こんにちは。兵庫県の酒蔵で「女性蔵人」をやっていました。現在は東京都在住、3兄弟の母親でもあります、あつこです。

東京都北区滝野川にあります、独立行政法人酒類総合研究所で行われる「清酒製造技術講習」。今回は「分析」「官能評価(利き酒)」について、当時私が経験したことを紹介します

分析実習

分析と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、皆さん、日本酒の瓶の裏のラベルをご覧になったことがあると思います。
その瓶の裏側に表記されているのが、日本酒度(味の甘辛・濃淡に関係)、アルコール度数、酸度(味、雑菌の有無に関係)、アミノ酸度(味に関係)など、分析結果です。

これはみんな、各酒蔵でそれぞれ測定されているものなんですよ。
実習では、理科の実験のようにフラスコや浮秤(ふひょう)、指示薬を使い目盛を読む作業を繰り返し行います。
醗酵中の醪(もろみ)がどんな状態であるかを知るため、分析はとても重要です。また、目標とする酒質の目安ともなります。
私が兵庫県の蔵に就職して、初めに教わったのも、製造ではなく分析でした。

酒造実習教本でも一番最初に分析について書かれています。基本中の基本、というところでしょうね。

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官能評価(利き酒)

利き酒とは、御存知の通り「酒のよしあしを味わい試みること」です。分析で数値化された状態をみるのも重要ですが、利き酒は数値だけでなく「人の感覚」も使って判断するとても大事な工程です。

利き酒には、酒質に異常はないか客観的な判断が必要な分析型と、パネラーを集めて自社商品の市場調査を行う場合などの個人の好みそのものが問われている嗜好型に分けられます。

実習では、製造に関わる分析型を主として実習を行っていきました。

よく利き酒は、すべて飲み干すのですか?酔っぱらいませんか?と聞かれますが、基本は口に少し含んで軽くすするようにしながら舌全体に酒がまわるようにして味をみます。すするのは、口の中に酒の香物質を充満させるためです。そして、1、2秒後吐き出し、残った味覚をチェックします。

蛇の目猪口

*実習生の酒蔵の商品を利き酒
各酒蔵から持ってきたお酒を実習生、講師含め利き酒を行い、客観的な評価を見合います。いつも自分で製造に携わっている馴染みの自社商品が、皆さんからどういった評価をされるか、大変勉強になります。

*2点識別法
分析で紹介した酸度、日本酒度、アルコール度数それぞれについて2種類の異なるペアの清酒8組が用意され、ペアのうちどちらが数値の高い方かをテストします。例えばアルコール、日本酒度が同じで酸度のみが違うペアだと比較できるので、少しの数値の違いで味が大きく変わることがわかり、とてもおもしろかったです。

*順位法
2点識別法と同じく、酸度、日本酒度、アルコール度数それぞれについて5種類の異なる清酒が用意され、数値の高い方から順位をつけていきます。ペアと違って比べるサンプルが多いので、初めはわかりづらく、間違いがよくありましたが、なんどもテストしていくうちに違いが分かってきました。

上記のみならず、製造実習でも利き酒を行っていましたので、実習中何度も何度も利き酒を行いました。利き酒は感覚で覚えていくものなので、初めは難しくても何度も繰り返していくうちに上達していきます。
みなさんも、お店や御自宅で飲まれる際に、酸度、日本酒度、アルコール度数などの数値を少し意識しながら飲んでみるのもおもしろいのでは。

*香りについて
清酒の香りには良し悪し含めて10種類以上あります。
普段、酒造りをしているとその全ての香りをかぐことはありません。講習では、すべてのサンプルが用意されていたのでチェックすることができます。いい香りだけではなく、良くない状態を知ることも原因を判定するのに大切なのです。
そのように、五感を使って「酒を利いていく」ことを学んでいきます。とっても楽しい、充実した分析実習でした。

次回は講義です。

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