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埼玉の日本酒を全国区に! 石井酒造8代目、若き蔵元・石井誠さんの挑戦

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1987年生まれ、現在29歳。業界でもずば抜けて若い蔵元である石井誠さん。

石井誠さんが代表を務める埼玉県幸手市の「石井酒造」は、天保11年から続く酒蔵です。幼いころから蔵で過ごし、悪いことをすると押入れではなく蔵に閉じ込められ、冬には酒造りを間近で見ながら、ご両親の酒蔵経営を見聞きしていたからでしょう。蔵を継ぐのはとても自然なことだったといいます。

そんな石井さんが蔵を継いでからの軌跡と、これからのビジョンをお伺いしました。

"若さ"を武器にした新銘柄で、石井酒造の名を広げる

大学を早稲田の商学部に決めたのも、経営を学ぶためだったとか。
卒業後は酒類総合研究所で3ヶ月、東京都北区の小山酒造でひと仕込み酒造りを学んだ後、「他の会社も見た方がいい」という前蔵元であるお父様の助言でガス会社へ入社。2年間のサラリーマン生活を過ごしました。

蔵に戻ってきたのは2013年4月。その年の株主総会で承認され、11月から社長に就任しました。

就任直後、営業として東京の飲食店へお酒を持ち込んだところ、「東京では売れない」とはっきり言われ、肩を落とす経験をしたそうです。

いったい、どうしたら良いのか。まずは、石井酒造を世間に知ってもらわなければならない。そう考えた石井さんは、翌2014年に当時の酒蔵としては初の「クラウドファンディング」に挑戦。WEBで資金を集め、新しいお酒を醸すという企画を打ち出します。

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蔵元も杜氏も20代、ラベル制作も大学同期の20代。そしてクランドファンディングを提案しサポートしてくれたのも同じ20代。若さを前面に出し、オール20代で挑んだ本プロジェクトに、当時、会長職であったお父様は難色を示したそう。

ですが、”石井酒造”という名を広めるため、石井酒造の発展のため、この企画は絶対に必要であると信念を貫き、会長の反対を押し切って強行実行。さまざまな困難にぶつかりながらも、徹底的な議論を重ね納得のいくものになります。出来上がったお酒には、"若者"を意味する「二才」の文字を取り入れた「二才の醸(にさいのかもし)」と冠しました。

結果は、ご本人も「満足度は100点に近い」と言い切ったほど大成功を収めたのでした。そして、この成果には会長も納得。業界一若い蔵元が認められた瞬間でした。

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アイデアは就任当初から持っていたそうで、「自分たちの"若さ"は他社にはない武器。その特徴を活かし、ターゲットを20代に絞って、その発信力に期待したいと考えました」と石井さん。

とはいえ、酒蔵初の企画であり、しかも200万円もの資金が集まったとなれば、プレッシャーも大きかったと安易に想像がつきます。終わった直後の感想は「疲れた」の一言に尽きたよう。しかしながら、石井誠さんが蔵を率いてからもっとも大きなプロジェクトとなった「二才の醸」は、若者ならではの企画力、思い切り、そして発信力を活かして、石井酒造の名を広めることになったのです。

同志蔵元と協力して、埼玉清酒を全国へ!

石井誠さんの挑戦は、その後も続きます。2015年、 新たな企画をすぐさま実行に移していきました。

「埼玉SAKEダービー」と名付けられたその企画は、驚きの対決形式。米・精米歩合・酵母・種麹・水、すべて同じものを使って、2人の若き杜氏が造ったお酒を「さて、どっちの酒が旨いのかを決めようじゃないか」という、シンプルでいて、日本酒としては新しく楽しいイベント。勝敗は、実際にお酒を飲み比べた一般の方の投票によって決するという、まさにガチンコ対決でした。

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この「埼玉SAKEダービー」を立ち上げたのは、埼玉のお酒の認知を向上させるためだったと言います。

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「埼玉の日本酒出荷量は全国4位ながら、県内消費は2割以下という状況です。以前から蔵元たちと話していたけれど、これまで思い切ったことができていませんでした。そこで、まずは私たちで結果を残そうということで、以前より交流のあった寒梅酒造さんと始めたんです」

埼玉にもまだ埋もれている原石があること、そして、若い自分たちが未来に輝く宝石となることを願って、銘柄名に「彩の原石」という名をつけたこの企画は当たり、大きな話題となりました。同時に、「とても美味しかった」「埼玉でもこんな良いお酒を造っているんだ」といったお客様の声を直に聞けたというのが蔵元たちには大きな収穫だったようです。このとき石井さんは、“埼玉清酒に明るい光がもたらされた”と感じたそうです。

蔵元自ら企画し、スピード感を持って実行し、成果を出す。しかも、業界の中でもことさら若い蔵元が。その行動力はどこから生み出されているのでしょう。

「それは、石井酒造に、そして自分にまだ自信がないからかもしれません」という意外な答えが。石井誠さんが目指すゴールはどこにあるのでしょう。お話は続きます。

東京からの逆輸入で、埼玉清酒のブランド化を図る

「石井酒造、そして石井酒造の商品の価値を高めようとずっと考えてきました。石井酒造のお酒ならどこでも扱ってもらえる、間違いない、そんな酒蔵を目指したいと思っています」

たしかに、「二才の醸」「彩の原石」はある程度認知が高まりましたが、一方で石井酒造の看板商品である「豊明」と「初緑」は、まだまだ知らない方が多いかもしれません。自信をつけるには、これらを広めていかなければならないでしょう。そのための戦略としては、どのようなビジョンをもっているのでしょうか。

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「やはり首都圏、特に東京への積極的な進出ですね。東京から全国へ広がっていきますし、埼玉県民の性質でしょうか、東京で流行ったものを取り入れるところがあるので、地元で呑んで貰うためにも、東京からの逆輸入を狙っています。たとえば『新潟は日本酒が豊富』『秋田には良い酒がある』。それと肩を並べられるよう、『埼玉、美味しいお酒があるよね』というイメージを確立させたいんです」

「埼玉清酒のイメージ確立」を目指すという石井さん。若手ながら、自社の利益ばかりでなく、”埼玉の日本酒を自分が背負ってく”という力強い覚悟があるようで、とても心強く感じました。

石井誠さんが考える、これからの日本酒業界

「二才の醸」に「埼玉SAKEダービー」、新しい発想で話題を起こし続ける石井酒造は、これからの日本酒のあり方をどのように考えているのしょう? インタビューの最後に、石井誠さんが考える日本酒の未来、そして、今後の石井酒造について伺いました。

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「お酒を呑む環境を整えることがまず大事だと思います。誰と呑むか、どこで呑むかによって、味も大きく変わりますし、何より楽しく呑んでほしい。酒の呑み方は自由。固定概念を外していきたいと考えているんです」と、日本酒のあり方を話す石井さん。

若い世代は、日本酒の印象をどう捉えているのでしょうか。お酒に強い人が呑むもの?和食屋で呑むもの?値段が高いもの?

最近、日本酒が若い人に広がっているのは事実でしょうが、それでも、まだまだ勘違いしていることが多いように思います。そんな現状に対して石井さんは 「今までの日本酒のイメージを払拭させ、もっとオープンにしたい。たとえば、日本酒をソーダで割ってハイボールにしたり、果実酒とブレンドしてカクテルにしたりといった飲み方もいいと思っています」 と提案していました。

さらに、日本酒業界おいて”改善すべき点”を次のように指摘します。

「流通に関しては、まだまだ問題点が多いと思っています。もっと販売の自由度が高くなれば、お客様も場所を選ばずに欲しいお酒が手に入るようになるでしょう。これは、日本酒の市場拡大において欠かせない点だと思っています」

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そして、業界の未来を見据えるとともに、石井酒造の社内改革についても、きちんとしたビジョンをもっており、積極的に取り組んでいきたいのだそう。

「もちろん、自社製品が日本酒が売れ、儲けが多くなれば、石井酒造の社員・スタッフの待遇もどんどん改善していきたいですね。同時に、人材探しも積極的に推し進める必要があります。現在、石井酒造の製造管理をしている人が高齢になってきました。残念ではありますが、引退となる日もそう遠くない。となると、代わりになれるような人が必要です。今後は、製造と営業、両方できるような人材を探していかなければなりません」

業界の問題解決と、石井酒造自身の課題解決は直結しています。流通の自由度が高まることで、埼玉清酒の地元消費が多くなる。それによって、酒造メーカー各社の待遇が改善される。知名度と待遇、どちらも高まれば日本酒に関わりたいと興味を持つ若い人も増え、優秀な人材が集まるかもしれません。酒質も上がってくれば、必然的に全国へも広く知れ渡ることになるでしょう。

「今までの企画で、製造やPRの実績ができました。これから社員も増やして事業投資を進めていければと思っています。さらに、埼玉県内の連携もできることが実証されたので、今後はもっと大きな企画を動かしたいですね」

最後に、石井酒造はどういう蔵であるのか、どういう蔵でありたいのか聞いてみました。すると石井さんは「常に、何かに挑み続ける蔵でありたい」と、きっぱり。

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新しいこと、難しいこと、楽しいこと、いろんなことを探究していくのでしょう。石井誠さんの挑戦はまだ始まったばかり。新しいプロジェクトも、きっと頭には浮かんでいるはず。

石井さんの活動からは、今後も目が離せません。数年後、日本酒業界を最前線で盛り上げているのは石井酒造の可能性が大きいだろうと感じます。

(取材・文/まゆみ)

 

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