秋田県の新政酒造はすべてのラインナップに秋田県産米を使用し、かつ伝統的な製法「生酛造り」に注力している、伝統と革新を併せもった酒蔵です。昨今の日本酒業界を牽引する存在としても知られ、多くのファンを抱えています。

そんな新政酒造とEXILE/EXILE THE SECONDのメンバーである橘ケンチさんがコラボした日本酒「亜麻猫橘」が、2018年12月に発表されました。

Discover Japan表紙

橘ケンチさんは、日本の魅力を伝える雑誌『Discover Japan』で日本酒コラムを連載するほど、日本酒愛にあふれた人物。同誌の2019年1月号の日本酒特集にも登場しました。今回は「亜麻猫橘」がお披露目された、その出版イベントをレポートします。

橘ケンチさんは"日本酒の語り部"

まず『Discover Japan』編集長の髙橋俊宏さんが、橘さんとの連載を始めようと考えたきっかけを話しました。

「ケンチさんが誌面に出ると、とにかく反響が大きい。そこで、ケンチさんを通して、若い世代に日本酒の魅力をアピールできるのではないかと連載がスタートしました。"日本酒の語り部"を託してみようと思ったのです」

『Discover Japan』編集長の高橋さん

橘さん自身は連載を通して、日本酒とどのように向き合っていったのでしょうか。

「日本酒を飲むと、さらにその先を知りたくなるんです。どんな米で造られているのか、どんな酒器が合うのか......好奇心が広がっていきました。最近、日本各地の酒蔵で蔵元や杜氏が代替わりし、若い造り手が増えてきています。伝統的な酒造りに敬意を表しつつ、新しい挑戦をしている。そんな背景を伝えていきたいと思いました」

『Discover Japan』編集長の高橋さんと橘ケンチさん

これまでの連載の中で印象に残っている取材のひとつとして、初回に訪れた青木酒造(新潟県)の話が挙がりました。

青木酒造の社長は西郷隆盛に似ているという情報を事前に聞いていたそうで、「実際にお会いしたら、絵に描いたような西郷さんだった」のだそう。「その印象が強すぎるのですが、お酒はとても美味しく、日本酒になじみのない方でも飲みやすいと思います」と、話してくれました。

また、「澤屋まつもと」を醸す松本酒造(京都府)も印象深かったようです。

「登録有形文化財や重要景観建造物にも指定されている酒蔵で、趣のある建物でした。蔵元の松本さんは『美味しいものを食べなければ、美味しいお酒は造れない』という考えで、常に美味しいものを求めているんです。いっしょに食事をすると刺激をもらえますね」

『Discover Japan』編集長の高橋さんと橘ケンチさんと司会の方

全国の蔵を巡りながら、日本酒を深く知っていくうちに、酒造りを体験したいと考えるようになった橘さん。その思いが、今回のコラボにつながっていきます。そもそも、なぜ新政酒造を選んだのでしょうか。

「佐藤社長のチャレンジ精神や哲学に惹かれたからですね。秋田に足を運んで、直談判しました」

橘さんは、伝統的な製法である生酛造りに挑戦し、新政酒造の蔵人たちとともに作業をしたそうです。

「杜氏も蔵人も20代で、若い力のある酒蔵でした。麹造りの作業をしながら、EXILEの話で笑い合ったこともありましたよ」と、当時の裏話も披露してくれました。

「亜麻猫橘」の味わいはいかに?

亜麻猫橘のボトル

そしていよいよ「亜麻猫橘」が登場。スタイリッシュな青いボトルです。

乾杯の様子

器に注いだ瞬間、すっきりとした香りが漂います。ミルキーな味わいで甘味も感じられますが、ガツンとくる強い酸味が衝撃的でした。そのまま、渋味を帯びながらフィニッシュしていきます。

もともと、新政酒造の「亜麻猫」が好きだったという橘さん。その延長線上で造りたいという思いから、佐藤社長と話し合いを重ねて、酒質の方向性を決めたそうです。

杯を掲げる橘ケンチさん

「ボトルのデザインや味わいを考えると、ワイングラスで飲むのが良いと思いますが、楽しみ方は自由。その日の気分に合わせて、お気に入りの酒器で飲んでほしいですね」と、話してくれました。

亜麻猫橘のボトルと手まり寿司

イベントで用意されたペアリングメニューは、4種類の手まり寿司。「ローストビーフと蒸しウニ」「合鴨ロースと焼きねぎ」「真鯛の燻製と菊」「ニシンのスモークとキャビア」と、バラエティに富んでいました。

会場からは「美味しい!」という声が聞かれ、「亜麻猫橘」との相性も高評価だったようです。

まずは酒屋に行ってみる

イベントでは、橘さんにさまざまな質問が投げかけられました。

「日本酒初心者には、どのような銘柄がおすすめか?」という質問には、「まずは酒屋に行って、店員さんに聞いてみてください」と答えました。橘さん自身も、最初は何を選んだらいいのかまったくわからなかったそうで、酒屋のスタッフからアドバイスをもらいながら、自分の好みを見つけていったようです。

「もし自分が日本酒を提供するとしたら、どのような店にしたいですか?」と聞かれると、「日本酒を気軽に楽しんでほしいので、まずは角打ちですね。ひとりで来ても、その場にいるお客さん全員と仲良くなれてしまうような店がいいかな」と語ってくれました。

Discover Japan表紙と亜麻猫橘のボトルと手まり寿司

日本酒の魅力を伝えるべく、誠意をもって活動し続けている橘ケンチさん。その大きな発信力によって、多くの若い世代が日本酒に興味をもち始めています。

今後どのような動きが見られるのか、期待が高まります。

(文/まゆみ)

◎商品情報

※「亜麻猫橘」の一般発売はありません。下記2店舗のみで提供。

  • 鮨つぼみ
  • 住所:東京都目黒区東山1-21-26 QG東山ビル1F
  • TEL:03-6451-0903
  • 小花
  • 住所:東京都渋谷区恵比寿3-28-2 SP15 EBISU 1F
  • TEL:03-6455-7826

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