シュワシュワとした泡が特徴の”発泡性のお酒”というとビールやスパークリングワインが思い浮かびますが、日本酒にも、一般的に「スパークリング日本酒」と呼ばれる、炭酸ガスを含んだものがあります。

この記事では、炭酸ガスの入った発泡性日本酒について、代表的な3つの製法を紹介します。

製法によって異なる「スパークリング日本酒」のタイプ

活性にごりタイプ

日本酒を造るために必要なアルコール発酵では、アルコールが生成されるのと同時に、炭酸ガス(二酸化炭素)も生成されます。そのため、発泡性の日本酒でなくとも、搾った直後の日本酒には多少の発泡性が感じられます。

通常は、本格的なアルコール発酵の後の火入れ(低温の加熱殺菌)などの工程を経て、炭酸ガスは抜けて落ち着いた味になっていきます。

「活性にごりタイプ」は、目の荒い布などで醪(もろみ)を濾して、火入れをせずに酵母の発酵を止めないまま瓶詰めしたもの。荒く濾しているため、液体中の固形分が多く、日本酒の色は白濁しています。瓶内で酵母が生きていて発酵を続けているため、発泡性が感じられます。

瓶内二次発酵タイプ

発酵中の醪(もろみ)を荒く搾り、火入れせずに酵母が元気な状態で瓶詰めし、瓶内でさらに発酵(二次発酵)させて炭酸ガスを発生させるタイプです。

「活性にごりタイプ」は、発酵がほぼ終わった醪を搾って瓶詰めしますが、「瓶内二次発酵タイプ」は、発酵途中の醪を搾り、発酵の続きを瓶内で行います。瓶を密封させた状態でアルコール発酵が続くと、そこで発生した炭酸ガスによってガス圧を高めることができます。製法としてはシャンパンと同じ原理です。

2017年には、ある一定の基準で製造された瓶内二次発酵のスパークリング日本酒を「awa酒」として普及していこうと、一般社団法人awa酒協会が設立されました。

炭酸ガス注入タイプ

「炭酸ガス注入タイプ」は上記2つの方法とは異なり、完成した日本酒に炭酸ガスを注入する方法です。発酵はすでに止まっているためガス圧は弱めです。

「スパークリング日本酒」の注意点

スパークリング日本酒の魅力は、やはり「泡」。開栓前に瓶を揺らしたり振ったりしてしまうと泡が抜けてしまうので注意が必要です。

また、瓶の中で発酵が続いている「活性にごりタイプ」や「瓶内二次発酵タイプ」は、ガス圧が高まっているので、保存環境によっては瓶が割れてしまう危険性もあります。

スパークリング日本酒を保管する際は冷蔵庫で静かに冷やし、開栓時は泡が吹き出さないように様子をみながら、ゆっくりと開ける必要があります。

(文/SAKETIMES編集部)

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