十分に楽しんだ京都の旅。京都のお土産といえば、抹茶や餡子を使った和菓子、お漬物、鯖寿司など、選ぶのに迷ってしまうほど種類が豊富です。JR京都駅の構内にはお土産店が充実していますから、旅の最後に最高の酒のあてになるお土産を買って、新幹線に乗り込みましょう。

今回ご紹介するのは、「生麩」と「湯葉」を使った、ちょっとしたひと手間でできるおつまみです。

加熱して変わる「生麩」の食感を楽しんで

もちもちの食感と、ほのかに広がる上品な香りがたまらない生麩。いろいろなお店が作っていますが、今回はJR京都駅構内で手に入りやすい「麩嘉」のものを使いました。

「もちもち生麩田楽」

もちもち生麩の田楽【材料】

  • 生麩...食べたい分だけ
  • 味噌...大さじ2
  • みりん...大さじ2

【作り方】

もちもち生麩の田楽の田楽味噌

1.田楽味噌をつくる
まずは生麩に添える田楽味噌を作ります。小鍋に味噌とみりんを入れ、焦げないように混ぜながら温めます。

写真の味噌は麦味噌と米味噌を合わせたものですが、お好みに合わせて味噌を選んでください。味噌とみりんの割合は1:1ぐらいがちょうどよい味加減です。手作りの田楽味噌は、揚げナスなどに添えて食べても美味しいので、多めにつくってみてください。

「麩嘉」の生麩

2.生麩を切る
生麩を、食べやすい大きさに切ります。少し冷凍庫に入れて冷やすと、きれいに切り分けられます。

今回は香りの良いよもぎ麩と、季節の木の芽を練りこんだ麩の2種類を選びました。生麩には他にもいろんな種類があるので、お好みのものをどうぞ。

「もちもち生麩田楽」の手順。フライパンで生麩を焼く。

3.生麩を焼く
フライパンに少し油を引きます。生麩の香りを活かしたいので、油は香りが少ないものがおすすめです。

弱火から中火の火加減で、焦がさないように生麩の側面をひっくり返しながら、きつね色の焼き目をつけていきます。

生麩のもちもち感を味わいたい場合は上下の2面を、外側の香ばしい焼き目と内側の食感を同時に味わいたい場合は4面くらいをしっかりと焼くと、おいしくいただけます。

もちもち生麩の田楽

4.できあがり
平皿に焼いた生麩をのせ、田楽味噌を添えてできあがりです。

「ふわふわ生麩の天ぷら」

生麩の天ぷら

続いては、塩でも味噌でもおいしい、ふわふわ生麩の天ぷらです

【材料】

  • 生麩...食べたい分だけ
  • 天ぷら粉...30gくらい
  • 水...30mlくらい
  • 酒...90mlくらい
  • 氷...ひとつかみ

【作り方】

切り分けた生麩にてんぷら粉をまぶす

1. 生麩に天ぷら粉をまぶす
切り分けた生麩に天ぷら粉(分量外)をまぶします。こうしておくと、天ぷらの衣が生麩にしっかり馴染みます。

てんぷら粉に氷水を注ぐ

2.天ぷら衣をつくる
最初に、水と酒と氷を合わせます。お酒を加えるのも、氷を入れて冷やすのも、衣をカリッと軽く仕上げるための工夫。その理由については、以前にご紹介した「丁寧につくる普通のおつまみ ── 冷酒とともに『空豆の天ぷら』」の記事をご覧ください。

十分に冷えた氷水を天ぷら粉に注ぎ入れ、粉が少し残るくらいに混ぜ合わせます。時間が経つとダマができやすいので、氷水と天ぷら粉を混ぜ合わせるのは揚げる直前に行いましょう。

3.衣をつけて生麩を揚げる
油の温度が170~180℃ぐらいまで上がったことを確認したら、いよいよ一気に揚げていきます。生麩を天ぷら衣に手早くくぐらせ、油のなかへ。菜箸の先で生麩に触れたときに、カリッとした軽い感触があったら、良い頃合いです。

生麩の天ぷら

4. できあがり
カリッと揚げた生麩を器に盛り付けます。塩でシンプルにいただくのも、先ほど紹介した田楽味噌と合わせるのもおすすめです。

とろとろの「湯葉」が染み入るおいしさ

豆腐がおいしい京都は、湯葉もとっても美味しいのです。いろいろなお店があるなかで、今回は、「千丸屋」の「ゆばしるく」という湯葉を買いました。JR京都駅の新幹線改札内にお店があるので、時間がないときでもさっと購入することができます。

「とろとろ湯葉の温かいだしあんかけ」

「とろとろ湯葉の温かいだしあんかけ」

【材料】

  • 生湯葉...2パック
  • 醤油...50ml
  • みりん...50ml
  • 昆布だし...400ml
  • 片栗粉...大さじ2
  • 水...大さじ2

【作り方】

「とろとろ湯葉の温かいだしあんかけ」のだしあん

1.だしあんをつくる
最初に小鍋にみりんを入れて煮立たせます。アルコールが飛んだころに醤油を加えてさらに煮ます。今回は少量なので、軽く煮立たせる程度の時間で十分です。みりんと醤油の割合は1:1と覚えておいてください。

続いて、昆布だしと合わせます。昆布だしと、醤油とみりんの煮きりの割合は、10:1。今回は昆布だしを400ml用意したので、それに対して必要な煮きりの量は40mlです。

昆布だしと煮きりをあわせて弱火にかけ、温まってきたら、水で溶いた片栗粉を加えます。鍋のなかのだしをゆっくり混ぜながら加えると、ダマになりにくいですよ。

湯葉を湯煎で温める

2.湯葉を温める
大きめの鍋でお湯を沸かし、片手鍋に湯葉をいれて湯煎で温めます。湯葉から湯気が立ち上がるまで、ときどき混ぜながらゆっくりと待ちます。

「とろとろ湯葉の温かいだしあんかけ」

3.できあがり
湯葉が温まったら少し深みのあるお皿に盛りつけます。湯葉をこんもりと盛り、湯葉を崩さないよう、ゆっくりとだしあんを注ぎます。急ぎすぎると、写真のようにだしと湯葉が混ざってしまいますが、湯葉が少々崩れていても味は変わらず美味しいままなのでご安心を。

京都の旅を思い出しながら、美味しいお酒を

旅から帰ったら、体をいたわって、ゆっくり食事をしたいものです。疲れ気味の胃腸をやさしく温める、燗酒を飲んでみてはいかがでしょうか。

「賀茂鶴 本醸造」(賀茂鶴酒造/広島)

今回は「賀茂鶴 本醸造」(賀茂鶴酒造/広島)をぬる燗で。

香りがほど良く、食事に合わせれば、お酒と食べ物がお互いを引き立て合うよう。麩の味わいや香り、湯葉の温もりを決して邪魔しない飲み口は、ますます食欲を誘います。

京都で買ったお土産で、旅の思い出を振り返りながら一杯。旅の余韻でさらに杯が進みます。

(文/小鳥あんず)

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