最近、居酒屋などで燻製を見かける機会が増えました。

桜やヒッコリーなど、薫り高い木材の煙で食材を包みこみ、特有の風味と旨味を加えながらじっくり調理。琥珀色に燻された肉や魚は、見た目も味も抜群ですよね。

燻製といえばビールやウイスキーのイメージがあるかもしれませんが、実は山廃・生酛系の熟成酒ともよく合うんです。

今回はすまいの雑貨店sumaoさんのご協力で「キャメロンズ ミニスモーカー」と「ストーブトップスモーカー」を使った燻製と濃醇系日本酒のマリアージュを楽しむ会を開催。燻製と料理はキッチンみのりの主催で、家庭料理研究家の山上公実さんに腕を奮っていただきました。

チップを入れて加熱するだけ!意外と簡単な燻製

今回使用するこちらのスモーカー、煙があまり外に漏れ出てこないので、マンションのキッチンでも安心して使えます。もしくは、古くなった中華鍋などを使用してもかまいません。しかし、かなり焦げやすく、燻製の香りが鍋についてしまうので、燻製専用にするのが良いでしょう。

燻製にする食材は、水分があまり含まれていない加工品などがおすすめです。

◎ 食材

  • ソーセージ
  • ゆでだこ
  • ほっけ
  • ホタルイカ
  • 鴨ロースの塊
  • カマンベールチーズ

今回は鴨を使用しましたが、豚も良いです。塩やニンニクで下味を付けて焼いた豚の塊をスモークすると、高級チャーシューのようになりますよ。

おすすめはカマンベールチーズ。表面の白カビがほどよくスモークされ、日本酒と相性抜群。表面を切り取ると、中はとろとろに溶けて、まるでチーズフォンデュのようになります。

チーズが熱で溶けるので、アルミホイルの上で燻製するのがポイント!

水分が含まれる食材はペーパータオルなどで水気をとり、冷蔵庫で1~2時間ほど乾燥させてください。水分が残っていると、燻製中に煙と反応して、酸っぱくなってしまいます。

では、早速作っていきましょう!

1. チップをスモーカーに入れる

今回は桜チップを使用。量は大さじ一杯程度でじゅうぶんです。
あまり入れすぎると煙くさくなるので、気をつけてくださいね。

2. 加熱する

コンロにかけましょう。具材によって燻製時間は違いますが、参考までに時間を記しておきます。

  • カマンベール:15分
  • 市販鴨ロース:20分
  • ホタルイカ:15~20分
  • ホッケの開き:30~40分

難しいことは何もなく、あとはただ待つのみ。
カマンベールチーズを15分ほど燻製すると、ほどよくスモーク色がついて、なんともおいしそうな香りが漂います。

熱いうちに、上部をペティナイフなどで丸く切り取ると、チーズフォンデュのように食べられます。冷めた皮が、また濃醇な日本酒によく合いますよ。

燻製に負けない味わいの熟成古酒がおすすめ!

「香露 大吟醸限定品 2011年醸造」株式会社熊本県酒造研究所(熊本)
「三笑楽 山廃純米」三笑楽酒造株式会社(富山)
「大七自然酒 生酛純米 1992年」大七酒造株式会社(福島)

  • 「香露 大吟醸限定品 2011年醸造」

6年熟成しているため、「香露」の持ち味である繊細で優雅な吟醸香が、少し穏やかになっています。コクとなめらかな熟成香が加わり、味わいも力強くなりました。

  • 「三笑楽 山廃純米」

濃醇な旨味と、南国のフルーツのような柔らかい酸味が特徴。骨太な構造の中に、ヨーグルトのような乳酸が絶妙にマッチしています。

  • 「大七自然酒 生酛純米 1992年」

こちらは25年熟成古酒。今は亡き名杜氏、伊藤勝次氏・金田一政吉氏が1992年度に醸造した逸品です。地元の福島県二本松市の契約農家で、減農薬・減化学肥料栽培した酒造好適米「華吹雪」を使用しているそう。さほど強烈な主張はありませんが、ドライフルーツ様の豊かな香りに、香ばしくローストしたナッツの香り。上品な甘味と旨味がぎっしり濃密に詰まっていて、それが長い年月を経てまろやかになっている印象でした。

燻製と熟成古酒のペアリングに舌鼓

「香露」は魚介類やカマンベールと好相性。穏やかな香りとあっさりとしたコク、そして旨みのあるホタルイカや、マイルドなカマンベールチーズのコクに良く合いました。

穏やかな香りとあっさりとしたコク、そして旨みのあるホタルイカや、マイルドなカマンベールチーズのコクに良く合いました。


鴨ロースには「三笑楽」が合いました。乳酸由来のやわらかい酸味と、若干酸味のある鴨の風味とが相性抜群。

「大七」のおおらかなコクと複雑な味わいは、ほぼすべての燻製を受け止める度量がありました。その中でも、鴨とホッケの燻製との食べ合わせは絶品!

燻製と日本酒のマリアージュは奥深く、また、アレンジ料理の素材としても可能性があります。作り方もスモークチップとスモーカー、あるいは古くなった鍋などがあれば、さほど難しくありません。日本酒にあわせて、ご自宅で燻製を楽しんでみてはいかがでしょうか。

【協力】
すまいの雑貨店「sumao」: 浜谷冨美子さん
キッチンみのり: 山上公実さん
「スモークと日本酒の会」参加者のみなさま

<文/山口吾往子>

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