どこかで美味しい日本酒に出会い、別の機会に同じ銘柄を頼んでみたら、思っていた味と違った......そんな経験はありませんか。

実は、日本酒は同じ銘柄のなかでも、いくつかの種類があるのです。今回は「特定名称」と呼ばれる日本酒の種類について、イラストを使いながら説明します。

同じ「八海山」でも、種類が違う......?

日本酒は、同じ銘柄のなかにもたくさんの種類があります。「居酒屋で日本酒を注文しようとしたら、同じ銘柄が何種類もメニューに書かれていて、どれを選べばいいのかわからなかった」そんな人も多いかもしれません。

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たとえば、全国的に有名な「八海山」という銘柄。同じ「八海山」にも、普通酒、特別本醸造酒、吟醸酒、純米吟醸酒......などのさまざまな種類があります。あのとき出会った「八海山」をもう一度飲みたいと思っても、それが普通酒だったのか、もしくは特別本醸造酒だったのか、その種類を覚えていなければ、同じ味にたどり着くことはできません。

この種類を知ることで、お気に入りの日本酒を記憶し、自分好みのお酒に出会いやすくなるのです。

"種類"が決まる、2つのポイント

この"種類"は、どのようにして決まるのでしょうか。

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大きく分けて、2つのポイントがあります。それは「純米酒かどうか」「原料の米をどのくらい削っているか」です。

純米酒かどうか

ひとつ目のポイントは「純米酒かどうか」です。日本酒の基本的な原料は、米・米麹・水ですが、なかには醸造アルコールという原料を添加しているものがあります。

醸造アルコールを少し入れることで、香りがより華やかになるなど、味わいの調節をすることができるのです。アルコール添加は、味や香りのバランスを整えるための技術といえます。

原料の米をどのくらい削っているか

ふたつ目のポイントは「原料の米をどのくらい削っているか」です。日本酒造りには、ある程度まで削った(精米した)米を使います。その削り具合を、精米歩合と呼んでいます。

日本酒のラベルに「精米歩合40%」などの表記がされているのを見たことはないでしょうか。これは、米の60%を削って、残った40%の部分を使って造られているという意味です。一般的に、米の中心により近い部分を使うことで、雑味のないスッキリした味わいになるといわれています。

ちなみに、私たちがふだん食べている白米の精米歩合は約90%。玄米の状態から10%ほどしか削っていないのです。日本酒造りには、ご飯として食べる白米よりもさらに削った米が使われているんですね。

「特定名称酒」とは?

基本的に日本酒は「特定名称酒」と「普通酒」に分けられます。「特定名称酒」は「純米酒かどうか」「原料の米をどのくらい削っているか」という基準に則った日本酒のことで、それ以外を「普通酒」と呼んでいます。

特定名称酒は、以下のように分類されています。

特定名称原材料精米歩合
吟醸米・米麹・醸造アルコール60%以下
大吟醸米・米麹・醸造アルコール50%以下
純米米・米麹規定なし
特別純米米・米麹60%以下
または特別な醸造方法
純米吟醸米・米麹60%以下
純米大吟醸米・米麹50%以下
本醸造米・米麹・醸造アルコール70%以下
特別本醸造米・米麹・醸造アルコール60%以下
または特別な醸造方法

この表をイラストでまとめてみましょう。

※ 「特別純米酒・特別本醸造酒」については割愛しています

特定名称酒の日本酒の見分け方

日本酒の種類は、この他「にごりの程度」や「発泡性があるかどうか」「加熱処理(火入れ)の方法」など、さまざまな要素で枝分かれしていきますが、まずは基本の「特定名称」を押さえておけばOKでしょう。

美味しい日本酒に出会ったときは、「銘柄名」に加えて「特定名称」を覚えておくと、また別の機会に出会える確率が高くなりますよ。

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