漬物や甘酒の材料として、古くから食卓で親しまれてきた酒粕。旨み成分を多く含んでいることから、料理の風味を高める絶好の調味料として活用される一方、そのまま食べる習慣はあまり根付いていないように思います。
酒粕自体は良い香りがするものの、そのままでは寂しい味わいです。しかし、少し焼くだけで香ばしいつまみに早変わりします。日本酒の原料をつまみにして、日本酒をとことん味わい尽くす。そんな晩酌はいかがでしょうか。
酒粕を焼いて香ばしく
【材料】
- 酒粕(お好きな分量で)
酒粕にも種類がありますが、「板粕」と呼ばれるものが扱いやすいでしょう。素材の良し悪しが味に出るため、今回はより良い風味を期待して吟醸酒を絞った酒粕を使いました。
【作り方】
- 板粕を適当な大きさに割って焼くだけ。炭火のほか、アルミホイルを敷いたオーブントースターや魚焼きグリルなどでも簡単に焼けます。
- 焼けたら、砂糖醤油やはちみつ、ごまだれ(摺りごま2:砂糖2:醤油2)などでいただきます。
表面がこんがりとしたら食べ頃です。焼きたてを味わうと中はほっこりとしていて、素材の旨みが口の中に広がります。酒粕を生で食べた時の食べにくさはなく、その食感はまるでお菓子のようです。甘味をつけて食べると酒粕の旨みが引き立ち、より美味しく楽しめます。
香ばしい酒粕に爽やかな「花巴」を合わせる
甘味を付けて食べる焼き酒粕には、酒も酸味や甘味に富んでいることが縁の決め手と考えました。より相手の美味しさを膨らませる酒ならば、いっそう良縁でしょう。
酵母無添加、自然発酵にこだわった豊かな酸味に期待し、「花巴」のにごり酒を選びました。にごり酒と酒粕の白さを合わせるのも趣がありますね。
ほんのり甘酸っぱい香りに気分が和みます。口に含むとクリーミーな口当たりから、香りがそのまま形になったような甘酸っぱさが広がりました。「花巴 山廃」の酸質の高さ、豊かさがよく表現されています。甘みと酸味の一体感がある甘酸っぱさは爽やかな果実のようであり、すいすいと飲み続けられる味わいです。
焼き酒粕と合わせると酒はまろやかに旨みを増し、香ばしさを引き立てる相性の良さを発揮していました。後味もすっきりしているので、焼き酒粕のおかわりも続きます。手軽に作れるので、みなさんもぜひお試しあれ。
(文:KOTA/編集:SAKETIMES)