歴史的建造物が多く建ち並び、運河のある景色が有名な北海道・小樽市。
札幌市から電車でおよそ30分とアクセスがよく、道内きっての人気観光地となっています。
港町として栄え、明治・大正時代に建てられた近代建築が立ち並ぶ、異国情緒溢れる小樽ですが、6年前までは4蔵もの酒蔵が稼働しており、実は日本酒にもゆかりある街なのです。
そんな小樽にある、地酒を愛する家族が営む角打ちスポットをご紹介します。
隠れた角打ちスポット「小樽 酒商たかの」
小樽駅からほど近い、小樽サンモール一番商店街の中に「小樽酒商たかの」はあります。看板はでておらず店内に入っても一見普通の酒屋のよう。
ですが、奥にある階段を上がると2階で角打ちが楽しめるようになっていました。
2階に上がると、大きな冷蔵庫に日本酒がずらり。
すでに先客が2人いて女将さんと和やかな雰囲気で、 一見客としては入りずらい雰囲気でしたが、杞憂でした。「若い子がきた!」とすぐに輪のなかに招き入れてくれました。
引換券で交換!たかの流・日本酒の楽しみ方
こちらのお店では、まず1,000円単位で引換券を買います。
そのあと冷蔵庫から好きな日本酒を選び、銘柄ごとに必要な引換券をわたしてお酒と交換するシステムとなっています。
お通し分として3枚渡せば、女将の気分次第でさまざまなお通しがでてきます。
私が訪れた際は上機嫌だったようで、お腹いっぱいになるほどのお通しを出してもらいました。
日本酒もリーズナブルで、平均して1杯500円ほど。せっかくなので、北海道のお酒を中心にいただきます。
「生とろ鳥海山麓ヨーグルト(青ラベル)」(楯の川酒造・山形)
「熊古露里」(山二わたなべ・北海道小樽市)
写真右の「熊古露里」を醸す山二わたなべは、今年2月に酒造から撤退した小樽市の酒蔵。同社の銘柄は、現在の出荷分を逃したらこれから先飲めないということもあり、真っ先にいただきました。
味わいはさっぱりとした超辛口。飲み始めに最適の1杯で、お通しのへしことよく合います。こんな美味しいお酒が飲めなくなるなんて・・・悲しすぎます。
「国士無双 本醸造生原酒 新酒しぼりたて」(高砂酒造・北海道旭川市)
「尾瀬の雪どけ 純米 桃色にごり本生」(龍神酒造・群馬)
北海道の地酒で最も有名な銘柄のひとつ「国士無双」の新酒を、しぼりたての生酒でいただきます。(写真左)
こちらはフレッシュなキレが特徴で、とても爽やかな味わい。
飲みやすく、ぐいぐい飲み進めてしまいます。
「国士無双 純米」(高砂酒造・北海道旭川市)
次にいただいたのは「国士無双 純米」。
こちらも爽やかな味わいながら、純米独特のコクや旨味が余韻として残ります。
「名水京極 本醸造」(二世古酒造・北海道虻田郡)
ほろ酔いですが、まだまだ飲み進めます。次は、北海道虻田郡にある二世古酒造の1本。
二世古酒造は、創業より「加水調整をしない原酒」「水」「空気」「環境」にこだわりつづけてきた、酒蔵だそうです。いただいた「名水京極 本醸造」は名水とあるだけあって、とても澄んだ辛口で美味しかったです。
「北の一番蔵 純米吟醸」(北の誉酒造・北海道小樽市)
北の誉酒造は、今でこそオエノンホールディングスの子会社ですが、元は北海道小樽市にあった酒蔵です。柔らかでふくらみがありつつ淡麗な味わいで、とても美味しくいただきました。
「malola 生」(水戸部酒造・山形)
「おたる出世坂」(雪の花酒造・北海道小樽市)
「小樽 酒商たかの」オリジナルの「出世坂 大吟醸」(写真右)。
小樽は坂が多いことから、坂の街とも呼ばれます。「出世坂」は坂の先には必ず光がある、という想いから名付けられました。
グラスに注いだ瞬間から、華やかな香りがします。
軽やかですーっと飲めて、華やかな余韻が残る上品な味わいでした。
「国士無双 梅酒」(高砂酒造・北海道旭川市)
締めは、「国士無双 梅酒」。「国士無双 端麗辛口酒」をベースに、白加賀梅と北海道神宮になる梅の実を加え造られています。糖類にもこだわり、北海道士別市の甜菜糖蜜を使用しているそうです。
ロックでいただきましたが、甘すぎず優しい酸味があり食中酒にもぴったりな梅酒でした。
お店の想い「小樽の蔵を盛り上げたい」
近年、酒米の改良や酒造技術の向上により、北海道でもおいしい日本酒が造られるようになったと耳にします。
しかし、常連さんによれば「地元の人はこれまでの、"他の地域で造られるお酒の方がおいしい"というイメージがあるから、北海道の地酒をあまり飲まない」のだそうです。
私自身も、これまで北海道と日本酒が結びつくイメージがありませんでした。
「小樽 酒商たかの」は、こうした現状を見て「本州の地酒にも負けないくらいの旨さが分かれば、小樽の蔵も元気になる」という考えのもとオープンしたのだそう。
今回、北海道の地酒をたくさんご紹介しましたが、するすると飲み進めてまうほど美味しいものばかりでしたよ!みなさんにもぜひ、お酒を選ぶ際の候補のひとつに加えてほしいです。
ひとりひとりに素敵な出会いを!
「小樽 酒商たかの」が掲げるこだわりは、まだあります。
"本来酒は味・香り・歴史・製造工程などのウンチクを話しながら買うものである”
そして、“ひとりひとりに素敵な出会いを"
たしかに、常連さんや女将・高野知恵子さんと話しながら出会ったお酒はどれも美味しく、嬉しい記憶として強く残っています。
これから先、お店で北海道のお酒を見かけたときには「小樽酒商たかの」での出会いを思い出し、頬が緩んでしまいそうです。
北海道の地酒、そして人との素敵な出会いが魅力の「小樽酒商たかの」、小樽を訪れた際はぜひ足を運んでみてくださいね。
(文/服部 恭輝)
小樽 酒商たかの
住所:北海道小樽市稲穂1-1-6
電話:0134-34-1100
営業時間:10:00-22:00(2階は17:00-)
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