きょうは、レーズンを肴に晩酌を楽しみましょう。ウィスキーやワインによく合うイメージがありますが、日本酒にとっては、その甘味や酸味がちょっと強すぎるかもしれません。
これを解決してくれるのが「酒粕」です。レーズンを酒粕に漬けることで甘味が抑えられ、少しほろ苦い、ラムレーズンのような味わいになります。名前を付けるとすれば、「吟醸レーズン」といったところでしょうか。
今回は栄養価が高く、日々の晩酌に取り入れやすい、この「吟醸レーズン」を紹介します。
そのままでも、チーズと合わせても美味しい一品
【材料】
- 酒粕......適量
- レーズン......適量
- 日本酒......酒粕に対して1~2割ほどの量
【作り方】
イ. 酒粕に日本酒を混ぜて柔らかくし、その上にレーズンを並べる
ロ. レーズンを酒粕で覆い、2日間ほど漬け込んだら完成
そのままつまんでも、チーズといっしょに食べても美味しい一品です。
※ 酒粕で漬け込んでいるため、レーズンには微量のアルコールが含まれます。ご注意ください。
ちょっとしたアレンジでおしゃれに
この「吟醸レーズン」を使って、見た目がかわいらしく、かつ日本酒との相性がバッチリな一品をつくってみましょう。
【材料】
- クリームチーズ...... 80~100g
- 吟醸レーズン...... 15~20g
【作り方】
イ. クリームチーズを常温で置いておくか、もしくは電子レンジで軽く温めて柔らかくする
ロ. クリームチーズに吟醸レーズンを混ぜる
ハ. スプーンで適量を取り、ラップで丸く包んで、口を留める
ニ. 冷蔵庫で冷やして固める (3~6時間ほど冷やせば、充分に固まります)
冷やすときは、皿に面した部分が自重でつぶれて平らになってしまうため、10~15分ほど経ってチーズが少しずつ固まり始めたころに形を整えてあげると、よりきれいに仕上がります。
レーズンとチーズはかなりの好相性。お互いの持ち味にが口の中で溶け合い、甘酸っぱい美味しさを醸し出しています。酒のおつまみとして、バッチリです。
酒肴の味わいをふくよかに後押しする「旦」
クリームチーズは、数あるチーズのなかでも、香味が穏やかでフレッシュなタイプ。また、レーズンも酒粕に漬け込んだことで、甘味と酸味が抑えられています。
甘味と酸味のバランスが整った穏やかな味わいの酒、もしくは、チーズの風味に合わせて生酛系の酒を選ぶのも良いですが、今回は、料理の酸味を補う1本として「旦」を選びました。おつまみと酒の風味を同調させるのではなく、クリームチーズの淡い酸味を引き立てるねらいです。
ほんのり甘い上立ち香。みずみずしいフルーツを思わせます。口当たりはとろりとしていますが、生酒らしいフレッシュな爽快さも感じます。口に含むと、奥深いまろやかな酸味と米の旨味。そこに甘味が重なって、ゆっくりとした余韻を演出しています。
いかにも"山廃純米"といえるような野太い仕上がりではなく、飲み心地の良い、柔らかくさらりとした酒です。山廃のイメージを変えるような、新しい出会いになりました。
おつまみといっしょに味わうと、お互いがさらりと溶け合う見事な良縁。酒の余韻で口の中が洗練され、次のひと口がより美味しく感じられます。酒の甘味と酸味が、チーズとレーズンの美味しさを引き立てているのでしょう。
相性のおもしろさから、食べては飲み、飲んでは食べ......ふと気が付くと、主役はやっぱり「旦」。肴を引き立てながらも、みずからが輝きを放つ酒です。
(文:KOTA/編集:SAKETIMES)