「新しい酒米を作る」という壮大な目標を掲げて共同開発をスタートした、灘の酒蔵・沢の鶴と農業機械メーカー・ヤンマーによる「酒米プロジェクト」。2016年3月に始まったこのプロジェクトは、試行錯誤を繰り返し、およそ6年の歳月をかけて、念願の新しい酒米「OR2271」の誕生へと結びつきました。

「OR2271」は、酒米の王様とも呼ばれる山田錦に比べて草丈が短く倒れにくいため、栽培しやすいことが最大の特徴。また、心白が大きくタンパク質と脂肪が少ないので、雑味が出にくく、クリアで繊細な酒質を目指した酒造りに適しています。

その「OR2271」を使った日本酒「NADA88(なだ はちじゅうはち)」が、10月1日から一般販売を開始しました。グラスから立ち上がるフルーティーな香りが特徴で、なめらかな口当たりながら、キレの良い米の旨味が感じられる純米大吟醸酒です。

写真提供:沢の鶴

「NADA88」というネーミングは、沢の鶴が蔵を構える「灘」と、米の字を分解した「八十八」が由来となっています。地元に対する愛情と、米屋を発祥とする沢の鶴ならではのこだわりが感じられます。

一般販売に先駆けて、今年6月には応援購入サービス「Makuake」にて先行販売を実施。200名以上が応援購入し、目標金額を大きく上回る結果となりました。

今回は、「NADA88」を一足先に応援購入した3名にインタビュー。ファンの目線で、新しく生まれたお酒の魅力を語っていただきました。

"他にはない日本酒"を求める人に薦めたい

最初に話をうかがったのは、東京都府中市で酒販店「酒商しめのうち」と、立ち飲み屋「なおらいスタンド宮」を経営する大室元さん。天保14年(1843年)から酒販業を生業としてきた家系に生まれ、大手の酒造会社に勤めた経歴もあります。日本酒のプロフェッショナルとして、日本酒のファンとして、「NADA88」をどのように味わったのでしょうか。

—「NADA88」を応援購入した理由を教えてください。

沢の鶴さんは以前から取引があり、酒米プロジェクトについても話をうかがっていました。農業機械メーカーのヤンマーさんとの異業種コラボがどこまで発展していくのか、興味をそそられ、『このおもしろいプロジェクトに巻き込まれてみよう』と思って購入しました。

—「NADA88」を実際に飲んでみた感想を教えてください。

第一印象は「とてもやわらかい」でした。口当たりだけでなく、味わいもまろやかで、何よりも米の甘みを強く感じます。引っかかるものがないのに、飲み口は濃厚で深い味わい。"やさしさ"が全面に出ていると思いました。

フルーティーな香りが印象的なので、果実のソースを合わせた肉料理や、トマトのペーストを使った魚料理など、どちらかというと濃い味の料理と相性が良いのではないかと思います。

写真提供:沢の鶴

— どんな方に「NADA88」をおすすめしたいですか?

メタリックなボトルで、酒瓶というよりも機械部品のようなデザインは非常に個性的。他の日本酒と差別化できるので、ギフトとしておすすめできそうです。他にはないものを求める方に喜ばれると思います。

— これからの沢の鶴にどんなことを期待していますか?

沢の鶴さんといえば、米を大事にする酒蔵。特に「米だけの酒」のイメージが強かったのですが、ここ最近は新しい取り組みに積極的で、その変化を興味深くみています。

これからも、他の酒蔵が思いつかないようなことをどんどんやってほしい。ひとりのファンとして、『次は何をやるんだろう』というわくわく感を楽しみたいと思っています。

高い品質の日本酒を一合瓶で飲めるうれしさ

続いて話をうかがったのは、兵庫県在住の我如古幸伸さん。沢の鶴本社の近くにお住まいということもあり、沢の鶴を愛飲してきたファンのひとりです。酒米プロジェクトにも高い関心を持ち、「NADA88」を迷わず応援購入したといいます。

—「NADA88」を飲んだ感想を教えてください。

ほわんとやさしい後味で、軽やかな印象でした。自分の好みと合っていておいしかったです。合わせた食事は、枝豆と豆腐。あっさりしたものといっしょに飲みたいと思ってシンプルなアテを選びましたが、お酒のやさしい味わいを感じられて、良い組み合わせでした。一般販売が始まったら改めて購入して、他の料理とも合わせてみたいですね。

— 「NADA88」を改めて購入したいと思ったポイントはどんなところでしょうか?

味わいを気に入ったのはもちろん、個人的には、一合(180mL)サイズでの販売がありがたいです。「NADA88」は一合で2,000円。これを高いと感じる方もいるかもしれませんが、仮に四合瓶で8,000円で販売されたとすると、手が出しづらくなってしまいます。このサイズでの販売はうれしいですね。

— 地元のファンとして、沢の鶴に対するイメージを教えてください。

沢の鶴といえば、食中酒。香りは抑えめというイメージだったので、そういう意味では「NADA88」は異色かもしれません。でも、飲み進めるうちに沢の鶴らしさが感じられました。

沢の鶴さんは、米の味を引き出した日本酒を造り続けています。創業当初の姿勢を崩さず、プライドを持って酒造りをしているんです。だからこそ、沢の鶴さんが好きなんです。

写真提供:沢の鶴

— 地元・灘に住んでいるひとりとして、沢の鶴はどんな存在ですか?

規模の大きい酒蔵だと思いますが、小さい地酒蔵のような親近感があります。毎年3月に開催される蔵開きに行くと地元からの参加者が多く、地元に愛されていると感じます。灘の町になじんでいることも、僕が沢の鶴さんのことを好きな理由のひとつです。

味わいのバランスが秀逸な日本酒

最後に話をうかがったのは、名古屋市在住のごっちゃんさん(仮名)です。日本酒講座を積極的に受講するほどの日本酒愛好家で、沢の鶴については「酒粕を使った食品など、日本酒以外の派生商品へのこだわりも感じる」と、以前から一目置いていたといいます。今回は大手メーカーの実力を見たいと、応援購入を決めたそうです。

— 日本酒ファンのみなさんと「NADA88」の試飲会をしたとうかがいました。その時の様子を教えてください。

聞こえてきた感想の中には「悔しいけれど、おいしい」という声がありました。参加したメンバーは、日本酒の専門資格を持っているような方々。そんな彼らが納得する、味わいのバランスが良いお酒でしたね。大手酒蔵としての実力を感じました。

良い意味で尖った個性はありませんが、一度飲んだら忘れられない日本酒。造り手の情熱を感じる一本でした。

— どんな料理に合うと思いますか?

料理を選ばず、本当に何にでも合うと思います。食前酒として飲んでもいいし、ロックでも楽しめそう。少し温めてみるのも、おもしろいかもしれません。

写真提供:沢の鶴

— これからの沢の鶴にどんなことを期待していますか?

この素晴らしい酒米を他の酒蔵にも使ってほしいと思っています。そうすれば、今後、新しい魅力をもった多様な日本酒が生まれるのではないでしょうか。この酒米は、いずれは山田錦を越える可能性だってある。「NADA88」は、そんな夢を語りたくなる日本酒ですね。

一般販売は10月1日からスタート!

写真提供:沢の鶴

沢の鶴とヤンマーの挑戦が実を結んだ「NADA88」は、10月1日から一般販売をスタート。異業種コラボによって生まれた日本酒の新たな可能性を、ぜひ体感してみてください。

(取材・文:芳賀直美/編集:SAKETIMES)

◎商品概要

  • 商品名:沢の鶴 NADA88
  • 原料:米(日本産)、米麹(日本産米)
  • 精米歩合:47%
  • アルコール度数:15.0度
  • 容量:180mL
  • 価格(税込):2,000円
  • 販売場所:沢の鶴オンラインショップ

sponsored by 沢の鶴株式会社

編集部のおすすめ記事