日本最北の酒蔵・国稀(くにまれ)酒造株式会社は、北海道増毛(ましけ)町にあります。

増毛町は、札幌市内から車でおよそ3時間の場所。日本海に臨むこの町には留萌(るもい)本線の終着駅があり、駅前のふるさと歴史通りには、明治時代から昭和にかけての建造物が歴史的な町並みを形成しています。

「なぜこんなところに酒蔵が?」と思う人もいるかもしれませんね。今回は実際に国稀酒造を訪ねて、蔵の歴史やおすすめのお酒を伺ってきました。

「国で稀に見るような酒蔵に」という思いから

日本最北の酒蔵・国稀酒造に併設されたショップの店構え

国稀酒造は明治15年創業。そのスタートは、明治8年に新潟県の佐渡から移住した本間泰蔵氏が、呉服問屋を始めたことなのだそう。「国稀」という名前には「国で稀に見るような酒蔵に」という思いが込められています。

当時、北海道で飲まれていた移入酒は値段が高く、あまり美味しくなかったのだとか。そんな移入酒に代わるものとして、美味しい伏流水を使って、美味しいお酒を造ろうとしたのが始まりです。

蔵の裏にある石蔵は明治35年からあるもので、新潟からそのまま運んできたものだそう。

国稀酒造の展示スペースに並ぶ過去に使われていたお酒の器

酒蔵の中には、実際に使われていた昔の酒瓶や、酒造りの道具が展示されています。

写真では大きさがわかりにくいですが、こちらの酒瓶には、なんと10升ものお酒が入ります。手前に見える小さな瓶は、四合瓶ではなく一升瓶。実際は、酒瓶としてではなく、看板としての要素が強かったようです。

国稀酒造で過去に使用していたラベルの展示

こちらは、過去に国稀酒造で使われていたラベルです。デザインがおしゃれですね。

試飲できるお酒は、なんと20種類

国稀酒造の歴史を勉強したら、次は酒造りの現場へ。

国稀酒造で使われていた酒袋

かつては5人の蔵人が、"槽"と呼ばれる機械を使って、3日間かけて搾っていました。今はヤブタのおかげで、ひとりでもたった5時間で仕上げられるそうです。より良い日本酒を造るには、設備投資も大事なんですね。

酒蔵見学では試飲をすることもできる

酒蔵訪問の特権として、お酒を試飲することができました。いただいたのは、訪問した11月に搾ったばかりの新酒。爽やかな香りで、テクスチャーはサラサラ。思ったよりもフレッシュな酸を感じます。酒蔵のスタッフによると、瓶詰めまでの間にもう少しまろやかになり、味が落ち着くそうです。

国稀酒造の見学では、なんと20種類もの日本酒を試飲できます。北海道の海の幸に合いそうなスッキリとした辛口から、濃いめのどっしりとした旨口系まで、幅広いラインアップ。熱燗にしても美味しそうなお酒もあり、おつまみが欲しくなりました。

国稀酒造の北のきらめき

試飲できるお酒の中で、酒蔵の方がおすすめするのはこちら。「北のきらめき 純米吟醸」爽やかな吟醸香と米の甘味を感じる一品です。地域限定のお酒ということもあって、観光客に人気なんだとか。

お酒もグッズも充実の売店

国稀酒造の売店の様子

売店には、試飲したものも含めて、たくさんのお酒がありました。どれを買うか、迷ってしまいますね。小瓶の商品は飲み比べにも良さそう。粕取り焼酎も美味しそう......。

国稀酒造で売られている様々なグッズ

お酒だけでなく、日本酒関連のグッズも売っています。地元の新鮮な果物もありました。

国稀酒造で売られているハンドクリーム

女性に人気なのは、こちらのハンドクリームです。特別純米酒を使っていて、使い心地はしっとりとなめらか。伸びが良いので、長く使えそうです。かわいらしい石鹸とセットにすれば、プレゼントにもバッチリですね!

お客さんの多くはアメリカから!

国稀酒造の英語版パンフレット

売店のスタッフに話をうかがうと、お客さんはアメリカの方が多いのだとか。国稀酒造のホームページはもちろん英語にも対応しており、酒蔵内には英語のパンフレットや案内図もありました。

国稀酒造で外国人向けに用意されている案内冊子

国稀酒造の案内だけでなく、日本酒そのものについての説明が書かれたパンフレットも置いてあります。「日本酒に興味を持ってほしい!」という気持ちが感じられますね。

外国の方々にもおいしいお酒を楽しんでもらえるように配慮された、日本最北の酒蔵・国稀酒造。みなさんも一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

(文/spool)

国稀酒造

  • 住所:北海道増毛郡増毛町稲葉町1丁目17
  • TEL:0164-53-9355

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