2025年6月10日(水)、世界でもっともおいしい市販酒を決める日本酒の品評会「SAKE COMPETITION 2026」の審査結果が発表されました。各部門の第1位に輝いた酒蔵のコメントを紹介します。

「SAKE COMPETITION」とは?

「SAKE COMPETITION」は、「ブランドや銘柄に左右されることなく、消費者が本当においしい日本酒に巡り会えるような新しい基準を示したい」という理念のもと、2012年から開催されている、世界一おいしい市販酒を決める日本酒の品評会です。

開催のたびに規模を拡大し、2019年には、総出品数が1,919点という世界最大の日本酒コンペティションとなりました。コロナ禍の影響で、2020〜2022年は中止されましたが、2023年から再開しています。

「SAKE COMPETITION 2026」の表彰式の様子

審査は市販されている日本酒のみが対象。銘柄などの情報を隠したブラインドテイスティングで行われ、おいしさ(酒質)のみを審査することを徹底しています。知名度や人気度に関係なく、どんな日本酒でも1位をとるチャンスがあります。

2026年の審査部門は、「純米酒」「純米吟醸」「純米大吟醸」「Super Premium」「モダンナチュラル」の全5部門。総出品数は約1,000点を目安に制限が設けられています。今年は計1,139点のエントリーがあり、5月上旬に審査が行われました。

  • 純米酒部門:特定名称「純米酒」の表示がある清酒。「特別純米酒」「山廃純米酒」「生酛純米酒」も出品可能。
  • 純米吟醸部門:特定名称「純米吟醸」表示がされている清酒。「山廃純米吟醸」「生酛純米吟醸」「吟醸純米」など、「純米吟醸酒」と判断できる表示でも出品可能。
  • 純米大吟醸部門:特定名称「純米大吟醸」表示がされている清酒。「山廃純米大吟醸」「生酛純米大吟醸」「大吟醸純米」など、「純米大吟醸酒」と判断できる表示でも出品可能。
  • Super Premium部門:特定名称酒に限らず、720mLで小売価格が10,000円(税別)以上、1,800mLで15,000円(税別)以上の清酒。
  • モダンナチュラル部門:純米酒かつ「生酛/山廃/菩提酛」の清酒。2025年7月1日~2026年6月30日(2025BY)の期間に醸造された清酒のみ出品可能。

「SAKE COMPETITION 2026」の審査会の様子

審査基準は、米でできた日本酒らしい香りや味わいから逸脱していないかを問う「清酒としての品格」と、飲んで楽しむ日本酒として優れているかを問う「飲用酒としての適性」の2点。各部門の上位10点には「GOLD」が授与され、順位も発表されます。

各部門トップ酒蔵のコメントを紹介!

2026年の「純米酒」「純米吟醸」「純米大吟醸」「Super Premium」「モダンナチュラル」の各部門でトップに輝いた酒蔵の方々に話を伺いました。

【純米酒部門】「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita」今西酒造株式会社(奈良県)
【純米吟醸部門】「みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 山田錦」今西酒造株式会社(奈良県)

「SAKE COMPETITION 2026」の表彰式の様子

若手蔵の代表格として知られる今西酒造が、純米酒部門と純米吟醸部門の2冠を達成しました。2014年に、福島県の宮泉銘醸が純米酒部門(寫樂 純米酒)と純米吟醸部門(寫樂 純米吟醸 備前雄町)の第1位を獲得した以来の2冠です。

純米酒部門の第1位に輝いた「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita」は、2025年の純米酒部門でも第6位という好成績を収めました。また、今年の純米酒部門では「みむろ杉 ろまんシリーズ 特別純米辛口 露葉風」が第6位、純米吟醸部門では「三諸杉 純米吟醸」が第3位と、圧倒的な成績を残しています。

今西酒造 第14代当主 代表取締役 今西将之さん

今西酒造 第14代当主 代表取締役 今西将之さん

「あまりにも信じられなくて、言葉が見当たりません。14年前に先代が急逝し、代表になったのですが、当時の今西酒造は本当に苦しい状況で……そんな時に、2014年のSAKE COMPETITIONで宮泉銘醸さんが2冠を受賞され、いつか自分もこのステージに立ちたいと思っていました。

このような賞をいただき、本当にうれしいです。あの頃の自分に『日本酒には夢があるぞ』と伝えたいですね。ただ、ここまで来ることができたのは自分ひとりの力ではありません。酒販店のみなさん、酒蔵のみなさん、そして飲み手の方々に感謝したいと思います。

『清く正しい酒造り』という醸造哲学のもとで酒造りをしていますが、とにかく手仕事にこだわって一歩ずつ積み重ねてきたことが結果につながっていると思います。これからも、地元の歴史・文化・風土など、地域性を光らせた酒造りを追求していきたいです」(第14代当主 代表取締役 今西将之さん)

【純米大吟醸部門】「雨後の月 純米大吟醸」相原酒造株式会社(広島県)

「SAKE COMPETITION 2026」の表彰式の様子

相原酒造は、2023年の純米吟醸部門で第1位となった実績のある、上位入賞の常連蔵。2024年の夏に相原章吾さんが代表に就任し、新体制で初めての上位入賞となりました。

「雨後の月 純米大吟醸」は、相原酒造の定番商品で、同社の吟醸造りの礎となる存在とのこと。新体制になってから、醸造のデータや蔵人のスキルの管理にAIを活用するなど、新しいテクノロジーを積極的に取り入れています。

相原酒造 CEO 相原章吾さん

相原酒造 CEO 相原章吾さん

「本当にびっくりしています。まったく想像していなかったので、頭が真っ白になりました。まずは、いっしょにがんばってきたスタッフに感謝を伝えたいです。

また、この商品は岡山県産の雄町を使用しているのですが、お米の良さを引き出したいという思いがあったので、農家さんにも感謝したいですね。広島県内でよく飲まれている商品ですが、これをきっかけに全国の方々にも知っていただきたいです。

私は今年34歳で、酒造りはまだ9シーズン目になりますが、後輩の若い造り手が出てきているので、自分が若手であるという感覚はなくなってきました。酒造りについては、まだまだ知らないことも多く、改善したいこともあるので、毎年1年生のつもりで初心を忘れずに丁寧な仕事をしていきたいです」(相原酒造 CEO 相原章吾さん)

【Super Premium部門】「而今 特等雄町」木屋正酒造株式会社(三重県)

「SAKE COMPETITION 2026」の表彰式の様子

人気銘柄「而今」を醸す木屋正酒造は、2025年の純米吟醸部門で「而今 純米吟醸 三重山田錦」が第2位を獲得して以来の上位入賞となりました。

「而今 特等雄町」は、岡山県の農家が栽培した最高品質の酒米(雄町)を使用した純米大吟醸酒。酒米には「特上」「特等」「一等」「二等」「三等」「等外」という6つの等級がありますが、雄町で上位の等級をとるのは難しいといわれています。

木屋正酒造 社長兼杜氏 大西唯克さん

木屋正酒造 社長兼杜氏 大西唯克さん

「実は、表彰式の直前に今西酒造の今西くんと飲んでいまして……(笑)。こんな偶然があるんだとびっくりしました。蔵のみんなに感謝して、今回の受賞をお祝いしたいと思います。

それから、特別な酒米を託していただいている農家さんにも感謝しています。農家さんとの信頼関係をもとに積み重ねてきたことが結果になったのだと思います。

近年は香りを少し抑えて、まろやかさなどの味を大事にしています。密度がありながらも軽やかなお酒を目指しているのですが、軽やかすぎると水っぽくなってしまうし、密度が高すぎると料理といっしょに飲み続けられなくなってしまうので、そのバランスをとるのが非常に難しいですね」(木屋正酒造 社長兼杜氏 大西唯克さん)

【モダンナチュラル部門】「たちばなや 純米吟醸」合名会社川敬商店(宮城県)

「SAKE COMPETITION 2026」の表彰式の様子

川敬商店の上位入賞は、実に11年ぶり。2015年に、純米酒部門で「橘屋 特別純米酒 ひとめぼれ」が第8位となってから、上位入賞はありませんでしたが、今年は初めての第1位に輝きました。

「たちばなや 純米吟醸」は、宮城県の酒米・蔵の華を使用し、伝統的な製法・山廃仕込みで醸された一本。決して派手な味わいではなく、料理といっしょに楽しんでいただくことを理想とした、ふくらみのある味わいときめ細かい甘み、そして凛とした酸味が特徴です。

川敬商店 蔵元兼杜氏 川名由倫さん

川敬商店 蔵元兼杜氏 川名由倫さん

「いまだに夢見心地のようで……こういった賞をいただけて、とても嬉しいです。地元・宮城県産の酒米を使い、弊社に創業当初から伝わる山廃仕込みで醸したお酒が、このような栄えある賞をいただいたことに感謝しています。ありがとうございます。

私は何の知識も経験もないままに酒造りを始めたのですが、5年目に杜氏の父が倒れてしまい、技術を教わりきれないまま、これまで7年ほど酒造りをしてきました。スタッフをはじめ、酒販店さんや蔵元の先輩方、県の先生方に恵まれ、感謝の気持ちでいっぱいです。

これからもコツコツと泥臭く、ひたむきに真摯に酒造りをしていきたいです。また、宮城県の日本酒がおいしいんだということを国内外に広めていく一助となれる酒蔵になれればと思っています」(川敬商店 蔵元兼杜氏 川名由倫さん)

「SAKE COMPETITION 2026」の表彰式の様子

各部門の第1位に輝いた日本酒だけでなく、上位入賞したすべての出品酒が市販されているため、全国の酒販店やオンラインショップなどで購入することができます。どのような日本酒が評価されたのか、実際に味わってみてはいかがでしょうか。

各部門のトップ10の一覧は、こちらの記事をご覧ください。

(文:SAKETIMES編集部)

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