朝日酒造(新潟県長岡市)は、25年ぶりの通年商品「久保田 純米大吟醸」を、4月から発売開始しました。"日本酒がはじめての人にも、ひと口目で実感できる美味しさ"をコンセプトにしたお酒です。

久保田シリーズの日本酒が世に出たのは、今から33年前の1985年。久保田を飲んでいた当時の若者たちは、今では親の世代になり、彼らの子供も、成人して社会へ出る歳になりました。

朝日酒造は「久保田 純米大吟醸」と同じように、この春から社会人になった新入社員を応援したいという思いから、その親子を対象にしたイベント「おやこのみ」を開催。このイベントを通して見えてきた、新商品の魅力に迫ります。

久保田らしいキレの良さ「久保田 純米大吟醸」

「久保田 純米大吟醸」の特徴は、洋梨やメロンを思わせる華やかな香りと、甘味・酸味が調和した上質な味わい。そして、雑味を抑えたなめらかな"キレの良さ"を併せ持っています。食前酒や乾杯酒としてだけでなく、洋食やスイーツとの相性も抜群です。

初心者にぴったりなお酒ですが、温度帯を変えるとまた違った表情を見せてくれるため、往年の日本酒ファンも充分に楽しむことができます。

「久保田はずっと、憧れのお酒だった」

新社会人とその親御さんに向けたイベント「おやこのみ」は、4月25日から27日にかけて、朝日酒造の直営店「銀座 久保田」で開催されました。

上質な空間で、旬の素材を使った美味しい料理に舌鼓を打ちながら、久保田を酌み交わす親御さんと初々しさの残る新社会人。"親子飲み"を思い思いに楽しむ参加者の間では、就いたばかりの仕事の様子や親御さんの昔話など、親子らしい会話に華が咲いていました。

朝日酒造が新社会人とその親御さんに向けて開催したイベント「おやこのみ」に参加していた親娘

「『久保田 純米大吟醸』の温度違いの飲み比べがおもしろかった」と話すのは、娘さんと2人で参加していたお父さん。娘さんも「同じ『久保田』でもたくさんの種類があって、それぞれの味わいが違うことを体験できたのが楽しかった」と話してくれました。

日本酒が大好きというふたり。このイベントで「同じ血が流れていることをあらためて実感した」そうです。

朝日酒造が新社会人とその親御さんに向けて開催したイベント「おやこのみ」で提供された、親子お猪口

この日がちょうどはじめての給料日だったという新社会人にも話を聞きました。「日本酒はアルコール度数が強く、あまり好きではなかったのですが、『久保田 純米大吟醸』は飲みやすくて美味しくて、驚きました。母親に『連れて行ってほしい』と言われて参加したのですが、こんなにじっくりと話をすることは今までなかったので、おもしろかったです」

「久保田はずっと、憧れのお酒だった」と話すお母さん。「久保田」がつなげてくれた親子飲みの絆を、ふたりの笑顔が物語っていました。

朝日酒造が新社会人とその親御さんに向けて開催したイベント「おやこのみ」に参加されていた親子

"はじめての日本酒"を造り続けてきた「久保田」

25年ぶりに通年商品の発売に踏み切った朝日酒造。その大きな一歩に込められた思いとは、どういうものなのでしょうか。朝日酒造株式会社 営業本部国内事業部の部長・中山良二さんに話を伺いました。

朝日酒造株式会社 営業本部 営業推進部 広報課 小嶋基成さん

「『久保田』がはじめて世に出たのは1985年です。当時から33年経って、"世間の求める味"が変わったことが、新しい通年商品の発売に踏み切った大きな理由ですね。『久保田 純米大吟醸』は、"日本酒がはじめての人にも、ひと口目で実感できる美味しさ"をコンセプトに造ったお酒ですが、『久保田』はリリースした当初から、実はずっと同じコンセプトで造り続けているんです」(中山さん)

1986年に発売開始された「久保田 萬寿」のボトルには、次のメッセージが添えられています。

 いつの世でも、特にこのごろのように激しく動く時代では、古い世代と新しい世代との感覚のちがいが大きく、なかなか一致点が探しにくい。

どんなに激しく変っても、一貫しているだろう日本人の育てて来た感覚の本質みたいなものはないだろうか。

わざわざ古風な造り方で若い人達にも向く香味を探してみたが......。
この酒なら一致点が得られまいか。

世代を超えて共感される本質的な味わい、若い人たちにも受け入れられる味わいを「久保田」は33年前から追い続けてきたんですね。

「当時、日本酒初心者の方々が飲みやすいのは、淡麗辛口のお酒とされていました。しかし、今の若い世代は、華やかで甘味のあるお酒を飲みやすいと感じるようです。これまで、季節商品や限定商品を提供することで、新しい提案を世の中へ投げかけてきました。昨年、『久保田 純米大吟醸』を限定発売した際、若者をはじめ幅広い世代のお客様に支持されたことを受けて、通年商品としての発売に至りました」(中山さん)

朝日酒造が25年ぶりに通年商品として発売したのが「久保田 純米大吟醸」

寿シリーズとは一線を画した、新しい挑戦

「久保田」といえば、萬寿・千寿・百寿などの「寿」が冠されたラインアップが広く知られています。しかし、今回の新商品は「寿」が付かない名前になりました。この命名について、社内では大きな議論が巻き起こったのだそう。

「久保田シリーズには、"五百万石を使った食中酒"というこだわりがありました。淡麗辛口の味わいが、寿シリーズの軸になっているんです。しかし、近年の若者から求められている酒質を考えると、『華やかで美味しい』というねらいは外せません。造り手や営業など、部門を超えて議論を繰り返し、五百万石を使って華やかな香りのお酒を造ることに挑戦しました」(中山さん)

"久保田 紅寿(純米吟醸)"、"久保田 萬寿(純米大吟醸)"、"久保田 碧寿(純米大吟醸山廃仕込)"などはなかなかお目にかかれないと、プレミア・イメージを持つ人も多いほど。それと同時に、"久保田 百寿(本醸造)"、"久保田 千寿(吟醸)"、などは飲食店でも見かけることも多い

そして、2015年に発表した「久保田」の30周年記念酒で、この挑戦を見事達成しました。五百万石らしいキレの良さはそのままに、華やかな香りをもつ日本酒を誕生させたのです。この商品を足がかりにして生まれたのが、今回の「久保田 純米大吟醸」。命名も、淡麗辛口から一線を画すという意味で「寿」から脱することになったのです。

「おかげさまで、『久保田』の知名度は高く、ひとつの"ブランド"として多くの方々に楽しんでいただいています。しかし、時代の移り変わりとともに、現代的なライフスタイルとの乖離が生まれ始めてきました。今までの寿シリーズを大切にしつつ、新しいチャレンジが必要になってきていると感じています。朝日酒造では、今回の『久保田 純米大吟醸』を皮切りに、さまざまなトライアルを繰り返し、お客様に寄り添う『久保田』を造り上げていきたいと考えています」(中山さん)

25年の時を経て、満を持して発表された「久保田 純米大吟醸」。その裏側には、久保田シリーズが登場した当初からずっと変わることのない、"日本酒をはじめて飲む人にとっての美味しさを追求する"というコンセプトがありました。

華やかで香り豊かなこのお酒は、これまでの「久保田」にはなかった新しいファンを生み出しています。酒質やラベルデザインなどを通して、初心者への訴求を試みる商品は数多くありますが、日本酒の魅力を、親から子へと受け継ぐことができるのは、世代を超えた本質を大事にしながらも、移り変わる時代の変化に対応していく「久保田」だからできることなのかもしれません。

「久保田 純米大吟醸」の発売は、変革の序章。「久保田」の新しい挑戦は、まだ始まったばかりです。

(取材・文/古川理恵)

sponsored by 朝日酒造株式会社

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