「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪・夢洲(ゆめしま)で開催され、2025年10月に盛況のうちに閉幕した「EXPO 2025 大阪・関西万博」。
158の国と地域、7つの国際機関が参加し、総来場者数が約2,901万人に達したこの大きなイベントで、2024年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」を紹介するブースが、期間限定で出展されました。
この記事では、国税庁による「日本産酒類及び『伝統的酒造り』等の情報発信」のひとつとして行われたブース出展の様子を紹介します。
ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」
日本時間の2024年12月5日(木)、日本の「伝統的酒造り」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

「伝統的酒造り」は、伝統的なこうじ菌を用いて、杜氏や蔵人等が経験に基づき築き上げてきた酒造りの技術であり、長い歴史のなかで磨き上げられてきた日本が誇る文化のひとつです。
500年以上前に原型が確立した「伝統的酒造り」のわざは、こうじの使用という共通の特色を持ちながら、日本各地においてそれぞれの気候風土に応じて発展し、日本酒、焼酎、泡盛、みりんなどの製造に受け継がれてきました。

国税庁による「伝統的酒造り」をテーマとしたブースの様子
国税庁による「日本産酒類と伝統的酒造り」を紹介するブースは、ユネスコ無形文化遺産への登録を受けて、国内外からの来場者に、日本産酒類や「伝統的酒造り」などの魅力を広く知ってもらうために、2025年7月22日(火)から9月12日(金)までの53日間、万博会場内の「フェスティバルステーション」に出展されました。

大阪・関西万博の会場にある「フェスティバルステーション」
「フェスティバルステーション」は、国内外の祭りや伝統工芸、芸能について、観覧・体験できるパビリオンです。施設内の体験型イベントブースでは、日本各地の魅力や観光の新たな価値を広く人々に知ってもらうために、会期を通して、さまざまな企業や団体の出展が行われました。
漫画「もやしもん+」のオリジナルイラストも展示!
国税庁のブースでは、日本産酒類やユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」に関するパネル展示や動画放映のほか、酒蔵ツーリズムに関するパネルや酒蔵マップも展示され、日本国内だけでなく、世界のさまざまな国や地域から、延べ37,718名が訪れました。
海外からの来場者の内訳は、中国や韓国、台湾、香港、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドなどのアジアのほか、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ハンガリー、オーストリアなどのヨーロッパ、アメリカ、カナダ、メキシコの北米と多岐にわたります。

パネルの展示では、「伝統的酒造り」を中心に紹介。「伝統的酒造り」を紹介する動画も放映され、情報が充実したブースです。日本語版・英語版が用意された「伝統的酒造り」のパンフレットは、常に補充が必要なほど、多くの来場者が手に取っていました。
また、伝統的な麹造りで使用される「麹蓋(こうじぶた)」に米を入れて、実際に手で触って揺らしたり混ぜたりすることができる「麹造り」の体験キットも設置され、大人だけでなく、小学生くらいの子どもが遊んでいる様子も見られました。

さらに、日本酒造組合中央会に所属する全国の酒蔵を網羅した「全国日本酒酒蔵マップ」や、近年推進されている「酒蔵ツーリズム」に関する紹介も掲示されました。
ブースの担当者によると、日本語版と英語版のそれぞれが展示された「全国日本酒酒蔵マップ」に注目している来場者が多かったのだとか。地図を見ながら、自分が縁のある地域や、行きたいと思っていた都道府県の酒蔵についての話題で盛り上がっている様子が何度も見られたといいます。

全国日本酒酒蔵マップ(東日本版)
「酒蔵ツーリズム」に関する展示では、海外からの来場者から「酒蔵に行ってみたい」という声も多く聞かれました。なかには、パネルのQRコードから酒蔵を検索して、その場で酒蔵ツーリズムに申し込んだという人もいたのだとか。

また、菌が見えるという特殊能力をもった主人公の農業大学での生活を描いた漫画「もやしもん+」の作者・石川雅之さんによる、「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産への登録を記念した書き下ろしイラストも展示されました。

オリジナルのポストカードやステッカーも配布され、このグッズを目当てに来場した人も多くいたようです。
日本の「伝統的酒造り」に世界中が注目!

今回の「大阪・関西万博」への出展について、国税庁の担当者からコメントをいただきました。
「『大阪・関西万博』という大きなイベントにおいて、世界各地から訪れた多くの来場者に対して、日本酒・焼酎・泡盛などの日本産酒類の魅力をPRすることができ、大きな成果があったと感じています。
展示したパネルを撮影していただいたり、スタッフに質問をいただいたり、来場者の熱心な様子が多く見られました。また、英語版のパンフレットを持ち帰る来場者も多く、さらに、ブース脇に設置したフォトスポットで撮影された写真や動画がSNSに投稿されるなど、日本産酒類への興味や関心を高めることができたと思います」

「伝統的酒造り」を紹介するブース出展は盛況のまま終わりましたが、国税庁が主催するイベントは、まだまだ続きます。
2025年11月24日(月・祝)には、東京・日本橋で「和食と日本の酒の魅力体験フェア」を開催するほか、12月6日(土)には、「『伝統的酒造り』ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベント」を、東京・浅草で開催します。こちらも、ぜひ注目してみてください。
(文:SAKETIMES編集部)
◎イベント情報
- 名称:和食と日本の酒の魅力体験フェア
- 日時:2025年11月24日(月・祝) 10:00〜17:00
- 会場:江戸桜通り地下歩道(東京都中央区日本橋室町2-2-1 地下1階)
- 内容:
・和食に関する体験
・郷土料理に関する販売・展示
・日本の酒の試飲体験 ※20歳未満は参加不可。
・省庁による展示
※農林水産省と国税庁が実施。国税庁は「伝統的酒造り」などのパネルを展示する。
・和食と日本酒に関するクイズラリー - 参加費:無料 ※有料の販売もあり。
- 共催:国税庁/農林水産省/一般社団法人和食文化国民会議/日本酒造組合中央会
- お問い合わせ先:
和食と日本の酒の魅力体験フェア運営事務局(株式会社トータルエッジ内):s_nirasawa@totaledge.co.jp
- 名称:「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベント
- 日時:2025年12月6日(土)
- 会場:浅草文化観光センター(東京都台東区雷門2-18-9)
- 内容:
・「伝統的酒造り」に関するシンポジウム
・「伝統的酒造り」などのパネル展示
・ワークショップ(オリジナル升作り)
・日本産酒類の試飲体験 ※20歳未満は参加不可。 - 参加費:無料
- 主催:国税庁/共催:文化庁
- 協力:日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会
※イベントの情報は予告なく更新される場合があるため、最新の情報は、国税庁の公式サイト(「伝統的酒造り」に関するイベント等の情報)を確認してください。
◎参考情報
- 国税庁 公式サイト内「ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」特設ページ」
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