今回はカンタンに作れて、それでいてしみじみと美味しい、そんな小料理で晩酌を楽しもうと思います。

残暑の宵であれば程よく冷やした吟醸酒と、秋の夜長には旬のひやおろしといった季節の風情とともに、じっくりと滋味深い茄子を味わってみませんか。

簡単に仕上げる本格和食

茄子の揚げびたし

【材料】

  • 茄子:お好みの量をどうぞ
  • 揚げ油:サラダ油など適量
  • 付け合わせ:大根おろし、白髪ねぎ、鰹節などお好みで(本編ではシシトウを使っています)
  • 漬けつゆ:手早くカンタンな市販の「濃縮つゆ」を使います

【作り方】

1.  漬けつゆを作る。

濃縮つゆを水で希釈します。メーカーによって表示が違うと思いますが、漬け込むなら「めんのかけつゆ」位の濃さで、すぐに食べるなら「煮物」位の濃さぐらいがおすすめです。
※濃縮つゆでなくとも出汁を取って味醂や醤油で自作しても構いません

2. 茄子の素揚げを作る。

なすのすあげ

イ. 茄子のヘタを取りタテ半分に切り、斜めに5~10ミリ幅の切り目を入れる

ロ. (イ)を2等分か3等分に切り分けて、揚げやすく食べやすくする

なすの素揚げ

ハ. 水気がついていたらよくふき取り、中温の油で揚げる

ニ. 揚げ時間は2~3分。切った白い断面がうっすらとでも焦げ色がついてきたらすでに揚がっています

つゆにひたしたなす

ホ. 油を切り熱いうちに漬けつゆに浸す。冷めるさいに味が浸透します
※20~30分で食べられますが半日漬け込むとより味がしみて美味しい

今回は飾りにする獅子唐を一緒に素揚げして漬けています。

茄子の滋味をコク深いいづみ橋と堪能する

茄子の複雑な香味かつ、揚げ物であること。この料理の特徴に対しては、深い味わいを持って語りかけるような酒質が面白い相性を演出しそう。そこで生酛造りからと選んだのがこの1本です。

いづみ橋と茄子の揚げびたし

いづみ橋 とんぼラベル7号 山田錦 生酛純米酒(泉橋酒造/神奈川)

冷蔵庫から出して少し時間を置き、香味が最も広がりそうなタイミングで味わってみました。香りはおだやか。口当たりもさらりとしていますが、束の間、含んだ酒はその素材の味をぐいぐいと主張してきます。

米の旨みは芳醇な酸味を身にまとって口の中にしみ渡り、確かなコクを印象付けます。

茄子とともに味わうと、油分との相性なのか酸味が柔らかく膨らむように感じられ、これがまた茄子の滋味を心地よく引き立てます。

酒のキレは良いと思われますが、舌に残るコクが何しろ印象的。それが口中にある茄子の残り香と相まって、心地よい余韻を楽しませてくれました。

いづみ橋も生酛仕込み

酒蔵がこだわる、伝統的な生酛造りの良さがここにあるのでしょうか。心が和むような、料理と酒の相性を確かに感じました。

(文:KOTA/編集:SAKETIMES)

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