大手日本酒メーカー・菊正宗酒造をディープに掘り下げる特別連載の第三回!
前回は若者向けの新商品「香醸」を紹介しましたが、もちろん菊正宗では”日本酒ならではの深み”を感じられるお酒も造っています。
日本酒の幅広い味わい・魅力をしっかり感じているであろう日本酒中級者のみなさん、”大手である”という理由で菊正宗を敬遠していた・・・なんてことはありませんか?そんな方にこそぜひトライしてほしい菊正宗のひとつが、今回ご紹介する「樽酒」です!
「樽酒」ってどんなお酒?
「樽酒」の特徴について、樽酒ブランドサイトではこのように紹介されています。
菊正宗「樽酒」は吉野杉の香りが特徴の本格派辛口酒です。吉野杉の爽やかな香りと、きりっと引き締まった喉越しをお楽しみ下さい。 冷蔵庫で冷やして飲むのが最もお奨めです。好みに応じて冷や(室温のまま)で飲まれるのもよいでしょう。燗をする場合は40~45℃のヌル燗をお奨めします。
なるほど、なかなか硬派な印象。幅広い温度帯で楽しめるのも嬉しいですね!さらにこう続きます。
「樽酒びん詰(樽瓶)」は辛口の本醸造酒を四斗樽に詰め、吉野杉の香りが程良くお酒に移る飲み頃に取り出して瓶に詰めて出荷します。吉野杉を使用するのは、産地の紀伊半島が気候温暖で雨が多いため、杉の香りがよい上に木目が平均化しているので古くから酒樽としては最高の品質とされているからです。
お酒だけでなく”樽そのもの”にもこだわっているのが「樽酒」のすごいところなんです!
「樽酒」の造りは、菊正宗自慢の生酛造り。さらにはこだわりぬいた樽の香りの豊かさから「ワイングラスで美味しい日本酒アワード」も受賞しています。米の旨み、生酛造りならではのコク、そして樽の香り。そんな"日本酒の深み"が「樽酒」では存分に表現されているのです。
でも、”日本酒の深みを味わう”って「ちょっと難しい・・・」とも思いませんか?そこで今回は、若いながら日本酒ナビゲーターともいうべき3人に「樽酒」を試飲してもらい、どういった楽しみ方があるのかを聞いてみました!
まずは女性目線でご紹介!「樽酒」の楽しみ方
試飲してもらったのは、若くして日本酒に魅了され、日本酒の世界に入った20代の女性ふたり。
日本酒専門ダイニング「sakeba」 店長の岡澤幸奈さん
酒ライターで利き酒師の資格を持つ清水麻代さん
日本酒の現場の第一線で活躍されているおふたりに「樽酒」を飲んでもらい、味わい・温度による変化・食との合わせ方・シーンなどを語ってもらいました!
- 岡澤さん、「樽酒」を試飲してみていかがでしょうか。店舗でのお客様へのアプローチ方法などをお聞かせください。
「さまざまな食事と合いそうなお酒ですね!今まで味わった生酛造りの中でも飲みやすいですし、ずっと味わっていても飽きがこない。常温でいただくと「樽酒」のもつ本来の香りと味を楽しめると思います。冷やすと、さらに淡麗辛口の魅力が引き立ちますね。辛口をお好みのお客様には冷酒でおすすめするのもいいですね。
sakebaでお出ししているメニューと合わせるのであれば、炙りしめ鯖やサーモンハラス干し、酒粕漬けの卵など脂が乗っていてこってりとした味わいのお料理との相性は特に良さそうです。
洋風のものだと、アンチョビの乗ったピザとか、家で食べられるものだと卵かけご飯とも合うかも。笑
飲食店の店長としては、この香りをフックにお客様に興味を持ってもらうことができそうです。話題性があるのでオススメしやすいです。お!こんなのもあるんだ、と盛り上がっていただけそう。
さらに、樽職人を採用して造っている本格的派のお酒、というストーリーも魅力の一つですね!」
- 清水さん、「樽酒」はどんなお料理と相性が良さそうですか?そして、「樽酒」最適なシーンなどあればお聞かせください。
「杉の香りがとても良い!
香りと味のバランスが素晴らしいですね。味がしっかりしているのでチーズも合いそう。
ウォッシュタイプのチーズなど独特で香りが強いものよりは、牛のミルクで造られたラクレットチーズやコンテチーズとの相性が特に良いと思います。理由はこの2つのチーズとよく合わせられるフランスサヴォア地方の樽香が魅力のワイン、ヴァンジョーノに雰囲気が似ているためです。和食ならおでんや、しっかりと出汁のきいてるものが合いますね。
濃い料理にも負けない味わいを持っているので、珍味も合いますし、つまみを探すのには苦労しないお酒だと思います。
そして、元来樽酒は、お祝いのシーンで使われるお酒なので、贈答品としても喜ばれると思います。昇進祝いやプロジェクト成功などオフィシャルな場面でのお祝い事はもちろん、夫婦の記念日など日々のお祝い事にも良さそう。もともと樽酒はみんなでシェアして飲むものなので、和気藹々と「樽酒」の面白さを語りながら、日本酒好きなみんなと共有して楽しみたいですね。”「樽酒」がその場にあるだけで楽しい空間を作れる!”というのが私が感じた一番の魅力です。」
若くして日本酒セレクトのプロ!元蔵人の青砥さんに「樽酒」の魅力を聞いてみました!
さらに、日本専門店「KURAND SAKE MARKET」の仕入れ責任者であり、以前は島根県・青砥酒造の杜氏をされていたという、まさに”日本酒のプロフェッショナル”である青砥秀樹さんにも「樽酒」を試飲していただき感想を伺いました。
- まず、常温×蛇の目猪口で味わった感想はいかがでしょう?
「バランスの良いお酒ですね。ウィスキーのように、樽の香りを楽しむというコンセプトも良い。
一般的に貯蔵方法による味の変化は、瓶貯蔵をするか氷温や低温保管をするか、といった側面でしか語られませんが、保存する材質を味わいの要素に加える、というのは面白いですね。」
- 冷酒×ワイングラスではいかがですか?
「冷やすとすっきり感が増しますね。ウッドなテイストに、自分の生まれ育った田舎を想起させるものがあります。色味も程よい黄金色で、ワイングラスで楽しむにも最適ですね。」
- 熱燗×宗像焼きのお猪口ではどんな味わいに?
「樽酒特有のアクの強さがないところが良いですね。辛い酒好きにはたまらない、本醸造のキレがよく出てると思います。」
- どんなお料理と相性が良いと思われますか?
「すっきりとキレて程よい辛さがあるので料理に合いますね。食中酒として最適だと思います。
中華料理なんかも抜群に合うんじゃないかな。餃子とか、エビチリなんかと合わせてみても良いと思います。和風なテイストのお酒ですが、それを突き詰めると中華や洋風の料理と合うというのも面白いですね。KURANDで出す場合は、2杯目以降に油モノのつまみを食べられている方におすすめしたいです。」
美味い樽酒をつくるために樽職人を雇用するこだわり
日本酒の第一線で活動されている方々の評価も高い樽酒。実はこの「樽」そのものにも強いこだわりがあるのです。
樽を製造する会社は、現在時代の変化とともに廃業が相次いでいます。その煽りを受け菊正宗と取引をしていた樽製造会社も廃業を余儀なくされました。
このままでは樽酒を安定供給できなくなってしまう...そこで菊正宗はある決断をしました。
樽職人の採用です。
社内に製樽歴10年以上のベテラン職人3名を採用し、樽製造会社の廃業があっても、品質を安定させることに成功しました。
今後はその技術を次世代へと継承させるために、菊正宗の若手社員がベテランの樽職人のもとで修行に励んでいるそうです。
一般的な企業であれば、樽製造会社の廃業とともに商品の提供も終了させていてもおかしくはありません。
「時代が時代だから...」と言ってしまえばそれを非難することはできないからです。しかし、その商品を心待ちにしているファンがいて、まだまだ品質の良い商品を造る可能性もある、ならば職人を採用しよう!大胆な決断をくだせる考え方こそが、菊正宗の商品へのこだわりと情熱の核心なのです。
お祝いごとにぴったりな樽酒ですが食事との相性も抜群ですので、日常酒としても活用できます。
是非、試してみてくださいね。
製樽動画も見応え抜群ですよ。
(取材・文/SAKETIMES編集部)
sponsored by 菊正宗酒造株式会社
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