人気のダンス&ボーカルグループ・EXILEが所属する「LDH JAPAN」が手掛ける飲食店「LDH kitchen」のプロジェクト「LDH kitchen WALKABOUT 47. JAPAN」をご存知でしょうか。
これは、LDH kitchenと全国各地の優れた食材やその生産者、日本酒の造り手をはじめとする職人がコラボレーションして、地域の魅力を多くの人たちに知ってもらおうというプロジェクトです。その記念すべき第1弾イベントが、"長野県の特産食材と地酒のペアリングを楽しむ夕べ"というテーマで開催されました。
今回は、本プロジェクトが立ち上がった背景と、第1弾イベントの様子を紹介します。
日本各地の"作品"を広めていく
プロジェクト発足の経緯を、LDH kitchenの代表取締役CEOを務める鈴木裕之さんにうかがいました。
「社会貢献活動に取り組むLDH JAPANだからこそできるような地域貢献をしようという話から、日本全国にある食材や生産者を応援するためのプロジェクトを模索し始めたんです」
そんな折、EXILEのリーダーであるHIROさんが仕事で訪れた長野県で、県知事を務める阿部守一さんのもとを表敬訪問しました。そこで、LDH JAPANの社会貢献活動に関する話を聞いた阿部知事は「ぜひ、長野県の特産品をテーマにしてほしい」と要請したのだそう。
その後、ふだんから日本酒を嗜んでいるだけでなく、全国各地の酒蔵に足を運んでいるEXILE / EXILE THE SECONDのメンバー・橘ケンチさんが「長野の食材と長野の地酒を組み合わせたイベントはどうか」と提案したことをきっかけに、本プロジェクトが本格的にスタートしました。
2017年11月に自ら長野県の酒蔵を訪問していたという橘ケンチさんとLDH kitchenのスタッフが、今年1月に長野県の案内でふたたび県内の酒蔵4軒を訪問。そこで酒造りの模様を見学すると共に蔵元や杜氏の熱い思いを聞き、レベルの高いお酒を堪能したのだそう。なかでも、全員が強い感銘を受けたのが、井賀屋酒造場(長野県中野市)でした。
井賀屋酒造場の主力銘柄は「岩清水」。蔵元杜氏の小古井宗一さんと奥様の枝里さんがふたりで酒造りをしているとても小さな酒蔵です。橘ケンチさんやスタッフが注目したのは、夫婦がこだわり抜いて造ったお酒そのものでした。
お酒を仕込むタンクはすべて、温度管理が可能なサーマル式。お酒を搾る部屋は冷蔵庫のような仕様。年間を通して、新鮮なお酒を造れるのです。また、ふつうの酒造りよりも麹の量を大幅に増やすことで、独特な甘味をもつお酒にもチャレンジしています。今季からは、すべてのお酒を生酒で貯蔵。ゆっくりとまろやかになっていく変化を楽しんでもらうため、マイナス5度以下で保存しているそうです。
小古井夫妻の熱意と橘ケンチさんの強烈なプッシュによって、本企画の栄えあるトップバッターが井賀屋酒造場に決まりました。
その後、「本来交わることのない人やモノ、文化を結び、日本各地の生産者を巡って、彼らの作品を広める」という趣旨のもと、本プロジェクトのタイトルが「LDH kitchen WALKABOUT 47. JAPAN」に決定されました。
長野県からスタートし、47都道府県すべての魅力を発信していくという強い意気込みが感じられますね。
枝里さんは「昨年11月に、橘ケンチさんが私たちの蔵へ来ていただいたときは、ただただ感激していました。そのご縁がこんな素敵な話に発展し、とても驚いています。光栄なことですから、もちろん喜んでお受けしました」と話しています。
長野県の旬な食材と地酒のペアリング
今回のイベントは、LDH kitchenが経営する蕎麦ダイニング「錦織」で開催されました。長野県の旬な食材と岩清水のペアリングディナーです。
通常、食事とお酒をペアリングする企画の場合、料理はすでに決まっていて、それに合わせる日本酒を選んでいく流れが一般的です。しかし今回は、錦織の料理長が岩清水をひとつずつテイスティングしながら、それぞれに合う料理を決めていくという段取りでした。
「長野県が誇る食材の力を最大限に引き出した料理と、岩清水のモダンな味わいがお互いを引き立てあうような組み合わせを考えました」と、料理長は話しています。
今回提供されたペアリングは以下のとおりです。
- 先付「信州産大王岩魚のサラダ仕立て」vs. 岩清水 NIWARINGO2017 生原酒 あらばしり
- 前菜「松前チーズ和え&地鮎カダイフ揚げとうもろこし天婦羅」vs. 岩清水 MARS2017 槽搾り生原酒 あらばしり/中取り/責め
- 焼物「信州サーモンのコンフィ」vs. 岩清水 Origine2018 生原酒
- 一品「信州プレミアム牛のすき焼き」vs. 岩清水 紫ラベル2008 生原酒
- 食事「信州ひすい蕎麦&黄金軍鶏の田舎汁」vs. 岩清水 白ラベル2015 火入れ
- 甘味「初夏の彩り寒天」vs. 岩清水 ROSIER2018 生原酒
リンゴ酸が主役の軽快なお酒にぴったりの先付。同じお酒でも搾る過程の違いによって、その名前や味わいが異なる「あらばしり」「中取り」「責め」のそれぞれとペアリングを楽しむことができる、盛りだくさんの前菜。
サーモンの脂を洗い流して、さっぱりとした余韻を楽しませてくれる、品の良い濃醇な甘味をもったお酒。生酒のまま10年も熟成した、甘味・旨味が分厚いお酒と信州牛サーロインの重厚なハーモニー。
そばと田舎汁に合わせるお酒は、冷やしたものと温かいものの2種類が提供され、会場のそこかしこで「私はこっちのペアリングが好き」などの声が聞かれました。そして最後に提供されたのは、甘味の個性をまったく邪魔しないような、フレッシュでフェザータッチの低アルコール酒。
料理もお酒も本当に美味しく、参加者の方々は、大いに満足していました。
「LDH kitchen WALKABOUT 47. JAPAN」の第2回は、7月9日に「錦織」と同様にLDH kitchenが手がける飲食店「中目黒KIJIMA」で開催予定です。長野県の旬な食材と伴野酒造(長野県佐久市)が醸す「澤の花」のペアリングディナーが催されます。
第3回までは長野県をテーマにし、それ以降は別の地域へ展開していくそうです。さまざまな地域の風土や気候が育んだ食材と地酒のペアリング、あなたも楽しんでみませんか。
(文/空太郎)