると、穏やかな甘味のある香りが立ち上がります。熟した果実ではなく、まだ若くて青い果実のような、爽やかな印象がありました。
口に含んでみると、飲み口は軽快で、透明感のある甘味が感じられます。クリアな甘味の後には、穏やかで心地良い旨味が感じられますが、後口は短くドライ。シャープでキレの良い味わいです。
全体的に洗練された味わいで、若々しい緑があふれる森の中の清流や、厳しい冬の凛とした空気のような印象がありました。造り手の実直なこだわりが、まっすぐに表現されているように感じます。
どんな料理にも寄り添ってくれる、懐の深い味わいですが、シャープですっきりとした淡麗な印象から、淡白な白身魚の刺身をはじめ、海の幸との相性が良いのではないかと感じました。イカの塩辛など、塩気の強いおつまみとも楽しめそうです。
おすすめの温度帯は、常山酒造の公式サイトにも記載されていますが、10〜15℃に冷やして飲むのが良いでしょう。冷やしすぎると旨味が感じにくくなってしまうため、冷蔵庫から出して少し温度が上がってきたころがベストだと感じました。
福井県の「淡麗旨口」が表現された一本
福井県の日本酒は、後口のシャープなキレと米由来の豊かな旨味が共存した「淡麗旨口」の味わいが特徴ですが、この「常山 純米辛口 超」は、その「淡麗旨口」がまっすぐに表現されている一本でした。
「常山 純米辛口 超」は一升瓶(1,800mL)と四合瓶(720mL)が全国で通年販売されていますが、福井県内でのみ、小瓶(300mL)が販売されているとのこと。北陸新幹線で福井県へ旅行した後、帰りの車内で、日本酒とおつまみを楽しみたい時にちょうど良いかもしれません。
◎商品概要
- 商品名:常山 純米辛口 超
- 原材料:米(国産)、米麹(国産米)
- 原料米:福井県産 五百万石 100%
- 精米歩合:麹米50%/掛米65%
- アルコール度数:15%
- 容量:720mL
- 購入価格:1,650円(税込)
- 醸造元:常山酒造合資会社(福井県福井市御幸1丁目19-10)
(執筆・編集:SAKETIMES編集部)