2020年4月9日、国税庁が、新型コロナウィルスの影響を受けている飲食店への救済措置として、期限付酒類小売業免許を付与すると発表しました。この免許を取得すると、最大6ヶ月間、飲食店は在庫酒類のテイクアウト販売をすることが可能になります。
本記事では、この「期限付酒類小売業免許」について、詳細から申請方法まで解説しています。
※この記事は4月13日に作成したものです。情報は刻一刻と変化していますので、各ホームページや窓口にて最新情報をご確認ください。
期限付酒類小売業免許とは?
飲食店は令和2年6月30日(火)までに提出のあった免許申請書にかぎって、取得日から6ヶ月間の期限付きで、在庫酒類あるいは既存取引先から仕入れたお酒を消費者に販売することができます。
また、申請受理から免許交付まで通常2ヶ月ほどかかる手続きを迅速に完了できるよう、特別措置として審査を後回しにしています。
免許が付与されるまでの流れは、以下の通りです。
- ①免許を申請した飲食店に対して、先に期限付酒類小売業免許を付与
- ②酒税法第10条に該当していないか審査
- ③酒税法第10条に該当していることが認められた場合、免許は取消
免許の取得要件は?
免許の取得要件に店舗の規模・業態の制限はありませんが、経営状態などについては状況を踏まえて判断するため、所轄の税務署に個別にご相談ください。
販売できるお酒の種類は?
日本酒・ビール・焼酎・スピリッツ・リキュールなど、すべての酒類を販売することが可能です。未開封のものはもちろん、開封済みのものでも販売できます。
また、販売数量や酒造メーカーの制限はありませんが、既存の取引先から仕入れた酒類の販売に限ります。
販売方法は?
「都道府県を越えない宅配(デリバリー可)」と「テイクアウト」による販売が可能です。また、消費者が希望する酒類を、希望する量だけ販売する「量り売り」もできます。
仕入れた酒類をあらかじめ別の容器に分けて販売する詰め替えについては、一定の手続きが必要になります。
また、2都道府県以上の広範な地域の消費者を対象とした通信販売は、別途で通信販売酒類小売業免許を取得する必要があるため、期限付酒類小売業免許では認められていません。
申請方法
申請書は、令和2年6月30日(火)までに店舗の所在地を管轄する税務署に提出することになります。申請は郵送や「e-Tax (イータックス)」でも可能です。外出による新型コロナウィルスへの感染を避けるためにも、こちらの利用をおすすめします。
複数店舗を経営している方は、それぞれの店舗ごとに申請書類・添付書類を用意し、各店舗の所在地を管轄する税務署に申請書を提出する必要があります。
国税庁からは「申請のポイント」も発表されているので、こちらもご参考ください。
申請の流れ
迅速に免許を付与するため、2段階での申請となります。
最初は、4つの書類を用意する必要があります。残りの書類は、審査が始まったら提出を求められます。なお、住民票や納税証明書の実費以外、申請手数料などの費用はかかりません。
用意する必要があるのは、以下の書類です。
- 住民票もしくは履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 酒類販売免許申請書 CC1-5104
- 酒類販売免許申請書 次葉1(周辺地図)
- 酒類販売免許申請書 次葉2(レイアウト図面)
- 酒類販売免許申請書 次葉3
- 酒類販売免許申請書 次葉6
- 酒類販売免許の免許要件誓約書
- 賃貸借契約書のコピー(全ページ)
- 定款のコピー(法人の場合)
- 地方税の納税証明書(酒類販売免許申請用)
- 販売しようとする酒類を説明した書類
- その他、税務署長が必要と認めた書類
最初に用意する4つの書類
以下の書類を所轄の税務署に提出します。不明点は、酒税やお酒の免許についての相談窓口まで。
- 住民票(個人の場合)もしくは履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 酒類販売業免許申請書【PDF/word/記入例word】
- 販売業免許申請書 次葉1:販売場の敷地の状況【word/PDF/記入例word】
- 販売業免許申請書 次葉2:建物の構造を示す図面【word/PDF/記入例word】
申請後に用意する書類
申請後に必要な書類は、以下の通りです。
審査を進める中で酒税法10条に該当していなければ、免許取得日から6ヶ月間のテイクアウト販売が可能になります。
- 販売業免許申請書 次葉3【PDF】
- 販売業免許申請書 次葉6【PDF】
- 免許要件誓約書【PDF】
- 地方税の納税証明書(酒類販売免許申請用)
- 免許申請書チェック表【PDF】
- 定款コピー(法人の場合)
- 販売しようとする酒類を説明した書類
また、販売業免許申請書 次葉6で必要になる酒類販売管理者について、酒類販売管理研修の受講および販売管理者の選任が必要です。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、酒類販売管理研修が実施されていない場合があるため、直近での受講が不可能であれば未受講で申請可能です。
免許付与時に、研修モデルテキストやパンフレット等を用いて、酒類の販売管理について最低限の説明を確実に行うほか、研修の受講が可能と判断される場合は、適切に受講指導を行うこととしています。研修については、国税庁のお知らせや、酒類販売管理研修実施団体から発信されている情報をご確認ください。
新型コロナウイルスに対する衛生対策
新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐためには、外食産業に携わる人々の健康管理と各店舗の衛生管理の徹底が必要不可欠です。
衛生対策に対しては、日本フードサービス協会が発表している衛生対策が参考になります。
従業員に新型コロナウイルス感染者が発生した場合は、農林水産省が発表しているガイドラインが参考になりますのでご確認ください。
現在、各地の税務署に飲食店からの問い合わせが殺到しているそうで、税務署の職員の方々も必死に対応していただいています。問い合わせの際は、ひとことでも「労い」「感謝」のことばをぜひお伝えしてください。
SAKETIMESは、日本酒産業をはじめ、飲食店業界のみなさまがこの苦境を乗り越えられるよう、メディアの立場から支援につながる取り組みを続けていきます。
※この記事は、アクセス行政書士事務所 代表行政書士・大浦智幸氏に監修していただきました。
(文/SAKETIMES編集部)