みなさまこんにちは。ライターの片桐新之介(利酒師・焼酎利酒師)です。

お酒を選ぶとき、みなさんはどんな選び方をされていますか?試飲があれば、そこで味を見ることができますが、そうでない場合はどうでしょうか。
お酒を選ぶにあたって、ひとつの基準となるのはやはり「味のタイプ」でしょう。すっきりとした辛口、芳醇な甘口、、、様々な表現がありますが、「甘口」「辛口」については、多くの人が日本酒の表現として使っているコトバです。

でも、果たしてそれは正しいのでしょうか?
日本酒が海外含め多くの人に広がっていくにあたって、この言葉の意味を再検証していく必要があると思っております。その点を、これから何回かに分けて考えていきたいと思います。このテーマは、一人でも多くの人たちと考えたいところです。なぜなら味覚は結局は主観的なものですが、言葉での表現はより多くの人が納得のいくものにしたいので。この記事についてどんどんコメントいただければありがたいです。

 

●『辛口』ってなんだろう

まずは今回は「辛口」という言葉について考えてみたいと思います。辛い、ということは、スパイス(胡椒、山椒、唐辛子、カレー)やわさびなどを連想させますね。

デジタル大辞林によれば、
1 トウガラシ・ワサビなどのように、舌やのどを強く刺激するような味である。→五味(ごみ)
2 (鹹い)塩気が多い。しょっぱい。⇔甘い。
3 甘みが少なくさっぱりとしていて、ひきしまっている。酒の味などにいう。⇔甘い。
ということ。

3、の項目がまさに辛口の日本酒の表現なのですが、果たして「辛い」はこの意味だと日本人のどれくらいが認識しているのでしょうか?おそらく、辛口というと1、の意味で感じてしまって、「日本酒は飲みにくいもの」という脳内変換がされている気がします。

私は以前百貨店の店頭で日本酒はじめ全ての酒類を扱ってきましたが、どうもこの「辛口の日本酒」という表現自体が、「日本酒を飲んだことがない」人に、日本酒を魅力的だと感じさせることを阻害しているのではないかと思うのです。

 

●辛口に変わる表現とは?

では、どういう表現が伝わるのでしょうか。日本酒を飲んだことがない人、飲みなれていない人への進め方を中心に考えてみると、先ほどの「すっきり」「ひきしまっている」ということをまずイメージしてもらえる言葉が重要なのではないかと考えます。
「爽酒(そうしゅ)」という言葉もいいのでしょうが、甘さ・酸(す)っぱさ・辛(から)さ・苦(にが)さ・渋(しぶ)さの五味のうち、日本酒の重要な味の要素である「酸味」「苦味」もカバーしうる、そして「旨み」という概念も合わせた、新しいコトバが必要はないでしょうか?それが、今後日本酒が世界で最もっと浸透していくための鍵にもなると思うのです。

 

来月は、「甘口」についての表現について考えます。それ以後、「辛口を英語で表現すると?」「甘口を英語で表現すると?」「辛口に変わる表現とは?」・・・などと、半年ほどにわたって、この問題について月1回考えていきたいと思うのです。

それではまた来月。みなさまのたくさんのご意見お待ちしております。

 

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