こんにちは!SAKETIMESライターの永木三月です。
普段は、『永木三月のテイスティングログ』というブログを拠点に、お酒の試飲会などの食べ物が集うイベント、おいしいお店の紹介をしています。また、定期的に「おいしいもの味覚鑑賞会」という食べ比べの会を開催しています。
さて今回のテーマは、4/12(日)に渋谷で開催された「熟成古酒ルネッサンス2015」。100種類以上の古酒が飲めると聞き、私もディープな味わいを求めて参加してきました。一推しのお酒を中心に、少しマニアックな会の模様をお届けします!
はじめに 熟成古酒ルネッサンスとは?
みなさんは古酒が好きですか? 日本酒ファンでも古酒に精通しているという人はあまり多くないのではないでしょうか。古酒を置いているお店自体が限られているというのもあり、私も実はそれほど飲んだことはありません。それだけ一般的にはマニアックな世界です。
「熟成古酒ルネッサンス2015」は、「長期熟成酒研究会」という、酒造会社が中心に立ち上げた団体が主催する、古酒に特化したイベントです。今回は、お店で長期熟成を行っている酒屋さんによる出品なども含め、計100種類以上の古酒が集まりました!
古酒テイスティング 〜 一推しの古酒紹介!〜
➀ 飯沼本家「純米吟醸古酒 汲古」
まずは、飯沼本家の「純米吟醸古酒 汲古」
飯沼本家は創業して300年以上続いているという千葉県の酒蔵です。
この日いただいたものは18年熟成のもの。香りはドライフルーツやクローブ、木の表皮のようなニュアンスのある濃厚なものですが、味わいはそれに対して癖がなく少し淡め。
酸味と甘みのバランスの良さと、きれいな流れが印象的な1品です。
こちらの酒造さんは、熟成酒を作り始めて長くはないとのことだったのですが、この18年物の汲古に関しては、非常に綺麗に仕上がったと話していました。
➁下越酒造「麒麟 秘蔵酒」
2品目は、新潟県の下越酒造「麒麟 秘蔵酒」
酒の品質や作りに関しては、日本国内というスケールで見ても極めて高い技術を持っているそうです。
今回頂いたものは、5年熟成の淡熟タイプ。
常温で熟成し、ウイスキーやブランデーのような濃密な味わいを持たせた熟成酒を、「濃熟」の熟成酒というのに対し、「淡熟」は、吟醸酒や大吟醸酒を使って低温で熟成させたもの。濃熟に比べて、熟成前の日本酒の風味が残った味わいになります。
「麒麟 秘蔵酒」も元となっているのは大吟醸のお酒で、その風味を大事にしたまま、深みやスケールを増したような印象を受けます。濃厚な果実味のある白ワインのようなふくよかさとフレッシュさが非常に味わい深いです。
フルーティな吟醸酒が好きな方は、その延長で楽しめるお酒だと思います。「古酒に挑戦してみたいけれど、きついのはちょっと」という人に、淡熟のお酒はオススメです。
➂ 白木恒助商店「達磨正宗 二十年古酒」
3品目は、岐阜の白木恒助商店「達磨正宗 二十年古酒」
古酒に関しては日本酒界でのパイオニアであり、その質の高さにも大変定評がある酒蔵さんだそうです。JALの国際線でのドリンクメニューに掲載されたり、海外でも高い評価を受けたりという実績があります。
今回頂いた「達磨正宗」は20年熟成の濃熟タイプ。色はトパーズのような鮮やかな赤、香りにベリー、カラメルのようなニュアンスで、非常に艶が感じられます。口当たりには、甘酸っぱく肌理細かな刺激がピリリと感じられ、意外な印象。味わい自体はまろやかな中に、しっかりしたボディと深い味わいがあります。
また、ブースでの試飲はできませんでしたが、「海中熟成」というプロジェクトも行っているそうです。海の底で半年間熟成させた古酒を作り、蔵で同じ期間熟成させた物をセットで販売しています。古酒を広める活動と同時に、新しい試みをしている、文字通り古酒界のパイオニア的存在です。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
同じ古酒でも、低温熟成の淡熟と、常温熟成の濃熟とでは全く味わいが異なり、白ワインとブランデーを一緒にテイスティングしているような印象さえ受けました。それだけ古酒は味わいの幅が広く感じます。
このイベントでは古酒の試飲以外にも、自宅で熟成させた日本酒を鑑定してもらえるブースや、日本酒を百年寝かせてみようと言う「百年貯蔵プロジェクト」の経過報告などもあります。古酒好きにはたまらない、そして古酒を知らない人にとっては文字通り未知の体験ができる、非常におもしろいイベントでした!
会場には酒屋さんを始め、日本酒に関係する仕事の人や、日本酒通の方が数多く訪れていたようです。これを見て興味を持った方は、次回開催の折はお見逃しなく!
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