こんにちは、SAKETIMES編集部です。

みなさんは日本酒についてどんなイメージをもっていますか?
読者の皆さんは良い印象をもっていると思いますが、中には「とっつきにくい」「洗練されていない」という印象を持たれている方もいるかもしれません。

そんなイメージを払拭し、日本酒をカッコよく、スタイリッシュに塗り替え、多様な日本酒の魅力を知ってもらうために活動している企業があります。

その名もMIRAI SHUHAN

今回は代表の山本祐也さんにお話を伺ってきました。

日本酒業界をリノベートしたい

MIRAI SHUHAN代表山本祐也さん(以下山本さん):

「MIRAI SHUHANは、日本酒業界のリノベート(改革・刷新)を行う会社です。現在行っているのは、主に6つの事業です。日本酒のオーダーメイドサービス「ICCON」、日本の酒ムーブメントのクラウドファンディングサイト「未来蔵人」、「日本酒をカッコ良く」するための体験型イベント「KURA FES」の運営そして国内外への酒類販売事業、日本の酒に関する事業のコンサルティングサービス自社ブランドの企画開発です。日本酒を世界へより一層普及させるため、ブランディングを進めていきたいと考えています。」

地方が活き、日本の未来を担えることが日本酒の魅力

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山本さん:「私は地方出身者ということもあり、「地方でも(東京と同じように)できる事業」ではなく「地方だから(東京よりも)できる事業」に興味がありました。

例えば私の地元では以前なら小松製作所、今ならDMMなど幾つかの傑出した会社が生まれていますが、工業や情報産業の場合、会社が成長すれば本社を東京に移してしまいます。これでは「地方だからできる事業」にはなりません。 一方、酒は水と米がおいしくないとできません。

これは会社がどれだけ大きくなっても生産及び雇用が地方に留まり続ける「地方だからできる事業」であることを意味します。地方出身者として、この事業特性に可能性を感じました。

日本酒は定義にもよりますが、造りは1000年以上続いていますし、企業としても須藤本家などは900年続いています。。IT産業をはじめとして、短中期的に日本酒より成長する事業は複数ありますが、もっと長いスパン、1000年の単位で存在し続ける事業は日本酒を含め、数少ないと思います。

また、私見ですが、日本はフランスに似た環境下にあると考えています。日本はGDPや経済規模では中国に抜かれ、また日本の重厚長大産業の幾つか(鉄や民生電機)は生産コストの安い新興国や途上国の企業に追いつかれましたが、高品質で安全な食の分野では新興国や途上国が追いつけない水準にあります。 これはGDPだけでいうと欧米でno.1ではありませんが、農業産品や高付加価値ブランドでは世界を席巻しているフランスと類似しています。

ITであれば東京がシリコンバレーを超えるのは難しいですが、食であれば東京は既にニューヨークを超えていると思います。
これらを踏まえ、日本の酒と食を1000年単位で日本の未来を担う産業にすることに貢献したいと思いました。」

すべての事業に通じる思いは「酒蔵を守りたい」ということ

山本さん:「日本酒事業のリノベートにおいて重要なファクターとして、酒蔵の売上向上、資金調達機能、広報/PRの3つの要素が挙げられます。今ある酒蔵の機能性をきちんと高めることが酒蔵を守ることにも繋がります。

酒蔵の売上向上をはかる法人営業機能を提供するために「ICCON」、酒蔵への資金調達機能及びファン獲得機能としてクラウドファンディングサイト「未来蔵人」、広報/PR支援機能及び新規顧客獲得機能として「日本酒をカッコ良く」するための体験型イベント「KURA FES」をそれぞれ位置付けています。」

1、日本酒のオーダーメードサービス「ICCON」について

山本さん:「こちらは、酒造りから体験できる日本酒のオーダーメイドサービスです。「自社田んぼで米から作るオリジナル日本酒」「提携蔵元でテイストから作るオリジナル日本酒」「デザインから作るオリジナル日本酒」の生産が可能です。」

2、クラウドファンディングサイト「未来蔵人」について

山本さん:「酒に関わるあらゆる新しい企画を発信すると共に、酒蔵に資金調達機能や新しいファンの獲得及び育成機能を提供します。周囲をまきこんで新しいカルチャーを作る酒開発プロジェクトです。
企画対象は新しい酒の商品開発だけでなく、つまみや酒器、加えて映像制作などの酒カルチャー全般についても対象としています。最近では、京都の日本酒バー「釀-jo-」の立ち上げに参画しました。」

3、体験型イベント「KURA FES」について

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山本さん:「日本国内での日本酒の消費量は酒類全体の6~7%と言われています。新規顧客を獲得したいと考えた際に、酒自体を全く飲んでこなかった層に働きかけるよりも、ワインユーザーやビール愛飲者に向けて日本酒を進めていく方が効果的です。例えば、ワイングラスで日本酒を楽しんでいただくというご提案や発泡性の日本酒をオススメするなど工夫できる部分は多くあります。

一番直近で開催したイベントですと、4月末〜5月にかけて駒沢オリンピック公園で行われた肉フェス2015へ日本酒ブースを設置させていただきました。

その際に日本酒にあまり親しみのない方に向けて日本酒で作った梅酒やフルーツ酒、フラワー酒、日本酒ジェラートをご提供し、日本酒のハードルを低くすることで日本酒に親しみを感じていただけるようなアプローチを施しました。

ブースを訪れたお客様のほとんどが、もともと日本酒に精通されている方ではなく、その場でブースを見て、興味を持って入ってきてくれた方ばかり。はじめは「日本酒なんて無理です〜」と言っていた若い女性も、フルーツ酒などを味わうと「これが日本酒なんですか?おいしい!」と気に入ってくださいました。

このイベントで、これくらいのハードルであれば、苦手意識を持っている方でも越えてきてくれるんだということが目に見えてわかったので今後の商品展開やイベントに生かしていきたいですね。

およそ1シーズンに1回くらいの割合で、新しい発見のある日本酒イベントを開催していきたいと考えています。

日本酒を様々な側面からデザインする

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山本さん:「ブランド事業ではMIRAI SHUHANがブランドホルダーとなり、従来の日本の酒市場にはあまり見られない革新的な手法を用いながらブランドの保有及び商品販売を行っています。自社ブランドで第一弾として企画開発した商品が「桜咲け!」です。

こちらの開発には、一般消費者からみてアイコン的立場の方々に日本酒をデザインしていただくことで、新しい日本酒の可能性をご提供することを目的としています。

デザインといっても、単にパッケージデザインとしての意味合いだけではなく、中身の仕様、例えば「発泡性が良いのか」、「どんな酵母を使いたいのか」、「精米度合いはどうするのか」、「どんなシーンで飲むことを想定しているのか」など、1本の日本酒についてのさまざまな要素をデザインしていただきます。

MIRAI SHUHANの今後

山本さん:世界中の人々が日本の酒を通じて日本の美に触れ、人生をより充実させることができる世界を実現する。そのきっかけがMIRAI SHUHANであってほしい。

僕の思う日本の美とは、生活に根ざしながらもアートであるということ。日本の文化というものは、伝統的なものづくりと切っても切れない関係にあります。伝統的なものづくりを行う地域の生活様式や興業自体が文化的意味合いを持つのです。

アートという表現は、芸術品という意味合いだけではなく、お酒造りや米作りも含まれます。日本酒はまさに米と水と酵母の作用によって作り出されるアート作品です。日本酒には、日本の文化が凝縮されていると僕は考えています。

企業ベースとしては、蔵元さんとともにSAKE×ブランディングを推進ていきたいです。LVMHのようなグローバルSAKEブランドを作りたいですね。そういったブランディングには、世界にわかりやすい形で日本酒を発信できるという強みがあります。

そのためには、MIRAI SHUHANのリスクで在庫を持って対応していくという状況も増えてくると思います。「お客様のリスクにしない」という責任の部分を今後は強化していきたいですね。

また、コミュニティベースとしては、フランスのボルドーやブルゴーニュのような、中核都市を経由しないで成立するSAKEの街をつくりたいです。僕は、日本酒にもテロワールが重要であると考えます。

その地域に根付いた地方の食と日本酒で地方経済を発展させたいですね。それには、国や県を巻き込んで広域で事業展開させていくことが重要だろうと考えています。一過性のものではなく、その地方の産業としてSAKEを根付かせていきたいです。」

SAKETIMES読者に向けてひとこと!

ぜひ、KURAFESに参加することで、新しい試みを体験し、新たな日本酒の可能性を知ってください!お酒の世界を広げていってほしいです。そして「桜咲け!」飲んでください!

編集後記

独自の美学を持って、日本酒業界をリノベートしていくMIRAI SHUHAN。リノベートするという作業は、革新的な新しいものに変化するという側面だけではなく、既存のものを守り永く残していくという側面も持っている。リノベートという言葉が目新しい革新を指すだけの言葉ではないということを、山本さんへのインタビューで改めて感じた。

そして、何かを守り残していくという作業は、元ある手法のどの部分を残すかの選択をすること、そして時代に合った新しい手法を試行錯誤して生み出していくことも必要とされる。MIRAI SHUHANは今、6つの事業展開の中にそれらをバランス良く組み込んでいる。1000年先の未来、地方産業にしっかりと根付く日本酒産業の存在を垣間見た気がした。

 

MIRAI SHUHAN HP

MIRAI SHUHAN fbページ

 

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