こんにちは!テイスティング専門家の永木三月です。
11/5(木)『ジョイ・オブ・サケ・東京』というイベントが五反田で開催されました。今年で15周年を迎えるこの会は、日本以外の国が主催の日本酒イベントとしては最大級のものです。会でいただいた日本酒、和洋中様々なお店の料理を中心に、会の模様を紹介いたします!
ハワイ、ホノルルに始まった日本酒イベント『ジョイ・オブ・サケ』
『ジョイ・オブ・サケ』は、ハワイ在住の日本酒愛好家によって、2001年から開催されています。サンフランシスコ、ニューヨークなど大都市での開催を経て、2010年からはいわば凱旋として日本でも開かれるようになりました。
「全米日本酒歓評会」に出品された全167社391銘柄の日本酒と、和洋中様々なお店がプロデュースする豪華なアペタイザー(前菜)を味わえるとあって、日本酒好きにはたまらない試飲会です。
和洋中の華やかな料理が日本酒を引き立てる!
おつまみは、自分の好きなタイミングで、好きなお酒と合わせていただくことができます。
最も美味しかったのは「IL GHIOTTONE」の「豚肉とシャキシャキ水菜のリゾット 黄柚子 七味風味」。
「京都発信」を謳うイタリアンレストランで、今回は東京・丸の内店からの出店でした。柚子と水菜、七味の香りが綺麗に調和した味わいで、完成度は随一。やや辛口でコクのある純米酒と合わせたい一品です。
その他、港区の居酒屋「駒八」の「駒八牛筋味噌煮」という日本酒定番の肴から、横浜の中国料理店「重慶飯店」の「中華風スパイシーローストビーフ&サーモンパティと黒餅米のおこげのカナッペ」など、普段日本酒と合わせることのないジャンルの料理まで、たいへん幅広い料理が味わえるラインナップでした。
また、池袋「地酒遊楽 裏や」の「秋の味覚 松茸お吸い物」が、提供間際に熱々の出汁をかける形式だったり、北海道「Beast Kitchen」の「秋の北海旨味クネル」がその場で出来立てを提供することにこだわっていたりと、パーティフードならではの工夫をした一品も数多くありました。日本酒同様とても楽しめる内容でした。
167社391銘柄、「全米日本酒歓評会」でお墨付きの日本酒が勢揃い
『ジョイ・オブ・サケ』で試飲できるお酒は167社391銘柄。その全てが「全米日本酒歓評会」という大会に出品されたものです。この大会はホノルルの「国際酒会」が主催しているもので、日本酒の品質や味わいを、純米・吟醸・大吟醸A(精米歩合40%以下)・大吟醸B(精米歩合50%以下)の4つのカテゴリーにわけ、日本の新酒鑑評会にならった基準で、国内外10人の審査員をもって審査しています。
大吟醸Aのような精米歩合の低いものとなると、一本10000円を超える物も珍しくなく、そうしたものがずらりと並んだ光景は壮観です。パッケージも品格の高いものが多く見られます。
紹介したいお酒は数多くあるのですが、最も精米歩合の低い大吟醸Aでは、「和田酒造」の「しずく採り原酒 大吟醸 月山丸」は印象に残っています。香りには高らかなフルーティさがあり、すっと伸びてから、うっすらと消えて行きます。味わいの伸び、キレも非常に際立っています。切れ味鋭い名刀の名前になぞらえたという一本で、その上品な味わいは、日本酒の豊かな表現力を感じさせます。
また、メインの試飲スペース以外で提供されていたお酒では「日本吟醸酒協会」で取り扱われていた「雲の井」や「繁枡」の吟醸酒が非常に良かったです。お酒のレベルもそれぞれさることながら、きちんと冷やした状態で提供される吟醸酒のクオリティに、今更ながらに驚きました。
というのも、会場では常温での提供が主なため、純米酒などに比べると吟醸酒は香りの点でハンディキャップが大きい印象があったからです。
同じ理由で、試飲スペースのお酒とは別にブースで冷やしたお酒を提供していた「旭酒造」の「獺祭 磨き2割3分」でも、ベストコンディションでお酒を提供しようという思いとその味わいに、改めて感服させられました。
『ジョイ・オブ・サケ』は、私がこれまで参加したことのある日本酒イベントの中でもかなり大規模なものでした。銘柄数や肴の豪華さはとりわけ圧倒されます。
規模だけでなく、日本酒のイベントでは酒蔵さんとの距離の近さに魅力を感じる事が多かったため、こうしたパーティ形式のものは新鮮でした。アメリカ発のイベントであることがその大きな原因でしょう。その意味では、海外で日本酒がどのように受容されているのかを垣間見ることのできる会でもあったのではと思います。
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